フェニルチオカルバミド
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フェニルチオカルバミド | |
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Phenylthiourea | |
別称 N-Phenylthiourea; 1-Phenylthiourea | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 103-85-5 ![]() |
PubChem | 676454 |
UNII | 6F82C6Q54C ![]() |
MeSH | Phenylthiourea |
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特性 | |
化学式 | C7H8N2S |
モル質量 | 152.22 g mol−1 |
外観 | 白色~淡黄色の粉末 |
密度 | 1.294 g/cm3 |
融点 |
145-150 °C, 418-423 K, 293-302 °F |
水への溶解度 | 熱水に溶ける |
危険性 | |
EU分類 | ![]() |
NFPA 704 | |
半数致死量 LD50 | 3 mg/kg (oral, rat) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フェニルチオカルバミド︵英:Phenylthiocarbamide、PTC︶は、味覚に対して特異な性質を持つ有機化合物である。ヒトはフェニルチオカルバミドに反応する苦味受容体タンパク質TAS2R38をもつが、この機能を失わせる遺伝的変異があるためこの物質を苦いと感じるかどうかは個体によって異なり、苦味を感じない個体群を味盲という。
世界的に見ると、およそ70%のヒトがこの物質を苦いと感じるが、この割合は民族によって変化する。例えば、この割合が低いオーストラリア先住民やパプア人では58%なのに対して、アメリカ先住民では98%もの人が苦味を感じることができる[1]。またコーヒーやお茶を日常的に飲まない人や非喫煙者には、この割合が高いという研究結果もある[2][3]。また女性の方が男性よりも苦味を感じる割合が高いという報告もある。
歴史
デュポンに勤める化学者であったアーサー・フォックスは、1931年にフェニルチオカルバミドの純粋な結晶の粉末を誤って落としてしまったことにより、偶然その苦味を感じるかどうかが遺伝によって決まるという事実を発見した。近くにいた同僚の研究者の口に入り、苦味に対して文句を言われたのに、より近くにいたフォックスは何も感じなかったのである。フォックスは家族や友人の味蕾を対象に研究を続け、その後の遺伝的研究の基礎を作った。遺伝的浸透率が非常に強力なため、DNA鑑定が一般化する以前には父親との親子鑑定に用いられた[4]。
味覚
チオ尿素系の化合物に対する味覚と食習慣の間には関係があるという証拠はたくさんある。同様に、ヘビースモーカーはフェニルチオカルバミドに対して、より鈍感である。
遺伝
味覚に関わるタンパク質をコードする遺伝子には4つの一塩基多型が見つかっている。しかし、これが優性なのか劣性なのかはわかっていない。一方のコピーのみが感受性であれば苦味を感じることが示されているが、苦味の感じ方が弱いという結果もある。またこれには別の遺伝子も関わっているという指摘もある。
参考文献
- ^ Kim U, Wooding S, Ricci D, Jorde LB, Drayna D (2005). “Worldwide haplotype diversity and coding sequence variation at human bitter taste receptor loci”. Human Mutation 26 (3): 199–204. doi:10.1002/humu.20203. PMID 16086309.
- ^ Fischer R, Griffin F, Kaplan AR (1963). “Taste thresholds, cigarette smoking, and food dislikes”. Medicina Experimentalis. International Journal of Experimental Medicine 9 (3): 151–67. doi:10.1159/000135346. PMID 14083335.
- ^ Kaplan AR, Glanville EV, Fischer R (1964). “Taste thresholds for bitterness and cigarette smoking”. Nature 202 (4939): 1366. Bibcode: 1964Natur.202.1366K. doi:10.1038/2021366a0. PMID 14210998.
- ^ Lee Phillips M (2003年7月15日). “Scientists Find Bitter Taste Gene”. 2009年12月5日閲覧。
- L. Kameswaran, S. Gopalakrishnan, M. Sukumar, (1974). Phenylthiocarbamide and Naringin Taste Threshold in South Indian Medical Students, Ind. J. Pharmac., 6 (3). 134-140.