冊封体制
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冊封︵さくほう︶とは、中国皇帝を盟主・頂点とした中国とアジア諸国における間接支配的な国際関係、また中国の外交政策のこと。
中国皇帝は周辺国の君主を対外的に臣下として服従させ、皇帝よりも位の低い﹁王﹂の官位を与え中国王朝の一部として国を統治することを認める文書︵この文書そのものを冊封と呼ぶこともある︶を発行し、封建的な関係を結ばせた。この冊封によって中国皇帝の︵形式的ではあるが︶臣下となった君主の国のことを冊封国といい、こうした冊封によって構築された周辺国と中国の国際関係秩序のことを冊封体制という。
冊封国は中国に対して定期的に朝貢を行うことや、中国の暦や元号を用いることも義務づけられていた。また、事あれば中国からの要請で出兵も強いられ、多くの場合﹁夷を以って夷を制す﹂の見地からの要請だった。原則的に中国皇帝からの内政干渉はなかったと言われるが、冊封国の立場が弱い場合は過酷な貢納を要求される朝貢関係も存在した。
冊封国と言っても実態はその時々の力関係により様々である。中国に冊封される主なメリットとして、中国からの軍事的圧力を回避でき、服属国ということで中国の強大な軍事力を背景として利用した安全保障上のメリットや、当時朝貢しない外国との貿易は原則認めなかった中国との貿易で莫大な利益を生むことが出来る通商関係上のメリットがあった。多くの場合、朝貢貿易は中国側からするとほとんど赤字だった。また冊封国家同士の貿易関係も密にできるという効果もあった。
中国の冊封体制に入っていた国・入ったことがある国としては、朝鮮、琉球の歴代、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、タイ、日本などがある。