コンテンツにスキップ

「ゼルミーラ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
→‎外部リンク: カテゴリ変更
 
(23人の利用者による、間の31版が非表示)
1行目: 1行目:

{{クラシック音楽}}

{{Portal クラシック音楽}}

'''ゼルミーラ(Zelmira)'''は、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]が[[1822年]]に作曲したオペラ・セリア。

'''ゼルミーラ'''』(''Zelmira'')は、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]が[[1822年]]に作曲したオペラ・セリア。この作品をもって[[ナポリ]]向けの作品の最後となる

この作品を以て[[ナポリ]]向けの作品の最後となる。



*原曲名:Zelmira

*原曲名:''Zelmira''

*原作:ドルモン・ド・ベロワの悲劇「ゼルミーラ」

*原作:[[ドルモン・ド・ベロワ]]の悲劇「ゼルミーラ」

*台本:[[アンドレア・レオーネ・トットラ]]

*台本:[[アンドレア・レオーネ・トットラ]]

*演奏時間:第1幕1時間40分、第2幕1時間

*演奏時間:第1幕1時間40分、第2幕1時間

11行目: 10行目:


== 作曲の経緯 ==

== 作曲の経緯 ==

 1815年にナポリサン・カルロ劇場の支配人であるドメニコ・バルバイアの招きでオペラセリアを作曲していたロッシーニであるが、1821年の終わりにバルバイアがウィーンのケルントナートーア劇場の支配人も兼任し、1822年の4月から6月までロッシーニ・フェスティバルを企画していた。その最初を飾るオペラとしてロッシーニに提供された題材はドルモン・ド・ベロワの「ゼルミーラ」だった。

1815年にナポリ・[[サン・カルロ劇場]]の支配人である[[ドメニコ・バルバイア]]の招きでオペラセリアを作曲していたロッシーニであるが、1821年の終わりにバルバイアが[[ウィーン]][[ケルントナートーア劇場]]の支配人も兼任し、1822年の4月から6月までロッシーニ・フェスティバルを企画していた。その最初を飾るオペラとしてロッシーニに提供された題材はドルモン・ド・ベロワの「ゼルミーラ」だった。




 [[]][[]]18222161

[[]][[]]18222161


== 作品の特徴 ==

== 作品の特徴 ==


 [[]][[]]

[[]][[]][[]]

 

 


 





 20[[1989]]7[[]][[]][[]][[]]

この作品も、ロッシーニのほかのオペラと共に一時忘れ去られていたが、20世紀の復活上演は[[1989年]]7月、[[ヴィチェンツァ]]の[[オリンピコ劇場]]において、[[クラウディオ・シモーネ]]の指揮、[[イ・ソリスティ・ヴェネティ]]の演奏で行われた。



== 構成 ==

== 構成 ==

32行目: 31行目:

**第2場…王宮の外

**第2場…王宮の外

**第3場…牢獄の中

**第3場…牢獄の中


== 編成 ==

== 編成 ==

=== 登場人物 ===

=== 登場人物 ===

*ゼルミーラ(レスボスの王女)…[[ソプラノ]]

*ゼルミーラ(レスボスの王女)…[[ソプラノ]]

*エンマ(ゼルミーラの友人)…[[メゾソプラノ]]

*エンマ(ゼルミーラの友人)…[[メゾソプラノ]]

*イーロ(ゼルミーラのでトロイアの王子)…[[テノール]]

*イーロ(ゼルミーラのでトロイアの王子)…[[テノール]]

*アンテノレ(ミティレーネからの侵略者アゾールの政敵でレスボス王位の簒奪者)…テノール

*アンテノレ(ミティレーネからの侵略者アゾールの政敵でレスボス王位の簒奪者)…テノール

*ポリドーロ(レスボス王で現在潜伏中)…[[バス (声域)|バス]]

*ポリドーロ(レスボス王で現在潜伏中)…[[バス (声域)|バス]]

48行目: 48行目:

*[[トランペット]]2

*[[トランペット]]2

*[[トロンボーン]]3

*[[トロンボーン]]3

*[[ティンパニ]]

*[[ティンパニ]]

*[[大太鼓]]

*[[大太鼓]]

*[[シンバル]]

*[[シンバル]]

63行目: 63行目:


== あらすじ ==

== あらすじ ==


{{ネタバレ}}

舞台は古代の[[レスボス島]]

舞台は古代の[[レスボス島]]

=== 本編に入る前のお話 ===

=== 本編に入る前のお話 ===

 レスボス島では、長い間ポリドーロ王によって支配されていた。王は国民の人気が高かっただけではなく、娘のゼルミーラとその夫で[[トロイア]]の王子イーロ愛情にも支えられていた。しかし、イーロが出征した時に王国の防備が手薄になった隙を狙って隣の[[ミティレーネ]]の支配者アゾールが攻め込み王位を簒奪する。そのときアゾールはポリドーロの娘ゼルミーラを妻とすることを要求するが、ポリドーロが拒んだため、ポリドーロを殺そうと考える。そこでゼルミーラは、父親を、歴代レスボス王の墓の中に隠し、自分が父親を憎んでいたと皆に信じ込ませ、ケレースの神殿にポリドーロが逃げ込んだという噂を流す。アゾールはケレースの神殿を焼き討ちし、皆は、ポリドーロが死んだものと考える。しばらくして、ミティレーネの王位を狙っていたアンテノレが仲間のレウチッポの協力を得てアゾールを殺害してしまう。


[[|]][[]][[]]殿殿

=== 第1幕 ===

=== 第1幕 ===

 ナポリ時代のほかの作品同様、この作品も序曲無しで物語が始まる。

ナポリ時代のほかの作品同様、この作品も序曲無しで物語が始まる。

==== 第1場 ====

==== 第1場 ====


 ''''''''''''''''''''

'''''!'''''''''''''''

2人が退場した後、ゼルミーラとその友人エンマが登場、ポリドーロの様子を見るために歴代の王の墓へと入っていく。



 二人が退場した後、ゼルミーラとその友人エンマが登場、ポリドーロの様子を見るために歴代の王の墓へと入っていく。

==== 第2場 ====

==== 第2場 ====

 舞台は歴代レスボス王の墓の中。

舞台は歴代レスボス王の墓の中。



''''''''''''''''''''



 ''''''''''''''''''''

==== 第3場 ====

==== 第3場 ====

 舞台はゼウスの神殿の前。

舞台は[[ゼウス]]の神殿の前。


集まった人々が、凱旋してきたイーロを喜びと共に迎える。イーロは愛する妻ゼルミーラと息子に早く会いたいと思うが、ようやくそれが実現し彼らはひしと抱き合う。'''''(アリア「懐かしい土地よ」)'''''しかし、ゼルミーラはこのレスボスで起こった状況をありのままに話そうかためらう。lその後アンテノレとレウチッポと会ったイーロは、彼らからゼルミーラがポリドーロを裏切りイーロも裏切っているのだと偽りの言葉を聞かされ、信じ込まされる。一方ゼルミーラは、エンマから、アンテノレがゼルミーラをアゾール殺害の罪で告発した聞かされる



 集まった人々が、凱旋してきたイーロを喜びと共に迎える。イーロは愛する妻ゼルミーラと息子に早く会いたいと思うが、ようやくそれが実現し彼らはひしと抱き合う。'''''(アリア「懐かしい土地よ」)'''''しかし、ゼルミーラはこのレスボスで起こった状況をありのままに話そうかためらう。lその後アンテノレとレウチッポと会ったイーロは、彼らからゼルミーラがポリドーロを裏切りイーロも裏切っているのだと偽りの言葉を聞かされ、信じ込まされる。一方ゼルミーラは、エンマから、アンテノレがゼルミーラをアゾール殺害の罪で告発した聞かされる

==== 第4場 ====

==== 第4場 ====

 舞台は王宮の広間。

舞台は王宮の広間。



''''''''''



 ''''''''''

=== 第2幕 ===

=== 第2幕 ===

==== 第1場 ====

==== 第1場 ====

 舞台は王宮の一室。ゼルミーラがイーロに宛てた手紙を奪い取ったアンテノレは、その手紙に、彼女が父親殺しに関わっていないこと、またポリドーロが生きていることを暗示したことが書かれているのを知り、ゼルミーラへの監視を強化させる。

舞台は王宮の一室。ゼルミーラがイーロに宛てた手紙を奪い取ったアンテノレは、その手紙に、彼女が父親殺しに関わっていないこと、またポリドーロが生きていることを暗示したことが書かれているのを知り、ゼルミーラへの監視を強化させる。

 

 

 その頃エンマは、ゼルミーラの息子を連れて安全な場所へと避難させる。'''''(アリア「さあ、この子を、あなた方に預けます」)'''''

その頃エンマは、ゼルミーラの息子を連れて安全な場所へと避難させる。'''''(アリア「さあ、この子を、あなた方に預けます」)'''''


==== 第2場 ====

==== 第2場 ====

 舞台は城壁の外。ゼルミーラへの愛を失ったことを悲しんでいるイーロは、墓の中からポリドーロが現れるので驚く。人は再会を喜び合い、イーロはこれまでの出来事を


2

説明して、ゼルミーラへの中傷に反論する。



 イーロがポリドーロを逃がすことを企てていることを知ったアンテノレは、ポリドーロを捕らえて投獄する。ゼルミーラは父の命と引き換えに自分の命をと訴え、人々はゼルミーラを擁護する者と責める者とに分裂する。

イーロがポリドーロを逃がすことを企てていることを知ったアンテノレは、ポリドーロを捕らえて投獄する。ゼルミーラは父の命と引き換えに自分の命をと訴え、人々はゼルミーラを擁護する者と責める者とに分裂する。


エンマが、アンテノレとレウチッポによって、ポリドーロとゼルミーラを殺害する計画が立てられていることを知り、イーロに助けを求めに行く。



 エンマが、アンテノレとレウチッポによって、ポリドーロとゼルミーラを殺害する計画が立てられていることを知り、イーロに助けを求めに行く。

==== 第3場 ====

==== 第3場 ====

 最後は牢獄の中。ゼルミーラとポリドーロはが不運を嘆いている。ちょうど幸運にも、そこへ軍勢を率いたイーロが現れ、人を助け出し、代わりにアンテノレとレウチッポを逮捕投獄する。こうしてレスボスに平和が戻り、それを喜ぶゼルミーラの歌で幕となる。'''''(アリアフィナーレ「神々よ、真なのでしょうか」)'''''

最後は牢獄の中。ゼルミーラとポリドーロはが不運を嘆いている。ちょうど幸運にも、そこへ軍勢を率いたイーロが現れ、2人を助け出し、代わりにアンテノレとレウチッポを逮捕投獄する。こうしてレスボスに平和が戻り、それを喜ぶゼルミーラの歌で幕となる。'''''(アリアフィナーレ「神々よ、真なのでしょうか」)'''''



== 主要曲 ==

== 主要曲 ==

108行目: 114行目:

**フィナーレ「土手を打ち破ってあふれ出る川」

**フィナーレ「土手を打ち破ってあふれ出る川」

*第2幕

*第2幕

**第1場のアリア「さあ、この子を、あなた方に預けます」(エンマ)

**アリアフィナーレ「神々よ、真なのでしょうか」(ゼルミーラ)

**アリアフィナーレ「神々よ、真なのでしょうか」(ゼルミーラ)

==録音及び映像==

{| class="wikitable"

!年

!width="140"|キャスト

!指揮者,<br>上演劇場並びにオーケストラ

!レーベル

|-

|1965

|[[ヴィルジニア・ゼアーニ]],<br>ニコロ・ターガー,<br>ガストーネ・リマリッリ,<br>パオロ・ワシントン,<br>アンナ・ロータ

|カルロ・フランチ, <br>[[サン・カルロ劇場]]管弦楽団及び合唱団<br> (1965年4月10日にナポリ、サン・カルロ劇場でのライブ録音)

|Audio CD:Opera d'Oro<br>Cat: OPD 1455,Great Opera Performances<br>Cat: G.O.P. 780

|-

|1989

|チェチーリア・ガスディア,<br>[[ウィリアム・マッテウッティ]],<br>ベルナルダ・フィンク,<br>[[クリス・メリット]],<br>ホセ・ガルシア

|[[クラウディオ・シモーネ]],<br>イ・ソリスティ・ヴェネティ

| Audio CD: Erato<br>Cat: 45419(ステレオ録音)

|-

|2003

| [[エリザベス・フトラル]],<br>[[アントニーノ・シラクーザ]],<br>マヌエラ・カスター,<br>[[ブルース・フォード]],<br>マルコ・ヴィンコ

| [[マウリツィオ・ベニーニ]], <br>[[スコットランド室内管弦楽団]]

| Audio CD: Opera Rara<br>Cat: ORC 27

|-

|2009

|[[ケイト・オールドリッチ]],<br>[[ファン・ディエゴ・フローレス]],<br>マリアンナ・ピッツォラート,<br>[[グレゴリー・クンデ]],<br>[[アレックス・エスポジト]]

|[[ロベルト・アバド]],<br>[[ボローニャ市立劇場]]管弦楽団及び合唱団,<br>(2009年8月[[ロッシーニオペラフェスティバル]]での上演映像)

|DVD:[[デッカ・レコード|デッカ]],<br>Cat: 0440 074 3465 9

|-

|}


== 関連事項 ==

== 関連事項 ==

*[[ウィーン]]

*[[クラウディオ・シモーネ]]

*[[クラウディオ・シモーネ]]

*[[サン・カルロ劇場]]

*[[サン・カルロ劇場]]


[[Category:ロッシーニのオペラ|せるみーら]]

== 外部リンク ==


* {{IMSLP|work=Zelmira_(Rossini,_Gioacchino)|cname=ゼルミーラ}}

{{ロッシーニのオペラ}}


{{classic-stub}}

{{classic-stub}}

{{Normdaten}}

[[it:Zelmira (opera)]]

{{デフォルトソート:せるみいら}}

[[Category:ロッシーニのオペラ]]

[[Category:1820年代のオペラ]]

[[Category:イタリア語のオペラ]]

[[Category:戯曲を原作とするオペラ]]


2021年5月26日 (水) 09:49時点における最新版


Zelmira1822

Zelmira





114021

18211822

1822216

[]


18151821182246

18222161

[]


 

2019897

[]


1
1

2

3殿

4

2
1

2

3

[]

[]













[]


2

22

2

2

4

2

3












1

2








[]



[]


殿殿

1[]



1[]


!

2退

2[]





3[]


殿


4[]





2[]

1[]


 

2[]


2




3[]


2

主要曲[編集]

  • 第1幕
    • 第1場のアリア「何を見たと思う、友等よ!」(アンテノレ)
    • 第2場のアリア「ああ、すでに一日が過ぎ」(ポリドーロ)
    • 第2場の三重唱「嘆き悲しむ父親の」(ゼルミーラ、エンマ、ポリドーロ)
    • 第3場のアリア「懐かしい土地よ」(イーロ)
    • フィナーレ「土手を打ち破ってあふれ出る川」
  • 第2幕
    • 第1場のアリア「さあ、この子を、あなた方に預けます」(エンマ)
    • アリアフィナーレ「神々よ、真なのでしょうか」(ゼルミーラ)

録音及び映像[編集]

キャスト 指揮者,
上演劇場並びにオーケストラ
レーベル
1965 ヴィルジニア・ゼアーニ,
ニコロ・ターガー,
ガストーネ・リマリッリ,
パオロ・ワシントン,
アンナ・ロータ
カルロ・フランチ,
サン・カルロ劇場管弦楽団及び合唱団
(1965年4月10日にナポリ、サン・カルロ劇場でのライブ録音)
Audio CD:Opera d'Oro
Cat: OPD 1455,Great Opera Performances
Cat: G.O.P. 780
1989 チェチーリア・ガスディア,
ウィリアム・マッテウッティ,
ベルナルダ・フィンク,
クリス・メリット,
ホセ・ガルシア
クラウディオ・シモーネ,
イ・ソリスティ・ヴェネティ
Audio CD: Erato
Cat: 45419(ステレオ録音)
2003 エリザベス・フトラル,
アントニーノ・シラクーザ,
マヌエラ・カスター,
ブルース・フォード,
マルコ・ヴィンコ
マウリツィオ・ベニーニ,
スコットランド室内管弦楽団
Audio CD: Opera Rara
Cat: ORC 27
2009 ケイト・オールドリッチ,
ファン・ディエゴ・フローレス,
マリアンナ・ピッツォラート,
グレゴリー・クンデ,
アレックス・エスポジト
ロベルト・アバド,
ボローニャ市立劇場管弦楽団及び合唱団,
(2009年8月ロッシーニオペラフェスティバルでの上演映像)
DVD:デッカ,
Cat: 0440 074 3465 9

関連事項[編集]

外部リンク[編集]