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「サン・ビセンテ岬の海戦」の版間の差分

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|strength2=戦列艦 27隻、フリゲート 7隻

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|casualties2=戦死250名、負傷550名<br />捕獲 4隻

|casualties2=戦死250名、負傷550名<br />捕獲 4隻

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'''サン・ビセンテ岬の海戦'''(サン・ビセンテみさきのかいせん、{{lang-en-short|Battle of Cape St Vincent}}、{{lang-es-short|Batalla del Cabo de San Vicente}}、{{lang-pt-short|Batalha do Cabo de São Vicente}})は、[[1797年]][[2月14日]]、[[ジョン・ジャーヴィス]]提督指揮下の[[イギリス]]艦隊が、[[ポルトガル]]の[[サン・ヴィセンテ岬]](スペイン語では'''サン・ビセンテ'''と呼ぶ)の沖合において[[ホセ・デ・コルドバ]]提督の率いる優勢な[[スペイン]]艦隊を破った戦い。

'''サン・ビセンテ岬の海戦'''(サン・ビセンテみさきのかいせん、{{lang-en-short|Battle of Cape St Vincent}}、{{lang-es-short|Batalla del Cabo de San Vicente}}、{{lang-pt-short|Batalha do Cabo de São Vicente}})は、[[1797年]][[2月14日]]、[[ジョン・ジャーヴィス]]提督指揮下の[[グレートブリテン王国]](イギリス艦隊が、[[ポルトガル]]の[[サン・ヴィセンテ岬]](スペイン語では'''サン・ビセンテ'''と呼ぶ)の沖合において[[ホセ・デ・コルドバ]]提督の率いる優勢な[[スペイン]]艦隊を破った戦い。



==発端==

==発端==

イギリスおよびポルトガルに対する[[1796年]][[10月]]のスペインの宣戦布告は、[[地中海]]におけるイギリスの立場を危機に陥らせた。38隻の戦列艦を持つフランス・スペイン連合艦隊は、15隻の戦列艦しかないイギリスの[[地中海艦隊 (イギリス)|地中海艦隊]]を大きく凌駕しており、イギリスはまず[[コルシカ島]]、そして[[エルバ島]]からも撤退を余儀なくされた。

イギリスおよびポルトガルに対する[[1796年]][[10月]]のスペインの宣戦布告は、[[地中海]]におけるイギリスの立場を危機に陥らせた。38隻の戦列艦を持つフランス・スペイン連合艦隊は、15隻の戦列艦しかないイギリスの[[地中海艦隊 (イギリス)|地中海艦隊]]を大きく凌駕しており、イギリスはまず[[コルシカ島]]、そして[[エルバ島]]からも撤退を余儀なくされた。




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[[21]]西

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[[2月11日]]、イギリスの[[ホレーショ・ネルソン]]代将が指揮するフリゲート「ミナーヴァ」は、スペイン艦隊と遭遇したが、濃い霧に紛れて発見を免れた。ネルソンは2月13日にスペイン沖の15隻のイギリス艦隊に合流して、旗艦「[[ヴィクトリー (戦列艦)|ヴィクトリー]]」に座乗するジャーヴィス司令官にスペイン艦隊の位置を報告した。敵艦隊の勢力を知らないまま - 霧の中でネルソンは敵艦の数を数えることが出来なかった - それを捕捉すべく、ジャーヴィスの艦隊は行動を開始した。

[[2月11日]]、イギリスの[[ホレーショ・ネルソン (初代ネルソン子爵)|ホレーショ・ネルソン]]代将が指揮するフリゲート「ミナーヴァ」は、スペイン艦隊と遭遇したが、濃い霧に紛れて発見を免れた。ネルソンは2月13日にスペイン沖の15隻のイギリス艦隊に合流して、旗艦「[[ヴィクトリー (戦列艦)|ヴィクトリー]]」に座乗するジャーヴィス司令官にスペイン艦隊の位置を報告した。敵艦隊の勢力を知らないまま - 霧の中でネルソンは敵艦の数を数えることが出来なかった - それを捕捉すべく、ジャーヴィスの艦隊は行動を開始した。



大西洋の沖合に押し流されたスペイン艦隊は、[[2月13日]]にはイギリス艦隊の近くまで来ていた。14日未明、ジャーヴィスはスペイン艦隊が風上35マイルにあることを知った。

大西洋の沖合に押し流されたスペイン艦隊は、[[2月13日]]にはイギリス艦隊の近くまで来ていた。14日未明、ジャーヴィスはスペイン艦隊が風上35マイルにあることを知った。

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夜が明けたとき、ジャーヴィスの艦隊はスペイン艦隊に戦いを挑める好位置にあった。「ヴィクトリー」の艦尾甲板で、ジャーヴィスとカルダー艦長、ハロウェル艦長は敵艦を数えた。そのとき初めて、ジャーヴィスは敵艦隊がほぼ2倍の勢力であることと知った。

夜が明けたとき、ジャーヴィスの艦隊はスペイン艦隊に戦いを挑める好位置にあった。「ヴィクトリー」の艦尾甲板で、ジャーヴィスとカルダー艦長、ハロウェル艦長は敵艦を数えた。そのとき初めて、ジャーヴィスは敵艦隊がほぼ2倍の勢力であることと知った。

<!--

<blockquote>

「戦列艦が8隻です、サー・ジョン」<br />

「よろしい」<br />

「戦列艦が20隻です、サー・ジョン」<br />

「よろしい」<br />

「戦列艦が25隻です、サー・ジョン」<br />

「よろしい」<br />

「戦列艦が27隻です、サー・ジョン」<br />


50<ref>[http://infomotions.com/etexts/gutenberg/dirs/1/3/6/3/13633/13633.htm Edinburgh Magazine No.CCCXLII. Vol.LV.18444</ref>

</blockquote>--(大局に係わらないディテールなのでコメント化)-->




<!------>

戦いを避けるのは至難であったし、敵艦隊がフランス艦隊と合同したら今よりさらに悪い状態になるだけだった。ジャーヴィスはこのまま戦闘に突入することを決断した。




21891030沿

21891030沿
68行目: 57行目:


===午前11:30===

===午前11:30===


22<!--174---->

22


午前11時30分、イギリス戦列の先頭にあった「カローデン」はついに射撃可能な位置に達し、砲撃を開始した。後続する艦もスペイン艦が射程内に入り次第砲撃を始めた。「カローデン」は両舷の全砲門で砲撃を行った。トラウブリッジ艦長は「秒針のように正確に、そして港湾司令官の検閲のように粛々と砲撃した」と述べている。「カローデン」はスペイン戦列の最後尾の艦をかわすと、それがカディスに逃げ込まないように、ただちに上手回しを行ってスペイン艦の艦尾に回り込んだ。トラウブリッジは旗艦の信号がその動きを命じる前にそれを予測して、実行した。

午前11時30分、イギリス戦列の先頭にあった「カローデン」はついに射撃可能な位置に達し、砲撃を開始した。後続する艦もスペイン艦が射程内に入り次第砲撃を始めた。「カローデン」は両舷の全砲門で砲撃を行った。トラウブリッジ艦長は「秒針のように正確に、そして港湾司令官の検閲のように粛々と砲撃した」と述べている。「カローデン」はスペイン戦列の最後尾の艦をかわすと、それがカディスに逃げ込まないように、ただちに上手回しを行ってスペイン艦の艦尾に回り込んだ。トラウブリッジは旗艦の信号がその動きを命じる前にそれを予測して、実行した。



===午後0:30===

===午後0:30===


<!--4退

「カローデン」は上手回しを行い、スペイン戦列を追って反転した。「ブレニム」と「プリンス・ジョージ」もそれに続いた。


7番目に位置していた旗艦「ヴィクトリー」が転回点に来た時、再度、イギリスの戦列を突破する試みが企てられた。しかし「ヴィトリー」があまりに速かったため、スペイン戦列の先頭艦(3層艦)は詰め開きにせざるを得ず、「ヴィクトリー」の斉射を浴びることになった。「我々は、奴らにバレンタインのプレゼントをくれてやった」と、「ゴライアス」の砲手は後に書き記している。--(大局に係わらないディテールなのでコメント化)-->




U1588

U1588
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ネルソンの下手回しの決定は、重大な意味を持つものだった。下級指揮官として、彼は司令長官ジャーヴィス提督の命令に従う義務があった。しかし彼は「「ヴィクトリー」の前後に戦列を作る」という命令に背き、かつ別の信号に対して勝手な拡大解釈を行っていた。もしその行動が失敗したならば、彼は敵前での命令違反の科により軍法会議にかけられ、指揮権の剥奪や不名誉な処罰の対象となったはずである。

ネルソンの下手回しの決定は、重大な意味を持つものだった。下級指揮官として、彼は司令長官ジャーヴィス提督の命令に従う義務があった。しかし彼は「「ヴィクトリー」の前後に戦列を作る」という命令に背き、かつ別の信号に対して勝手な拡大解釈を行っていた。もしその行動が失敗したならば、彼は敵前での命令違反の科により軍法会議にかけられ、指揮権の剥奪や不名誉な処罰の対象となったはずである。



午後1時30分頃、「カローデン」はスペイン艦隊の後尾に徐々に追いつきつつあったが、十分な接近戦を行える状況には達していなかった。ジャーヴィスは最後尾の「エクセレント」に信号を送り、左舷開きにして風上に向かうように命じた。「エクセレント」の[[カスバート・コリングウッド]]艦長は回頭し、「カローデン」の前方に艦を進めた。数分後、「ブレニム」と「プリンス・ジョージ」も追いつき、イギリス艦隊は一挙にスペイン艦隊に襲いかかった。

午後1時30分頃、「カローデン」はスペイン艦隊の後尾に徐々に追いつきつつあったが、十分な接近戦を行える状況には達していなかった。ジャーヴィスは最後尾の「エクセレント」に信号を送り、左舷開きにして風上に向かうように命じた。「エクセレント」の[[カスバート・コリングウッド]]艦長は回頭し、「カローデン」の前方に艦を進めた。数分後、「ブレニム」と「プリンス・ジョージ」も追いつき、イギリス艦隊は一挙にスペイン艦隊に襲いかかった。



「キャプテン」はその時6隻のスペイン艦から攻撃を受けていた。そのうち3隻は112門の3層艦であり、さらに130門・4層甲板の旗艦「サンティシマ・トリニダー」もその1隻だった。午後2時頃、「カローデン」は、敵巨艦群から猛攻撃を受けている「キャプテン」を援護すべく前方に進出し、その敵の舷側砲火を引き受けた。その一時の猶予をとらえて、「キャプテン」は弾薬の砲側への補充と動索の補修を行った。

「キャプテン」はその時6隻のスペイン艦から攻撃を受けていた。そのうち3隻は112門の3層艦であり、さらに130門・4層甲板の旗艦「サンティシマ・トリニダー」もその1隻だった。午後2時頃、「カローデン」は、敵巨艦群から猛攻撃を受けている「キャプテン」を援護すべく前方に進出し、その敵の舷側砲火を引き受けた。その一時の猶予をとらえて、「キャプテン」は弾薬の砲側への補充と動索の補修を行った。

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===午後3:00===

===午後3:00===

[[Image:Surrender of the San Nicolas at St Vincent.jpg|left|thumb|250px|「サン・ビセンテ岬の海戦でネルソンに降伏する「サン・ニコラス」」、Richard Westall画(1806)]]

[[Image:Surrender of the San Nicolas at St Vincent.jpg|left|thumb|250px|「サン・ビセンテ岬の海戦でネルソンに降伏する「サン・ニコラス」」、[[リチャード・ウェストール]]画(1806)]]

午後3時頃の時点で、「エクセレント」は「キャプテン」を攻撃していた「サン・ニコラス」に取り付いて、そのフォアトップマストを打ち倒していた。「エクセレント」は「サン・ニコラス」に舷側砲火を浴びせ、帆装をすっかり取り払った。「サン・ニコラス」が「エクセレント」から退避しようと風上に切り上ったため、その時点で既にミズンマストを打ち倒されるなど甚大な被害を受けていた「サン・ホセ」に衝突してしまった。「キャプテン」はそれまでに舵輪を撃ち壊され、ほとんど制御不能となっていたが、さらにこのときフォアトップマストが倒れ、完全に船体を離れて横に落下した。もはやスペイン艦に乗り込み攻撃をかける以外に何も出来ない状態だった。「キャプテン」はその風下(左)舷の砲を発射し、舵をその方向に切ると、左舷の吊錨架で「サン・ニコラス」の右舷艦尾を引っかけた。

午後3時頃の時点で、「エクセレント」は「キャプテン」を攻撃していた「サン・ニコラス」に取り付いて、そのフォアトップマストを打ち倒していた。「エクセレント」は「サン・ニコラス」に舷側砲火を浴びせ、帆装をすっかり取り払った。「サン・ニコラス」が「エクセレント」から退避しようと風上に切り上ったため、その時点で既にミズンマストを打ち倒されるなど甚大な被害を受けていた「サン・ホセ」に衝突してしまった。「キャプテン」はそれまでに舵輪を撃ち壊され、ほとんど制御不能となっていたが、さらにこのときフォアトップマストが倒れ、完全に船体を離れて横に落下した。もはやスペイン艦に乗り込み攻撃をかける以外に何も出来ない状態だった。「キャプテン」はその風下(左)舷の砲を発射し、舵をその方向に切ると、左舷の吊錨架で「サン・ニコラス」の右舷艦尾を引っかけた。

<!--

At 3:20, with a cry of "Westminster Abbey or Glorious Victory!" Nelson ordered his boarders to cross the first Spanish ship onto the second. He later wrote,


<blockquote>

The soldiers of the 69th, with an alacrity which will ever do them credit, and Lieutenant Pearson of the same regiment, were almost the foremost on this service - the first man who jumped into the enemy's mizen chains was Commander Berry, late my First Lieutenant (Captain Miller was in the very act of going also, but I directed him to remain); he was supported from our sprit sail yard, which hooked in the mizen rigging.

A soldier of the 69th Regiment having broken the upper quarter-gallery window, I jumped in myself, and was followed by others as fast as possible. I found the cabin doors fastened, and some Spanish officers fired their pistols: but having broke open the doors the soldiers fired, and the Spanish Brigadier fell, as retreating to the quarter-deck. I pushed immediately onwards for the quarter-deck, where I found Commander Berry in possession of the poop, and the Spanish ensign hauling down. I passed with my people, and Lieutenant Pearson, on the larboard gangway, to the forecastle, where I met two or three Spanish officers, prisoners to my seamen: they delivered me their swords.

A fire of pistols, or muskets, opening from the stern gallery of the San Josef, I directed the soldiers to fire into her stern; and calling to Captain Miller, ordered him to send more men into the San Nicolas; and directed my people to board the first-rate, which was done in an instant, Commander Berry assisting me into the main chains. At this moment a Spanish officers looked over the quarter deck rail, and said they surrendered. From this most welcome intelligence, it was not long before I was on the quarter deck, where the captain, with a bow, presented me his sword, and said the admiral was dying of his wounds. I asked him on his honour if the ship was surrendered. He declared she was: on which i gave him my hand, and desired him to call on his officers and ship's company and tell them of it: which he did - and on the quarter deck of a Spanish first-rate, extravagant as the story may seem, did I receive the swords of vanquished Spaniards: which as I received, I gave to William Fearney, one of my bargemen, who put them, with the greatest sang-froid, under his arm.

</blockquote>

--(大局に係わらないディテールなので省略)-->







116行目: 94行目:

「サンティシマ・トリニダー」が降伏のために旗を降ろそうとしたところへ、前日に司令官によって派出されたため、戦闘中はコルドバのグループから切り離されていた「インファンテ・ペラヨ」と「サン・パブロ」がイギリス艦「ダイアデム」と「エクセレント」の間に割って入ってきた。「ペラヨ」のカエタノ・バルデス艦長は「サンティシマ」に、「敵艦とみなして掃射する」と脅迫することによって再度スペインの旗を揚げさせた。それにより「サンティシマ」は捕獲を免れた。

「サンティシマ・トリニダー」が降伏のために旗を降ろそうとしたところへ、前日に司令官によって派出されたため、戦闘中はコルドバのグループから切り離されていた「インファンテ・ペラヨ」と「サン・パブロ」がイギリス艦「ダイアデム」と「エクセレント」の間に割って入ってきた。「ペラヨ」のカエタノ・バルデス艦長は「サンティシマ」に、「敵艦とみなして掃射する」と脅迫することによって再度スペインの旗を揚げさせた。それにより「サンティシマ」は捕獲を免れた。



4時までには、スペインの旗艦「サンティシマ・トリニダー」は2隻に護衛されて戦場から離脱した。モレノ提督の戦隊はコルドバ戦隊の生き残りをまとめて、打ち破られたスペイン艦を救出しつつあった。ジャーヴィスは捕獲した艦と行動不能の艦を援護するよう艦隊に信号した。そして4時15分、フリゲートに捕獲艦を曳航するよう命令が出された。4時39分、艦隊は「ヴィクトリー」を先頭に縦陣を作るよう命令された。戦いはすでにほとんど終息し、「ブリタニア」および「オライオン」と、守られつつ離脱してゆく「サンティシマ・トリニダー」<ref>後に[[トラファルガーの海戦]]でスペイン艦隊の旗艦を務めることになる。</ref>の間で小競り合いがある程度となっていた。

4時までには、スペインの旗艦「サンティシマ・トリニダー」は2隻に護衛されて戦場から離脱した。モレノ提督の戦隊はコルドバ戦隊の生き残りをまとめて、打ち破られたスペイン艦を救出しつつあった。ジャーヴィスは捕獲した艦と行動不能の艦を援護するよう艦隊に信号した。そして4時15分、フリゲートに捕獲艦を曳航するよう命令が出された。4時39分、艦隊は「ヴィクトリー」を先頭に縦陣を作るよう命令された。戦いはすでにほとんど終息し、「[[ブリタニア (戦列艦・1762年)|ブリタニア]]」および「オライオン」と、守られつつ離脱してゆく「サンティシマ・トリニダー」<ref>後に[[トラファルガーの海戦]]でスペイン艦隊の旗艦を務めることになる。</ref>の間で小競り合いがある程度となっていた。



===海戦の終結===

===海戦の終結===

128行目: 106行目:


==戦いの後==

==戦いの後==

<!--

Jervis had given orders to destroy the 4 prizes had the action restarted.

Several days later, the frigate [[Terpsichore]] (32) spotted the damaged ''Santísima Trinidad'' making her way back to Spain.

The captain, [[Orozco]], now commissioned by de Cordoba had flown his flag in frigate ''Diana''.

Terpsichore engaged but kept always out of range from the stern guns of the ship anytime ''Santísima Trinidad'' bore down on the English frigate.

Terpsichore nonetheless was hit twice with those cannons in a sudden move, resulting in damage in her rigging, masts and sails as well as some impacts on her hull.

Captain Richard Bowen then ordered to keep the pursuit but from a longer distance until the frigate vanished away.

--(大局に係わらないディテールなのでコメント化)-->

イギリスの損害は戦死者73、重傷227、軽傷100であった。スペインの損害は死傷者合わせて約1,000名だった。

イギリスの損害は戦死者73、重傷227、軽傷100であった。スペインの損害は死傷者合わせて約1,000名だった。



ジャーヴィスはセント・ヴィンセント伯爵として貴族に列せられた。ネルソンはバス勲爵士に叙されて、少将に昇進した。コルドバはスペイン海軍から除籍され、宮廷への出仕も禁じられた。


[[]]


スペイン艦隊の実力が自らの艦隊と比べ物にならないほど劣ることを確認したジャーヴィスは、カディスでのスペイン艦隊の断固とした封鎖を実行した。

スペイン艦隊の実力が自らの艦隊と比べ物にならないほど劣ることを確認したジャーヴィスは、カディスでのスペイン艦隊の断固とした封鎖を実行した。

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スペインの脅威の封鎖と彼の艦隊の強化とによって、ジャーヴィスは翌年、ネルソン指揮下の戦隊をふたたび地中海に送ることができた。ソマレズの「オライオン」、トラウブリッジの「カローデン」、それに「ゴライアス」を含むその戦隊は、フォーリー提督の下に再編された地中海艦隊に加わり、[[ナイルの海戦]]で大きな戦果をあげることになる。

スペインの脅威の封鎖と彼の艦隊の強化とによって、ジャーヴィスは翌年、ネルソン指揮下の戦隊をふたたび地中海に送ることができた。ソマレズの「オライオン」、トラウブリッジの「カローデン」、それに「ゴライアス」を含むその戦隊は、フォーリー提督の下に再編された地中海艦隊に加わり、[[ナイルの海戦]]で大きな戦果をあげることになる。



==イギ艦隊==

==グレートブテン王国艦隊==

司令官はジョン・ジャーヴィス提督、旗艦「ヴィクトリー」座乗。以下の順序は戦列に従う。「死」は戦死者、「傷」は重傷者。この他に軽傷者が約100名いる。重傷者の多くは戦闘のあとで死亡した。

司令官はジョン・ジャーヴィス提督、旗艦「ヴィクトリー」座乗。以下の順序は戦列に従う。「死」は戦死者、「傷」は重傷者。この他に軽傷者が約100名いる。重傷者の多くは戦闘のあとで死亡した。



;(戦列艦)

;(戦列艦)

*[[カローデン (戦列艦・3代)|カローデン]](Culloden):74門、[[トーマス・トラウブリッジ (初代準男爵)|トーマス・トラウブリッジ]]艦長、死10、傷47

:*[[カローデン (戦列艦・3代)|カローデン]](Culloden):74門、[[トーマス・トラウブリッジ (初代準男爵)|トーマス・トラウブリッジ]]艦長、死10、傷47

*[[ブレニム (二等戦列艦)|ブレニム]](Blenheim):90門、トーマス・レノックス・フレデリック艦長、死12、傷49

:*[[ブレニム (二等戦列艦)|ブレニム]](Blenheim):90門、トーマス・レノックス・フレデリック艦長、死12、傷49

*プリンス・ジョージ(Prince George):90門、ウィリアム・パーカー少将座乗、ジョン・アーウィン艦長、死8、傷7

:*プリンス・ジョージ(Prince George):90門、ウィリアム・パーカー少将座乗、ジョン・アーウィン艦長、死8、傷7

*[[オライオン (戦列艦)|オライオン]](Orion):74門、ジェームズ・ソマレズ艦長、傷9

:*[[オライオン (戦列艦)|オライオン]](Orion):74門、ジェームズ・ソマレズ艦長、傷9

*コロッサス(Colossus):74門、ジョージ・マレイ艦長、傷5

:*[[コロッサス (戦列艦・初代)]](Colossus):74門、ジョージ・マレイ艦長、傷5

*イリジスタブル(Irresistible):74門、ジョージ・マーティン艦長、死5、傷14

:*イリジスタブル(Irresistible):74門、ジョージ・マーティン艦長、死5、傷14

*[[ヴィクトリー (戦列艦)|ヴィクトリー]](Victory):100門、ジョン・ジャーヴィス提督座乗、ロバート・カルダー艦長、ジョージ・グレイ艦長、死1、傷5

:*[[ヴィクトリー (戦列艦)|ヴィクトリー]](Victory):100門、ジョン・ジャーヴィス提督座乗、[[ロバート・カルダー]]艦長、ジョージ・グレイ艦長、死1、傷5

*エグモント(Egmont):74門、ジョン・サットン艦長

:*エグモント(Egmont):74門、ジョン・サットン艦長

*ゴライアス(Goliath):74門、チャールズ・H・ノウルズ艦長、傷8

:*ゴライアス(Goliath):74門、チャールズ・H・ノウルズ艦長、傷8

*バーフラー(Barfleur):98門、ウィリアム・ウォルドグレイヴ中将座乗、ジェームズ・リチャード・ダクリーズ艦長、傷7

:*バーフラー(Barfleur):98門、ウィリアム・ウォルドグレイヴ中将座乗、ジェームズ・リチャード・ダクリーズ艦長、傷7

*ブリタニア(Britannia):100門、チャールズ・トンプソン中将座乗、トーマス・フォーリー艦長、傷1

:*[[ブリタニア (戦列艦・1762年)|ブリタニア]](Britannia):100門、チャールズ・トンプソン中将座乗、トーマス・フォーリー艦長、傷1

*ネイマー(Namur):90門、ジェームズ・ホーキンズ・ウィッシュド艦長、死2、傷5

:*ネイマー(Namur):90門、ジェームズ・ホーキンズ・ウィッシュド艦長、死2、傷5

*[[キャプテン (戦列艦・3代)|キャプテン]](Captain):74門、[[ホレーショ・ネルソン]]代将座乗、ラルフ・ウィレット・ミラー艦長、大破、死24、傷56

:*[[キャプテン (戦列艦・3代)|キャプテン]](Captain):74門、[[ホレーショ・ネルソン (初代ネルソン子爵)|ホレーショ・ネルソン]]代将座乗、ラルフ・ウィレット・ミラー艦長、大破、死24、傷56

*ダイアデム(Diadem):64門、ジョージ・ヘンリー・トウリー艦長、傷2

:*ダイアデム(Diadem):64門、ジョージ・ヘンリー・トウリー艦長、傷2

*エクセレント(Excellent):74門、カスバート・コリンウッド艦長、死11、傷12

:*エクセレント(Excellent):74門、[[カスバート・コリンウッド|カスバート・コリンウッド]]艦長、死11、傷12

:


;(フリゲートその他)

;(フリゲートその他)

*ミナーヴァ(Minerve):38門、ジョージ・コックバーン艦長

:*ミナーヴァ(Minerve):38門、ジョージ・コックバーン艦長

*ライブリー(Lively):32門、ロード・ガーリーズ艦長

:*ライブリー(Lively):32門、ロード・ガーリーズ艦長

*ナイジャー(Niger):32門、エドワード・ジェームズ・フート艦長

:*ナイジャー(Niger):32門、エドワード・ジェームズ・フート艦長

*サウサンプトン(Southampton):32門、ジェームズ・マクナマラ艦長

:*サウサンプトン(Southampton):32門、ジェームズ・マクナマラ艦長

*ボニー・シトワイヤン(Bonne-Citoyenne):20門、チャールズ・リンゼイ海尉艦長

:*ボニー・シトワイヤン(Bonne-Citoyenne):20門、チャールズ・リンゼイ海尉艦長

*レイヴン(Raven):18門スループ、ウィリアム・プラウズ海尉艦長

:*レイヴン(Raven):18門スループ、ウィリアム・プラウズ海尉艦長

*フォックス(Fox):10門カッター、ジョン・ギブソン海尉

:*フォックス(Fox):10門カッター、ジョン・ギブソン海尉



==スペイン艦隊==

==スペイン王国艦隊==

司令官はホセ・デ・コルドバ提督、旗艦「サンティシマ・トリニダー」座乗。スペイン艦隊には明確な序列がない。

司令官はホセ・デ・コルドバ提督、旗艦「サンティシマ・トリニダー」座乗。スペイン艦隊には明確な序列がない。



191行目: 161行目:

*コンキスタドール(Conquistador):74門、J・バトラー艦長

*コンキスタドール(Conquistador):74門、J・バトラー艦長

*フィルメ(Firme):74門、B・アラヤ艦長

*フィルメ(Firme):74門、B・アラヤ艦長

*グロリオーソ(Glorioso):74門

*グロリオーソ(Glorioso):74門

*オリエンテ(Oriente):74門、J・スアレス艦長

*オリエンテ(Oriente):74門、J・スアレス艦長

*インファンテ・ペラヨ(Infante Pelayo):74門、C・バルデス艦長

*インファンテ・ペラヨ(Infante Pelayo):74門、C・バルデス艦長

206行目: 176行目:


;(フリゲートその他)

;(フリゲートその他)

*セレス(Ceres):34門

:*セレス(Ceres):34門

*''Atocha'':34門

:*''Atocha'':34門

*ディアナ(Diana):34門

:*ディアナ(Diana):34門

*マチルダ(Matilda):34門

:*マチルダ(Matilda):34門

*メルセデス(Mercedes):34門

:*メルセデス(Mercedes):34門

*ペルラ(Perla):34門

:*ペルラ(Perla):34門

*サンタ・ブリジーダ(Santa Brigida):34門

:*サンタ・ブリジーダ(Santa Brigida):34門



==注==

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==関連項目==

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*[[セント・ヴィンセント_(戦艦)]]

[[Category:フランス革命戦争]]

[[Category:スペインの戦]]

[[Category:イギリスの戦]]

[[Category:ポルトガル王国]]

[[Category:戦]]

[[Category:1797年]]



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[[cs:Bitva u mysu svatého Vincenta]]

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[[de:Seeschlacht bei Kap St. Vincent (1797)]]

[[Category:フランス革命戦争の海戦]]

[[en:Battle of Cape St Vincent (1797)]]

[[Category:スペインの戦]]

[[es:Batalla del Cabo de San Vicente]]

[[Category:イギリスの戦]]

[[fi:Cabo de São Vicenten taistelu (1797)]]

[[Category:ポルトガル王国]]

[[fr:Bataille du cap Saint-Vincent (1797)]]

[[Category:1797年の]]

[[he:קרב כף סנט וינסנט]]

[[Category:大西洋の歴史]]

[[it:Battaglia di Capo San Vincenzo (1797)]]

[[Category:ホレーショ・ネルソン]]

[[nl:Zeeslag bij Kaap Sint-Vincent (1797)]]

[[pl:Bitwa koło Przylądka św. Wincentego (1797)]]

[[pt:Batalha do Cabo de São Vicente (1797)]]

[[ru:Сражение при Сент-Винсенте]]

[[sv:Slaget vid Kap Sankt Vincent (1797)]]

[[zh:聖文生角戰役 (1797年)]]


2024年5月16日 (木) 11:05時点における最新版

サン・ビセンテ岬の海戦

サン・ビセンテ岬の海戦1797年2月14日
ロバート・クレヴェリー
戦争フランス革命戦争
年月日1797年2月14日
場所ポルトガルサン・ヴィセンテ岬
結果:グレートブリテン王国の勝利
交戦勢力
グレートブリテン王国の旗 グレートブリテン王国 スペインの旗 スペイン王国
指導者・指揮官
グレートブリテン王国の旗 ジョン・ジャーヴィス スペインの旗 ホセ・デ・コルドバ
戦力
戦列艦 15隻、フリゲート 5隻、スループカッター各 1隻 戦列艦 27隻、フリゲート 7隻
損害
戦死73名、負傷327名 戦死250名、負傷550名
捕獲 4隻
フランス革命戦争

: Battle of Cape St Vincent西: Batalla del Cabo de San Vicente: Batalha do Cabo de São Vicente1797214

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2501553022"A victory to England is very essential at this moment."

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100




Culloden741047

Blenheim901249

Prince George9087

Orion749

 ()Colossus745

Irresistible74514

Victory10015

Egmont74

Goliath74H8

Barfleur987

Britannia1001

Namur9025

Captain742456

Diadem642

Excellent741112





Minerve38

Lively32

Niger32

Southampton32

Bonne-Citoyenne20

Raven18

Fox10

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Santísima Trinidad130200

Purísima Concepción112

Conde de Regla112

Mexicano112P

Principe de Asturias112J.A

Salvador del Mundo112DA42124

San José112FJWinthuysen4696

San Nicolás74T14459

Atlante74G

Conquistador74J

Firme74B

Glorioso74

Oriente74J

Infante Pelayo74C

San Antonio74S

San Domingo74M

San Fermín74J

San Francisco de Paula74J

San Genaro74A

San Ildefonso74R

San Juan Nepomuceno74A

San Pablo74B

San Isidro74T2963

Soberano74JV




Ceres34

Atocha34

Diana34

Matilda34

Mercedes34

Perla34

Santa Brigida34

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(一)^ 

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