「ローマの噴水」の版間の差分
m →外部リンク: cat |
補足 |
||
(14人の利用者による、間の14版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{portal クラシック音楽}} |
{{portal クラシック音楽}} |
||
{{External media |
|||
⚫ | 『''' |
||
| width = 310px |
|||
| topic = 全曲を試聴する |
|||
| audio1 = [https://www.youtube.com/watch?v=WaBCu-91PTY Respighi: Las fuentes de Roma - Carlo Rizzi - Sinfónica de Galicia] - カルロ・リッツィ指揮ガリシア交響楽団による演奏。ガリシア交響楽団公式YouTube。 |
|||
}} |
|||
⚫ | |||
後に作曲された『[[ローマの松]]』([[1924年]])、『[[ローマの祭り]]』([[1928年]])と共に「'''ローマ |
後に作曲された『[[ローマの松]]』([[1924年]])、『[[ローマの祭り]]』([[1928年]])と共に「'''ローマ2部作'''」と呼ばれる。 |
||
== 概説 == |
== 概説 == |
||
[[サンタ・チェチーリア音楽院]]作曲科の教授に就任したレスピーギは、[[1913年]]に出身地の[[ボローニャ]]から |
[[ローマ]]の[[サンタ・チェチーリア音楽院]]作曲科の教授に就任したレスピーギは、[[1913年]]に出身地の[[ボローニャ]]から移り住み、そこで受けた刺激を元に「ローマ2部作」を作曲した。その第1作である『ローマの噴水』は[[1916年]]に作曲された。 |
||
スコアの冒頭の序文には次のような説明がある |
演奏時間は約15分、スコアの冒頭の序文には次のような説明がある: |
||
{{Quotation|「ローマの四つの噴水で、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して受けた感情と幻想に、表現を与えようとした<ref name = meikyoku>『最新名曲解説全集(6) |
{{Quotation|「ローマの四つの噴水で、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して受けた感情と幻想に、表現を与えようとした<ref name = meikyoku>『最新名曲解説全集(6)管弦楽曲III 』[[音楽之友社]]、1980年</ref>。」}} |
||
従来の交響詩の自由な形式ではなく、古典的な[[交響曲]]にみられる4楽章構成をとっており<ref name=meikyoku></ref>、それぞれは「[[夜明け]]」、「[[朝]]」、「[[真昼]]」、「[[黄昏]]」の時間帯と、ローマの名所4箇所の噴水が当てはめられている。なお、4つの部分は連続して演奏される。 |
従来の交響詩の自由な形式ではなく、古典的な[[交響曲]]にみられる4楽章構成をとっており<ref name=meikyoku></ref>、それぞれは﹁[[明け方|夜明け]]﹂、﹁[[朝]]﹂、﹁[[真昼]]﹂、﹁[[黄昏]]﹂の時間帯と、ローマの名所4箇所の噴水が当てはめられている。なお、4つの部分は連続して演奏される。レスピーギはかつてロシア帝国劇場管弦楽団の首席[[ヴィオラ]]奏者を務めていた時に、[[ニコライ・リムスキー=コルサコフ]]から作曲の指導を受けており、この作品にはリムスキー=コルサコフの[[管弦楽法]]の影響が見られる<ref name=meikyoku></ref>。[[1917年]]3月11日に[[アントニオ・グァルニエリ]]の指揮によりローマの{{仮リンク|アウグスト劇場|en|Anfiteatro Correa|it|Anfiteatro Correa}}において行われた初演の際には評論家の嘲笑を買っていたが、その後、[[1918年]][[2月11日]]に[[アルトゥーロ・トスカニーニ]]が[[ミラノ]]において行った再演が大成功し、その後もっとも有名な交響詩の一例として知られるようになった。
|
||
レスピーギはかつてロシア帝国劇場管弦楽団の首席[[ヴィオラ]]奏者を務めていた時に、[[ニコライ・リムスキー=コルサコフ]]から作曲の指導を受けており、この作品にはリムスキー=コルサコフの[[管弦楽法]]の影響が見られる<ref name=meikyoku></ref>。 |
|||
[[1917年]]3月11日に[[アントニオ・グァルニエリ]]の指揮によりローマのアウグステオ学堂において行われた初演の際には評論家の嘲笑を買っていたが、その後、[[1918年]][[2月11日]]に[[アルトゥーロ・トスカニーニ]]が[[ミラノ]]において行った再演が大成功し、その後もっとも有名な交響詩の一例として知られるようになった。 |
|||
演奏時間は約15分。 |
|||
== 楽器編成 == |
== 楽器編成 == |
||
43行目: | 42行目: | ||
== 構成 == |
== 構成 == |
||
=== 第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水 === |
=== 第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水 === |
||
({{lang-it-short|La fontana di Valle Giulia all'alba}}) |
({{lang-it-short|''La fontana di Valle Giulia all'alba''}}) |
||
[[File:Orchesterwerke Romantik Themen.pdf|500px|page=605]] |
|||
[[ボルゲーゼ公園|ボルゲーゼ荘]]から{{仮リンク|パリオリ|it|Parioli}}の丘までの間に位置する「ジュリアの谷」の噴水と夜明けの光景が表現されている。具体的にどこの噴水かははっきりしていない。牧歌的な光景にたたずむ夜明けの噴水が描かれ、朝ぼらけの中を家畜が通過する。 |
[[ボルゲーゼ公園|ボルゲーゼ荘]]から{{仮リンク|パリオリ|it|Parioli}}の丘までの間に位置する「ジュリアの谷」の噴水と夜明けの光景が表現されている。具体的にどこの噴水かははっきりしていない。牧歌的な光景にたたずむ夜明けの噴水が描かれ、朝ぼらけの中を家畜が通過する。 |
||
49行目: | 50行目: | ||
===第2部 朝のトリトンの噴水=== |
===第2部 朝のトリトンの噴水=== |
||
[[File:RomaBerniniFontanaTritone.JPG|thumb|right|210px|{{仮リンク|トリトンの噴水|it|Fontana del Tritone}}。]] |
[[File:RomaBerniniFontanaTritone.JPG|thumb|right|210px|{{仮リンク|トリトンの噴水|it|Fontana del Tritone}}。]] |
||
({{lang-it-short|La fontana del Tritone alla mattina}}) |
({{lang-it-short|''La fontana del Tritone alla mattina''}}) |
||
[[File:Orchesterwerke Romantik Themen.pdf|500px|page=606]] |
|||
⚫ | バルベリーニ広場の[[ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ|ベルニーニ]]作の{{仮リンク|トリトンの噴水|it|Fontana del Tritone}}に見られるような、朝の日差しの中で踊る[[ナイアデス]]とトリトンが描かれている。[[ホルン]]は、神々や女神たちが[[ほら貝]]を吹き鳴らす様を示している。 |
||
⚫ | [[バルベリーニ広場]]の[[ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ|ベルニーニ]]作の{{仮リンク|トリトンの噴水|it|Fontana del Tritone}}に見られるような、朝の日差しの中で踊る[[ナイアデス]]とトリトンが描かれている。[[ホルン]]は、神々や女神たちが[[ホラガイ|ほら貝]]を吹き鳴らす様を示している。 |
||
⚫ | |||
⚫ | |||
[[File:Fontana di Trevi Italy Roma - Creative Commons by gnuckx (3207505577).jpg|thumb|right|210px|[[トレヴィの泉]]。]] |
[[File:Fontana di Trevi Italy Roma - Creative Commons by gnuckx (3207505577).jpg|thumb|right|210px|[[トレヴィの泉]]。]] |
||
({{lang-it-short|La fontana di Trevi al pomeriggio}}) |
({{lang-it-short|''La fontana di Trevi al pomeriggio''}}) |
||
[[File:Orchesterwerke Romantik Themen.pdf|500px|page=607]] |
|||
[[ネプトゥーヌス|ネプチューン]]の新たな勝利を告げる[[w:en:Triumph|凱旋式]]に導かれて始まる。 |
[[ネプトゥーヌス|ネプチューン]]の新たな勝利を告げる[[w:en:Triumph|凱旋式]]に導かれて始まる。 |
||
===第4部 黄昏のメディチ荘の噴水 === |
===第4部 黄昏のメディチ荘の噴水 === |
||
({{lang-it-short|La fontana di Villa Medici al tramonto}}) |
({{lang-it-short|''La fontana di Villa Medici al tramonto''}}) |
||
[[File:Orchesterwerke Romantik Themen.pdf|500px|page=608]] |
|||
より[[メランコリー]]に沈んだような[[メディチ荘]]の噴水の雰囲気を、輝かしい[[夕焼け]]が沈んでいく様子とともに描く。 |
|||
﹃夕暮れのオスマン荘の噴水﹄と表記される場合もある{{Efn|原題に用いられている﹁tramonto﹂の原意は﹁日没、︵月や星が︶没すること、夕暮れ、夕焼け﹂であり<ref>{{Cite book|和書|editor=池田廉|editor-link=池田廉 (イタリア文学者)|title=伊和中辞典|edition=第2版|publisher=[[小学館]]|date=1999-03-20|isbn=4-09-515402-0|page=1629}}</ref>、イタリア語で﹁黄昏﹂を直接意味する単語は﹁crepuscolo﹂である<ref>{{Cite book|和書|editor=西川一郎|title=和伊中辞典|edition=初版|publisher=[[小学館]]|date=1994-01-01|isbn=4-09-515451-9|page=902}}</ref>。}}。より[[メランコリー]]に沈んだような[[メディチ荘]]の噴水の雰囲気を、輝かしい[[夕焼け]]が沈んでいく様子とともに描く。
|
|||
やっぱりこれはおかしいねw |
|||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
<references /> |
|||
=== 注釈 === |
|||
{{Notelist}} |
|||
=== 出典 === |
|||
{{Reflist}} |
|||
== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
||
73行目: | 86行目: | ||
== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
||
*{{IMSLP2|work=Fontane di Roma (Respighi, Ottorino)|cname=交響詩『ローマの噴水』}} |
*{{IMSLP2|work=Fontane di Roma (Respighi, Ottorino)|cname=交響詩『ローマの噴水』P. 106}} |
||
{{Normdaten}} |
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
[[Category:レスピーギの楽曲]] |
[[Category:レスピーギの楽曲]] |
||
[[Category:交響詩]] |
[[Category:交響詩]] |
||
[[Category:ローマを |
[[Category:ローマを題材とした楽曲]] |
||
[[Category:ローマの噴水]] |
[[Category:ローマの噴水]] |
||
[[Category:各都市を題材とした楽曲]] |
|||
[[Category:水を題材とした楽曲]] |
[[Category:水を題材とした楽曲]] |
||
⚫ |
2024年6月24日 (月) 23:15時点における版
音楽・音声外部リンク | |
---|---|
全曲を試聴する | |
![]() |
概説
ローマのサンタ・チェチーリア音楽院作曲科の教授に就任したレスピーギは、1913年に出身地のボローニャから移り住み、そこで受けた刺激を元に﹁ローマ2部作﹂を作曲した。その第1作である﹃ローマの噴水﹄は1916年に作曲された。 演奏時間は約15分、スコアの冒頭の序文には次のような説明がある‥ ﹁ローマの四つの噴水で、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して受けた感情と幻想に、表現を与えようとした[1]。﹂ 従来の交響詩の自由な形式ではなく、古典的な交響曲にみられる4楽章構成をとっており[1]、それぞれは﹁夜明け﹂、﹁朝﹂、﹁真昼﹂、﹁黄昏﹂の時間帯と、ローマの名所4箇所の噴水が当てはめられている。なお、4つの部分は連続して演奏される。レスピーギはかつてロシア帝国劇場管弦楽団の首席ヴィオラ奏者を務めていた時に、ニコライ・リムスキー=コルサコフから作曲の指導を受けており、この作品にはリムスキー=コルサコフの管弦楽法の影響が見られる[1]。1917年3月11日にアントニオ・グァルニエリの指揮によりローマのアウグスト劇場において行われた初演の際には評論家の嘲笑を買っていたが、その後、1918年2月11日にアルトゥーロ・トスカニーニがミラノにおいて行った再演が大成功し、その後もっとも有名な交響詩の一例として知られるようになった。楽器編成
●ピッコロ1 ●フルート2 ●オーボエ2 ●コーラングレ1 ●クラリネット2 ●バスクラリネット1 ●ファゴット2 ●ホルン4 ●トランペット3 ●トロンボーン3 ●チューバ1 ●ティンパニ ●シンバル ●トライアングル ●チューブラベル︵ニ音のもの︶1本 ●グロッケンシュピール ●オルガン︵任意︶ ●ピアノ ●チェレスタ ●ハープ2 ●弦五部構成
第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水
︵伊: La fontana di Valle Giulia all'alba︶![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7e/Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf/page605-500px-Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf.jpg)
第2部 朝のトリトンの噴水
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7e/Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf/page606-500px-Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf.jpg)
第3部 真昼のトレヴィの鏡
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/ff/Fontana_di_Trevi_Italy_Roma_-_Creative_Commons_by_gnuckx_%283207505577%29.jpg/210px-Fontana_di_Trevi_Italy_Roma_-_Creative_Commons_by_gnuckx_%283207505577%29.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7e/Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf/page607-500px-Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf.jpg)
第4部 黄昏のメディチ荘の噴水
︵伊: La fontana di Villa Medici al tramonto︶![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7e/Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf/page608-500px-Orchesterwerke_Romantik_Themen.pdf.jpg)
脚注
注釈
出典
関連項目
- ローマ三部作を成す作品群