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「レンズ」の版間の差分

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{{Otheruses|透明の球面体|その他|レンズ (曖昧さ回避)}}

{{Otheruses|透明の球面体|その他|レンズ (曖昧さ回避)}}

[[ファイル:BiconvexLens.jpg|サムネイル|レンズ]]

{{Redirect|ルーペ|伊藤かな恵の楽曲|ルーペ (曲)}}

[[ファイル:BiconvexLens.jpg|thumb|レンズ]]

[[ファイル:Lens2-ja.svg|サムネイル|レンズの断面形状の種類]]

'''レンズ'''({{Lang-nl-short|lens}}、{{Lang-zh-short|透鏡}})とは、

[[ファイル:Lens2-ja.svg|thumb|レンズの断面形状の種類]]


''''''{{Lang-nl-short|lens}}[[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]]

#[[光]]を[[屈折]]させて[[発散]]または[[集束]]させるための[[光学素子]]。本項詳述する。

#上記光学素子と同じ役割をする素子や技術、自然現象など。本項でも説明する。

#[[写真レンズ]]のこと。複数のレンズを含む機械要素や電子回路などで構成される。


==概要==

[[光]]を[[屈折]]させて[[発散]]または[[集束]]させるための[[光学素子]]。通常は、両側面を[[球面]]と球面または球面と[[平面]]とした[[透明体]]である。

「'''透鏡'''」とも呼ばれる。

用途によっては、片面または両面を球面ではなくした[[非球面レンズ]]も利用される。



実用上の多くのレンズは1つの軸([[光軸]])のまわりに[[回転対称]]な面でできていて、以下の説明では主にこの場合を扱う。回転対称でない例として[[乱視]]用めがねレンズ([[トーリックレンズ]])、棒状の半円柱形ルーペなどがある。入射した平行[[光束]]を収束させる働きを持つものを'''[[凸レンズ]]'''、発散させるものを'''[[凹レンズ]]'''という。通常、レンズ中央部は凸レンズでは厚く、凹レンズでは薄い<!--ただし、これが凸・凹の定義ではない。反例としては軸外しレンズ、フレネルレンズなど。-->。

実用上の多くのレンズは1つの軸([[光軸]])のまわりに[[回転対称]]な面でできていて、以下の説明では主にこの場合を扱う。回転対称でない例として[[乱視]]用めがねレンズ([[トーリックレンズ]])、棒状の半円柱形ルーペなどがある。入射した平行[[光束]]を収束させる働きを持つものを'''[[凸レンズ]]'''、発散させるものを'''[[凹レンズ]]'''という。通常、レンズ中央部は凸レンズでは厚く、凹レンズでは薄い<!--ただし、これが凸・凹の定義ではない。反例としては軸外しレンズ、フレネルレンズなど。-->。



[[素材]]としては[[ガラス]]や、[[有機ガラス]]などの透明な[[プラスチック]]類が主に使われる。特に[[光学機器]]のレンズには[[光学ガラス]]が使われ、また特殊な性質が必要とされることも多く[[蛍石]]などの特殊材料がある。<!--高精度を求められるレンズでは[[トリウム]]などの特殊な素材を添加することもある。--><!--←弗素とかいくらでもそういう添加物はあるんで、トリウムだけ挙げる意味がない-->

[[素材]]としては[[ガラス]]や、[[有機ガラス]]などの透明な[[プラスチック]]類が主に使われる。特に[[光学機器]]のレンズには[[光学ガラス]]が使われ、特殊な性質が必要とされることも多く[[蛍石]]などの特殊材料がある。<!--高精度を求められるレンズでは[[トリウム]]などの特殊な素材を添加することもある。--><!--←弗素とかいくらでもそういう添加物はあるんで、トリウムだけ挙げる意味がない-->


[[顕微鏡]]として微細な世界とそこに潜む微細な[[生命]]を発見させたり、[[望遠鏡]]として[[地球]]外の世界を見せるなど、レンズは[[科学]]の発展([[科学史]])に大きく関与している。


その他、[[写真]]およびその延長である[[映画]]、今や写真の技術が不可欠である[[印刷]]、その延長である[[集積回路]]の[[フォトマスク]]など現代の文明に欠くことのできない物である。



[[写真レンズ|写真撮影用のレンズ]]など、1セットのモジュールとなっているもの全体をレンズと言うことも多い。[[眼]]の[[水晶体]]もレンズと呼ばれる。


[[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]]


[[懐中電灯]]などの[[照明|照明器具]]の灯り([[光束]])を制御する目的でも多く利用される。

[[写真レンズ|写真撮影用のレンズ]]など、1セットのモジュールとなっているもの全体をレンズと言うことも多い。また、[[眼]]の[[水晶体]]もレンズと呼ばれる。




[[]][[|]]{{Lang-la|''lens''}}

[[]][[]]{{Lang-la|''lens''}}<ref>[https://kotobank.jp/ejword/lens lens -  - ]</ref><ref>[https://emg-gweb.com/3104/  - EMG ]</ref>





<!---->使


文脈によるが「鏡玉」は、宝物としての鏡と玉という意味のことも多い。

== 歴史 ==

{{節スタブ}}

現在確認されている世界最古のレンズは[[アッシリアの水晶レンズ|ニムルドのレンズ]]である。ユーラシア大陸の古代文明において、レンズは着火用に用いられていた。



== 凸レンズ ==

== 凸レンズ ==

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[[ファイル:Lens3-ja.svg|thumb|図1-2 物体が焦点距離より遠いときは実像ができる]]

[[ファイル:Lens3-ja.svg|thumb|図1-2 物体が焦点距離より遠いときは実像ができる]]

[[ファイル:Lens3b-ja.svg|thumb|図1-3 物体が焦点距離より近いときは虚像ができる]]

[[ファイル:Lens3b-ja.svg|thumb|図1-3 物体が焦点距離より近いときは虚像ができる]]


[[]][[]]''''''{{Lang-en-short|convex lens}}

[[]][[]]''''''{{Lang-en-short|convex lens}}



'''[[]]'''[[]]'''[[ ()|]]''''''[[]]'''<!---->'''[[]]'''[[]]

'''[[]]'''[[]]'''[[ ()|]]''''''[[]]'''<!---->'''[[]]'''[[]]


凸レンズには主に下のような性質がある(図1-1)。

凸レンズには主に下のような性質がある(図1-1)。

# 光軸に平行な光線は凸レンズを通ったのち焦点を通る

# 光軸に平行な光線は凸レンズを通ったのち焦点を通る

# 焦点から出た光線は凸レンズを通ったのち光軸に平行な光線となる

# 焦点から出た光線は凸レンズを通ったのち光軸に平行な光線となる

# レンズの[[節点]]を通る光は角度を変えずに進む

# レンズの[[節点]]{{要曖昧さ回避|date=2021年10月}}を通る光は角度を変えずに進む



=== 実像と虚像 ===

=== 実像と虚像 ===

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[[]][[]]'''[[]]'''

[[]][[]]'''[[]]'''


また、物側焦点より近い物体上の点から出た光(図1-3)について考えると、

物側焦点より近い物体上の点から出た光(図1-3)について考えると、

# 物体から軸に平行にレンズに向かう光は、屈折されたあと像側焦点を通る光になる

# 物体から軸に平行にレンズに向かう光は、屈折されたあと像側焦点を通る光になる

# 節点を通る光は、レンズを通る前後で角度が変わらない(薄レンズ近似では主点と節点が一致するため、ただ直進する)

# 節点を通る光は、レンズを通る前後で角度が変わらない(薄レンズ近似では主点と節点が一致するため、ただ直進する)

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で表される(''m'' は実像では負、虚像で正である)<ref name="Smith_MOE" />。

で表される(''m'' は実像では負、虚像で正である)<ref name="Smith_MOE" />。



また、上記レンズの公式の別の表現として、前側焦点と物との座標差を'' z ''、後側焦点と像との座標差を'' z' ''とおくと以下のニュートン形式の式が成り立つ<ref name="Smith_MOE" />。

上記レンズの公式の別の表現として、前側焦点と物との座標差を'' z ''、後側焦点と像との座標差を'' z' ''とおくと以下のニュートン形式の式が成り立つ<ref name="Smith_MOE" />。

{{Indent|

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''-zz' '' <nowiki>=</nowiki> ''f''<sup> 2</sup><br />

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''m'' <nowiki>=</nowiki> -''z' ''/''f'' <nowiki>=</nowiki> ''f''/''z''}}

''m'' <nowiki>=</nowiki> -''z' ''/''f'' <nowiki>=</nowiki> ''f''/''z''}}


=== 副実像<ref>{{Cite web|和書|url=https://sh.higo.ed.jp/utosh/wysiwyg/file/download/24/327 |title="副実像"の写像公式化の研究 |accessdate=2022-03-05 |publisher=[[熊本県立宇土中学校・高等学校|熊本県立宇土高等学校]]}}</ref> ===

{{節スタブ|上の参考文献に基づく記述をお願いします。|date=2022年3月5日 (土) 12:44 (UTC)}}



=== ルーペ ===

=== ルーペ ===

{{Redirect|ルーペ|伊藤かな恵の楽曲|ルーペ (曲)}}

[[ファイル:Magnifying glass.jpg|thumb|虫眼鏡(凸レンズの代表的利用例)]]

[[ファイル:Magnifying glass.jpg|thumb|虫眼鏡(凸レンズの代表的利用例)]]

[[ファイル:Loupe-optical path.svg|thumb|right|ルーペの光路図]]

[[ファイル:Loupe-optical path.svg|thumb|right|ルーペの光路図]]

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* 目を後側焦点に置く(''z'' = 0)。このとき倍率は一定で ''M'' = ''L''/''f'' となり物体の位置によらない。

* 目を後側焦点に置く(''z'' = 0)。このとき倍率は一定で ''M'' = ''L''/''f'' となり物体の位置によらない。



商品としてのルーペには ''M''<sub>0</sub> = 250/''f'' を倍率として表示している場合<ref>{{Cite web

商品としてのルーペには ''M''<sub>0</sub> = 250/''f'' を倍率として表示している場合<ref>{{Cite web|和書

|author = [[ニコンビジョン]]

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137行目: 150行目:

|accessdate = 2008-06-02

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}}</ref>と、

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''M'' = (250/''f'') + 1 = ''M''<sub>0</sub> + 1 を表示している場合<ref>{{Cite web

''M'' = (250/''f'') + 1 = ''M''<sub>0</sub> + 1 を表示している場合<ref>{{Cite web|和書

|author = 池田レンズ工業

|author = 池田レンズ工業

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145行目: 158行目:

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|accessdate = 2006-06-02

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}}</ref>、あるいはそのいずれでもない場合(目と物体の間の距離を 250 mm としてレンズをその中間に置いたときの倍率<ref>{{Cite web

}}</ref>、あるいはそのいずれでもない場合(目と物体の間の距離を 250 mm としてレンズをその中間に置いたときの倍率<ref>{{Cite web|和書

|author = ニコンビジョン

|author = ニコンビジョン

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197行目: 210行目:


== 凹凸レンズ ==

== 凹凸レンズ ==


(:meniscus lens)使

(:meniscus lens)使


== レンズの種類 ==

== レンズの種類 ==

屈折率により光路を制御するレンズ以外にも様々なレンズが存在する。

===屈折率により光路を制御するレンズ===

* [[回折レンズ]] - [[回折]]を利用したもので、一部の写真レンズの部品として用いられている。

* [[回折レンズ]] - [[回折]]を利用したもので、一部の写真レンズの部品として用いられている。


* [[]] - [[WDM]][[]]使SLA使

* [[]] - [[]][[]][[]]2

* [[]] - [[]]<ref></ref>[[]][[]]

* [[セルフォックレンズ]] - 屈折率分布型の端面が平坦なレンズ。アライメントがし易いため[[WDM]][[光通信]]のコンポーネントなどに使われる。

* [[非球面レンズ]] - [[カメラ]](特にレンズ交換式[[一眼レフカメラ]])用の[[写真レンズ]]で、[[光]]の[[屈折]]によって生じる[[収差]]効果による、樽型歪曲や糸巻き収差、[[色収差]]を抑えた特殊なレンズ。

* [[セルフォックレンズアレイ]](SLA) - セルフォックレンズをアレイ状に並べたもの。プリンタやコピー機の光学系などに使われる。

* [[電子顕微鏡]]では光の代わりに[[電子線]]を用いて試料の拡大像や[[電子線回折|回折]]図形を得るが、この電子線を曲げるレンズ([[電子レンズ]])として電磁石を用いた磁界レンズや静電場を使った静電レンズが用いられる。

* [[放射光]]などによる[[X線回折]]では、回折によってX線を集光するX線レンズが用いられている。X線レンズの材料として金属多層膜などが挙げられる。



===光学レンズと同様な働きをする技術、現象===

その他の分野では


* [[]] - [[]][[]][[]]2

* [[爆縮レンズ]] - 原子爆弾に用いられる技術


* [[]][[]][[|]][[|]]([[]])[[]][[|]]使

* [[放射光]]などによる[[X線回折]]では、[[回折]]によって[[X線]]を集光する[[X線レンズ]]が用いられている。X線レンズの材料として[[金属多層膜]]などが挙げられる。

===光以外の物をレンズのように制御する技術===

* [[爆縮レンズ]] - [[原子爆弾]]に用いられる技術

* [[爆薬レンズ]]

* [[爆薬レンズ]]

* [[風レンズ]] - 小型の[[風力発電]]用[[風車]]に用いられる技術

* [[風レンズ]] - 小型の[[風力発電]]用[[風車]]に用いられる技術

* [[音響レンズ]] - [[音波]]の収束に使用される。[[ソナー]]や[[イルカ]]等の[[海獣|海洋哺乳類]]にみられる。

* [[誘電体装荷アンテナ]] - [[アンテナ]]の開口部に設置された[[誘電体]]により、見かけの開口率を高める。



== 脚注 ==

== 脚注 ==

254行目: 269行目:

* [[写真レンズ]]

* [[写真レンズ]]

* [[蛍石レンズ]]

* [[蛍石レンズ]]

* [[液浸|油浸レンズ]]



== 外部リンク ==

== 外部リンク ==

* {{Cite web

* {{Cite web|和書

|author =

|author =

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|date =

265行目: 281行目:

|accessdate = 2011-02-20

|accessdate = 2011-02-20

}}

}}

* {{Cite web

* {{Cite web|和書

|author = 安藤幸司

|author = 安藤幸司

|date = 2010-01-18

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274行目: 290行目:

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* {{Cite web

* {{Cite web|和書

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284行目: 300行目:

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{{Normdaten}}

{{DEFAULTSORT:れんす}}

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2024年5月20日 (月) 23:23時点における最新版

レンズ
レンズの断面形状の種類

: lens: 

(一)

(二)

(三)

[]




1

使使





1



: lens[1][2]

使


[]

[]

1-1
1-2 
1-3 

: convex lens



1-1

(一)

(二)

(三)[]

[]


1-2

(一)

(二)



1-3

(一)

(二)

1

レンズの公式[編集]


 ff   s1() s2


1/s2 = 1/f + 1/s1


[3]


1/a + 1/b = 1/f


s1, s2 a, b

 |s1| > f (''s2 > 0) |s1| < f (s2 < 0)  m


m = s2/s1


m [3]

z z' [3]


-zz' = f2
m= -z' /f = f/z

副実像[4][編集]

ルーペ[編集]

虫眼鏡(凸レンズの代表的利用例)
ルーペの光路図

: Lupe L αβ  M  M β/α L 250 mm[5]

 f x z M




[6][7]

使[8]

x = 0M = L/f 

z = -f L= 250 mm  M= (L/f) + 1 

z = 0 M= L/f 

 M0 = 250/f [9] M = (250/f) + 1 = M0 + 1 [10] 250 mm [11]

[12]M0 >1[13]


[]

[]

21

: concave lens 

2-1

(一)

(二)

(三)

f < 0

[]


(:meniscus lens)使

[]

[]


 - 

 - WDM使SLA使

 - [14]

[]


 - 2

()使

XXXX

[]


 - 



 - 

 - 使

 - 

[]



(一)^ lens -  - 

(二)^  - EMG 

(三)^ abcSmith, Warren J. (2000-07-26). Modern Optical Engineering: The Design of Optical Systems (3rd Ed. ed.). McGraw-Hill. pp. pp. 25 - 27. ISBN 978-0071363600 

(四)^ "".  . 202235

(五)^ 8[11 2]O plus E20066 

(六)^  

(七)^  : .1997ISBN 4-915851-02-8 

(八)^ 8[10 1]O plus E20065 

(九)^ . . . 200862

(十)^ . . . 200662

(11)^ . . . 200862

(12)^ 8[919]O plus E20064 

(13)^ 8[12 3]O plus E20067 

(14)^ 

[]


1954 

Frank Twyman (1952). Prism and Lens Making: A Textbook for Optical Glassworkers. Hilger & Watts 

Frank Twyman  1956 

Willy Zschommler (1963). Feinoptik-Glasbearbeitung: Werkkunde f.d. Feinoptiker. Hanser 

Willy Zschommler   : -1969 

19856ISBN 9784805202197 

20003ISBN 9784416200001 

 200211ISBN 4-534-03491-1 

 : ︿2005ISBN 4-7980-1028-6http://lens.goryoukaku.com/ 

[]