ハープ
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ダブル・アクション・ハープの場合 | ||||||||||
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ハープ︵英: harp︶は、撥弦楽器の一種である[1][2]。
コンサートハープ
ダブル・アクション・ペダル・ハープ
ハープの7本のペダル︵左足用が3本と右足用が4本︶
現代のコンサートハープの基本的な構成要素と用語︵英語︶
ケルティック・ハープを弾く女性
ハープと演奏者を表したサーサーン朝ペルシア時代のモザイク。インド、 ビシャプール発掘。ルーブル美術館
概要[編集]
弦鳴楽器の5分類の内、ハープ属に属する。楽器用法としては弦楽器に属し、弓を使わずにもっぱらはじいて音を出すため、撥弦楽器に分類される。オーケストラにおいては、弦楽器の主体となるヴァイオリン属の楽器と音色も奏法も大きく異なるため、弦楽器群の楽器のひとつとしてではなく、挿入楽器として扱われる。日本語では、竪琴︵たてごと︶と呼ばれる楽器群に含まれる。 共鳴胴の両端に2本の棹を立て、2本の先を結ぶ。棹のうちの曲線状になった方と共鳴胴との間に平行に弦を並べて張る。弦の数は数十本に及ぶ。この弦を指で弾いて演奏する。最も古い楽器の一つで、同種の楽器は世界各地に分布している。アイリッシュハープ、アルパがその例である。ワーグナー作曲、楽劇﹁ニュルンベルクのマイスタージンガー﹂において、ベックメッサー・ハープが使われる。これは小型のハープであり、古楽器に近い。また、ハープは、弾くと指の皮がめくれるという特徴がある。 なお、英語圏ではハープと直接関係のないさまざまな楽器に﹁ハープ﹂の名をつけることがある。オートハープ、ジューズハープ︵口琴︶、ブルースハープ︵ハーモニカの俗称︶など。ハープの起源[編集]
ハープの起源は、狩人の弓ではないかと考えられている。最も古いハープの記録は、紀元前4000年のエジプトと紀元前3000年のメソポタミアのものではないかと言われている。シュメール王朝時代の遺跡からはほぼハープの原型と思われる楽器が発見されており、壁画の記録からも奏法もハープと同じものと見られる。古代の叙事詩やエジプトの壁画に現れ、世界中の多くの音楽文化で発展し独自の展開を遂げた。聖書にもハープは登場し、ダビデ王が最も著名なミュージシャンであるが、実際にはその﹁ハープ﹂はkinnorと呼ばれる、十弦の一種のリラであった。レバーハープ lever harpは演奏中にキーチェンジを可能にするもので、17世紀の後半に生まれた。これが発展し、近代的なコンサートハープが生まれた。ダブル・アクション・ペダル・ハープ[編集]
現代の西洋音楽の、独奏やオーケストラ、室内楽、吹奏楽などで広く用いられているコンサートハープは、ダブル・アクション・ペダル・ハープである。これは、主に47本の弦を変ハ長調全音階で張り︵半音低く調律された白鍵のみのピアノのイメージ︶、7本のペダル︵それぞれ3段階の位置があり、上から順にフラット、ナチュラル、シャープ︶を足で操作することにより、各オクターブのハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロそれぞれの弦を同時に半音上げたり、全音上げたりできるようになっているハープである。全音階ハープを転調などに対応できるようにするため、楽器職人セバスチャン・エラール等により作られた。この仕組みにより、様々な調を演奏することができるが︵調によっては異名同音的に︶、どんなに熟練してもペダルの操作を全くの瞬時に行うことは不可能であるため、オーケストラなどでは2人で演奏することによって、ペダル操作の不完全さを補うことがある。また、ダブル・アクション・ペダル・ハープに代わる楽器として、半音ごとに弦が張られたクロマティック・ハープというものも19世紀に作られたが、結局は廃れてしまった。 音域は6オクターブ半を持ち、最高音は中央ハの3オクターブ半上の変ト︵ペダルで嬰トになる︶、最低音は中央ハの3オクターブ下の変ハである。いちばん高音から0オクターブ︵2音のみ︶、1オクターブ・・・7オクターブ︵3弦のみ︶と数える。弦には識別のために色が付けられており、各オクターブのハ(C)の音が赤、へ(F)の音が青︵黒︶となっている。 最低音の2弦︵C1, D1︶はペダルアクション機構を持っていない。演奏の途中にフラット、ナチュラル、シャープの調律を切り替えることは出来ず、いずれかの調律に固定しておく必要がある。最高音︵G7︶は、楽器によってペダルアクションが有効のものと無効のものがある。著名なハープの楽曲・ハープの特徴的な楽曲[編集]
ハープ単独による楽曲[編集]
●C・P・E・バッハ - ハープソナタ ト長調 ●ボクサ - モーツァルトの主題による変奏曲 ●サン=サーンス - 幻想曲 Op.95 ●フォーレ - 即興曲 変ニ長調 Op.86、塔の中の王妃 Op.110 ●カプレ - 2つの嬉遊曲 ●タイユフェール - ハープ・ソナタ ●ヒンデミット - ハープ・ソナタ ●ブリテン - ハープのための組曲 Op.83 ●ダマーズ - 2台のハープのためのソナチネ室内楽曲︵ハープと他の楽器による︶[編集]
●サン=サーンス - 幻想曲 Op.124︵ヴァイオリンとハープ︶ ●ドビュッシー - フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ ●ラヴェル - 序奏とアレグロ ●ヴィラ=ロボス - 神秘的な六重奏曲 ●イベール - ヴァイオリン、チェロ、ハープのための三重奏曲協奏曲[編集]
ハープ協奏曲の項目も参照。 ●ヘンデル - ハープ協奏曲 変ロ長調 Op.4-6 ●ディッタースドルフ - ハープ協奏曲 イ長調 ●クルムフォルツ - ハープ協奏曲︵全6曲︶ ●モーツァルト - フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299 (297c) ●ボアエルデュー - ハープ協奏曲 ハ長調 ●ボクサ - ハープ協奏曲 ●ライネッケ - ハープ協奏曲 ホ短調 Op.182 ●ブルッフ - スコットランド幻想曲 変ホ長調 Op.46︵ハープに第2の独奏者に等しい役割が与えられている︶ ●ドビュッシー - 神聖な舞曲と世俗的な舞曲︵クロマチック・ハープのための作品︶ ●ピエルネ - ハープと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック Op.39 ●グリエール - ハープ協奏曲 変ホ長調 Op.74 ●ピツェッティ - ハープ協奏曲 変ホ長調 ●ヴィラ=ロボス - ハープ協奏曲 ●タイユフェール - コンチェルティーノ ●ロドリーゴ - セレナータ協奏曲 ●ジョリヴェ - ハープと室内管弦楽のための協奏曲 ●フランセ - 2台のハープと弦楽のための協奏曲声楽曲[編集]
●ブリテン - キャロルの祭典 Op.28 ●ベルリオーズ - テ・デウム Op.22︵第7曲﹁旗の掲揚式のための行進曲﹂で譜面上に12基のハープの指定がある︶音楽祭[編集]
●国際ハープフェスティバル︵草加市︶現代の著名なハープメーカー[編集]
サルヴィ・ハープ︵Salvi Harps︶ ライオン&ヒーリー・ハープ︵Lyon&Healy Harps) ヴィーナス・ハープ︵Venus Harps︶- W&W MUSICAL INSTRUMENT社の登録商標 カマック・ハープ︵Camac Harps︶ ホルンガッハ・ハープ︵Horngacher Harps︶ 青山ハープ︵Aoyama Harps︶ ピルグリム・ハープ︵Pilgrim Harps︶ 他現代の著名なハープ奏者[編集]
五十音順に並んでいる。クラシック音楽の演奏家一覧#ハープ奏者も参照。脚注[編集]
関連項目[編集]
- ハープ協奏曲
- ナブラ記号
- 箜篌 - 同系の古代東アジアの楽器
- コンドロクラディア・リラ - ハープに似た形をした海綿
- アイルランドの国章
外部リンク[編集]
- 紫音ハープミュージアム (長野県飯山市斑尾高原)