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「アンドレア・シェニエ」の版間の差分

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『'''アンドレア・シェニエ'''』(''Andrea Chénier '' )は、[[イタリア]]の[[作曲家]][[ウンベルト・ジョルダーノ]]による全4幕の[[オペラ]]である。1896年3月[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。[[18世紀]]、[[革命]]前後の[[フランス]]を舞台に、実在の[[詩人]][[アンドレ・シェニエ]](アンドレアは[[イタリア語]]読み)の半生を描き、[[ヴェリズモ・オペラ]]の傑作のひとつとして数えられる作品。

『'''アンドレア・シェニエ'''』(''Andrea Chénier'')は、[[イタリア]]の[[作曲家]][[ウンベルト・ジョルダーノ]]による全4幕の[[オペラ]]である。1896年3月[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。[[18世紀]]、[[革命]]前後の[[フランス]]を舞台に、実在の[[詩人]][[アンドレ・シェニエ]](アンドレアは[[イタリア語]]読み)の半生を描き、[[ヴェリズモ・オペラ]]の傑作のひとつとして数えられる作品。

*原語題名:''Andrea Chénier''

*原語題名:''Andrea Chénier''

*台本:[[ルイージ・イッリカ]]

*台本:[[ルイージ・イッリカ]]

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== 作曲と初演の経緯 ==

== 作曲と初演の経緯 ==

本作品に厳密な意味での原作は存在せず、台本作家[[ルイージ・イッリカ]](後に[[ジャコモ・プッチーニ|プッチーニ]]の数々の名作オペラを手がける)はジュール・バルビエ『アンドレ・シェニエ』、ポール・ディモフ『アンドレ・シェニエの生涯と作品』などを参考にり自由な創作を行っている。


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この『アンドレア・シェニエ』台本は当初、貴族出身の富裕な作曲家[[アルベルト・フランケッティ]]がオペラ化の権利を保有していたが、フランケッティと同じく楽譜出版社[[ソンツォーニョ・コンクール|ソンツォーニョ社]]に属する若手であった[[ウンベルト・ジョルダーノ]]が良い台本に恵まれず苦闘しているのに同情したフランケッティが、1894年に無償で権利譲渡したものである。

この『アンドレア・シェニエ』台本は当初、貴族出身の富裕な作曲家[[アルベルト・フランケッティ]]がオペラ化の権利を保有していたが、フランケッティと同じく楽譜出版社[[ソンーニョ・コンクール|ソンーニョ社]]に属する若手であった[[ウンベルト・ジョルダーノ]]が良い台本に恵まれず苦闘しているのに同情したフランケッティが、1894年に無償で権利譲渡したものである。




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== 主な登場人物 ==

== 主な登場人物 ==

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== あらすじ ==

== あらすじ ==


時と場所:1789年から1793年にかけて、[[パリ]]およびその郊外

時と場所:1789年から1793年にかけて、[[パリ]]およびその郊外

=== 第1幕 ===

=== 第1幕 ===

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サン・ラザール監獄、未明。早朝の死刑執行を待つシェニエは生涯最後の詩を朗読する。ジェラールとマッダレーナ登場。マッダレーナは看守を買収し、自分はシェニエと同時に死刑となる、レグリエーという名前の若い女性の身代わりになると言う。ジェラールは「ロベスピエールにもう一度助命を掛け合ってこよう」と言って去る。シェニエとマッダレーナは、愛し合ったまま共に死ねる幸せを歌う。刑執行の時を迎える。看守が死刑囚の名を点呼する。「アンドレア・シェニエ」「私だ」、「イディア・レグリエー」「私です」。2人は誇らしげに馬車に乗り込み、[[ギロチン]]へと向かう。

サン・ラザール監獄、未明。早朝の死刑執行を待つシェニエは生涯最後の詩を朗読する。ジェラールとマッダレーナ登場。マッダレーナは看守を買収し、自分はシェニエと同時に死刑となる、レグリエーという名前の若い女性の身代わりになると言う。ジェラールは「ロベスピエールにもう一度助命を掛け合ってこよう」と言って去る。シェニエとマッダレーナは、愛し合ったまま共に死ねる幸せを歌う。刑執行の時を迎える。看守が死刑囚の名を点呼する。「アンドレア・シェニエ」「私だ」、「イディア・レグリエー」「私です」。2人は誇らしげに馬車に乗り込み、[[ギロチン]]へと向かう。



== 著名なアリア ==

== 著名なアリア ==

*「ある日、青空を眺めて」 - ''Un dì all’azzurro spazio'' : シェニエのアリア(第1幕)

*「ある日、青空を眺めて」 - ''Un dì all’azzurro spazio'' : シェニエのアリア(第1幕)

*「胸像はここに」 - ''Ecco l’altare'' : マッダレーナとシェニエの二重唱(第2幕)

*「胸像はここに」 - ''Ecco l’altare'' : マッダレーナとシェニエの二重唱(第2幕)

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== シェニエ役について ==

== シェニエ役について ==

[[テノール]]が歌うシェニエの役は全4幕それぞれに[[アリア]]があり、彼にはまた恋人マッダレーナ([[ソプラノ]])との華やかな[[重唱]]も2つあるため、『アンドレア・シェニエ』は主役男声歌手の音楽的比重が高い「プリモ・ウォーモ・オペラ」として知られている。シェニエ役は、見せ場が数多く実によく映える役だが、それだけに重厚さと輝かしさをそなえた声、劇的な歌唱、充実した高音域、多くの見せ場をこなすスタミナ、「理想に燃え理想に死した詩人」を観客に納得させられるだけの舞台映えする容姿などが要求される難役となっている。

[[テノール]]が歌うシェニエの役は全4幕それぞれに[[アリア]]があり、彼にはまた恋人マッダレーナ([[ソプラノ]])との華やかな[[重唱]]も2つあるため、『アンドレア・シェニエ』は主役男声歌手の音楽的比重が高い「プリモ・ウォーモ・オペラ」として知られている。シェニエ役は、見せ場が数多く実によく映える役だが、それだけに重厚さと輝かしさをそなえた声、劇的な歌唱、充実した高音域、多くの見せ場をこなすスタミナ、「理想に燃え理想に死した詩人」を観客に納得させられるだけの舞台映えする容姿などが要求される難役となっている。



== 日本での演 ==

== 日本での演 ==

1961年9月28日、[[東京文化会館]]における第3回イタリア歌劇団公演([[日本放送協会|NHK]]招聘)が日本初演である。シェニエ役に[[マリオ・デル=モナコ]]、マッダレーナ役に[[レナータ・テバルディ]]という豪華キャストは当時話題を呼んだ。[[フランコ・カプアーナ]]指揮、管弦楽・[[NHK交響楽団]]他の陣容であった。


1961928[[]]3[[|NHK]][[]][[]][[]][[NHK]]<ref>[http://opera.tosei-showa-music.ac.jp/search/Record/PROD-01391  ]</ref>


2013年には、[[宝塚歌劇団]][[花組]]公演で、本作を原作としたミュージカル『[[愛と革命の詩 -アンドレア・シェニエ-]]』を上演。脚本・演出は[[植田景子]]、主演は[[蘭寿とむ]]。

{{main|愛と革命の詩 -アンドレア・シェニエ-}}


== 脚注 ==

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[[Category:オペラ作品]]

[[Category:1890年代のオペラ]]

[[Category:19世紀オペラ]]

[[Category:イタリア語のオペラ]]

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[[Category:ルイージ・イッリカ台本のオペラ]]

[[Category:ロマン派の楽曲]]

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[[Category:パリを舞台とした作品]]

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[[Category:フランス革命を題材とした作品]]

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[[Category:1896年]]

[[Category:実在の作家を題材とした作品]]

[[Category:1890年代の音楽]]

[[Category:詩人を主人公にした作品]]

[[Category:1896年音楽]]


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[[de:Andrea Chénier]]

[[el:Αντρέα Σενιέ]]

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[[fr:Andrea Chénier]]

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[[tr:Andrea Chenier]]


2022年2月2日 (水) 11:16時点における最新版


Andrea Chénier41896318
  • 原語題名:Andrea Chénier
  • 台本:ルイージ・イッリカ
  • 演奏時間:約2時間
  • 初演:1896年3月28日、ミラノ・スカラ座にて、ロドルフォ・フェッラーリの指揮による

作曲と初演の経緯

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1894

1895111895-961896328

主な登場人物

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 - 

 - 使

 - 

 - 使



 - 

 - 

 - 


舞台構成

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 quadro  atto 

1 - 1789

2 - 17936

3 - 2

4 - 3

あらすじ

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時と場所:1789年から1793年にかけて、パリおよびその郊外

第1幕

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コワニー伯爵家の大邸宅。召使たちはパーティーの準備に忙しい。幼い頃から書籍に親しむ聡明なジェラールは、貴族階級には滅亡の運命しかない、と密かに憎悪を独白する。やがてパーティー招待客が続々と入場、その中には詩人アンドレア・シェニエもいる。人々はパリ市内での不穏な形勢などの噂をしている。パーティーが始まり、優雅だが毒にも薬にもならないような新作バレエが披露される。伯爵夫人はシェニエに即興詩を所望するが、気難しい彼は「詩興が湧かない」と断る。令嬢マッダレーナは「美貌の自分が頼めば彼は何か言うわ、それも『愛』という言葉を入れて」と友人たちにささやいた後、やはりシェニエに詩作を依頼する。シェニエが「詩情とは愛のように気まぐれなもので」と言いかけるので、マッダレーナは「予想が当たった」と哄笑する。嘲られたことで怒るよりむしろ悲しんだシェニエは即興詩を朗誦する。美しい大地と大空を賛美する文句で始まったその詩は、やがて貧者を無視する教会、庶民に重税を課する政府、悲惨な社会状況を見ようともしない貴族階級への批判の言葉となる。パーティー参加者は怒って退席するか、あるいは聞かぬ振りをする。シェニエはマッダレーナに、「愛」という言葉を戯れに用いることの非を説き、「貴女は愛をご存じない」と言う。自らの至らなさを悟ったマッダレーナはシェニエに謝罪して退場、場を白けさせてしまったシェニエもまたその場を去る。パーティーでは何事もなかったように優雅なガヴォットが奏でられるが、そこに飢えに苦しむ貧民の一群が現れる。彼らをこの邸宅に招いたのはジェラールだった。彼は貴族への嫌悪を叫び、召使の制服を脱ぎ捨て、貧民たちと共に去る。伯爵夫人は「自分はジェラールのような卑賤な者にも衣食住を与えてやったのに」と彼の恩知らず振りを嘆く。パーティーでは再び、何事もなかったように優雅なガヴォットが再開され、人々は踊る。

第2幕

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使

第3幕

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使

第4幕

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サン・ラザール監獄、未明。早朝の死刑執行を待つシェニエは生涯最後の詩を朗読する。ジェラールとマッダレーナ登場。マッダレーナは看守を買収し、自分はシェニエと同時に死刑となる、レグリエーという名前の若い女性の身代わりになると言う。ジェラールは「ロベスピエールにもう一度助命を掛け合ってこよう」と言って去る。シェニエとマッダレーナは、愛し合ったまま共に死ねる幸せを歌う。刑執行の時を迎える。看守が死刑囚の名を点呼する。「アンドレア・シェニエ」「私だ」、「イディア・レグリエー」「私です」。2人は誇らしげに馬車に乗り込み、ギロチンへと向かう。

著名なアリア

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  • 「ある日、青空を眺めて」 - Un dì all’azzurro spazio : シェニエのアリア(第1幕)
  • 「胸像はここに」 - Ecco l’altare : マッダレーナとシェニエの二重唱(第2幕)
  • 「私はマデロンという老婆です」 - Son la vecchia Madelon :マデロンのアリア(第3幕) 
  • 「国を裏切る者」 - Nemico della patria :ジェラールのアリア(第3幕)
  • 「亡くなった母を」 - La mamma morta :マッダレーナのアリア(第3幕)
  • 「私は兵士だった」 - Si, fui soldato :シェニエのアリア(第3幕)
  • 「五月の晴れた日のように」 - Come un bel dì di maggio :シェニエのアリア(第4幕)
  • 「貴女のそばでは、僕の悩める魂も」 - Vicino a te s'acqueta l'irrequieta anima mia :マッダレーナとシェニエの二重唱(第4幕)

シェニエ役について

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テノールが歌うシェニエの役は全4幕それぞれにアリアがあり、彼にはまた恋人マッダレーナ(ソプラノ)との華やかな二重唱も2つあるため、『アンドレア・シェニエ』は主役男声歌手の音楽的比重が高い「プリモ・ウォーモ・オペラ」として知られている。シェニエ役は、見せ場が数多く実によく映える役だが、それだけに重厚さと輝かしさをそなえた声、劇的な歌唱、充実した高音域、多くの見せ場をこなすスタミナ、「理想に燃え理想に死した詩人」を観客に納得させられるだけの舞台映えする容姿などが要求される難役となっている。

日本での上演

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19619283NHKNHK[1]

2013 --寿

脚注

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