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==ジャンルへの論評== |
==ジャンルへの論評== |
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﹁空気系﹂は、主にアニメと漫画を対象とした言葉で﹁'''若い女の子たちのまったりとした日常を延々と描くタイプの作品'''﹂{{Sfn|﹃本格ミステリー・ワールド2012﹄|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=234}}とまとめられるが、下記のように明確な定義は示されずに、解釈や論評が行われている。
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﹁空気系﹂﹁日常系﹂は、主にアニメと漫画を対象とした言葉で﹁'''若い女の子たちのまったりとした日常を延々と描くタイプの作品'''﹂{{Sfn|﹃本格ミステリー・ワールド2012﹄|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=234}}とまとめられるが、下記のように明確な定義は示されずに、解釈や論評が行われている。
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[[セカイ系]]の解説書である[[前島賢]]の『セカイ系とは何か』で、空気系(ないし日常系)と呼ばれる作品についても言及している。「萌え4コマ」と呼ばれる作品の例として『[[らき☆すた]]』、『[[けいおん!]]』、さらに同ジャンルのヒット作『あずまんが大王』を挙げて論評している{{Sfn|前島|2010|p=233-235}}。『[[らき☆すた]]』と『[[けいおん!]]』は、セカイ系作品のヒット作を手掛けた京都アニメーションによってそれぞれ2007年と2009年にアニメ化されている。4コマ漫画を原作とするそれらの作品には明確な物語が無く、セカイ系に見られるような男性キャラクターが少ないことが特徴とされる。こうした作品が4コマ漫画以外にも広がり、ライトノベル『[[生徒会の一存]]』などのヒットに繋がったと述べている。<!--出典で前島は『ラノベ部』『僕は友達が少ない』も挙げている--> |
[[セカイ系]]の解説書である[[前島賢]]の『セカイ系とは何か』で、空気系(ないし日常系)と呼ばれる作品についても言及している。「萌え4コマ」と呼ばれる作品の例として『[[らき☆すた]]』、『[[けいおん!]]』、さらに同ジャンルのヒット作『あずまんが大王』を挙げて論評している{{Sfn|前島|2010|p=233-235}}。『[[らき☆すた]]』と『[[けいおん!]]』は、セカイ系作品のヒット作を手掛けた京都アニメーションによってそれぞれ2007年と2009年にアニメ化されている。4コマ漫画を原作とするそれらの作品には明確な物語が無く、セカイ系に見られるような男性キャラクターが少ないことが特徴とされる。こうした作品が4コマ漫画以外にも広がり、ライトノベル『[[生徒会の一存]]』などのヒットに繋がったと述べている。<!--出典で前島は『ラノベ部』『僕は友達が少ない』も挙げている--> |
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空気系というジャンル分類において、﹁物語性の排除﹂を強調してきたことに対しては異論もある{{Sfn|禧美|p=81}}。空気系は物語性を持たず登場人物の成長や時間変化が描かれない作品であり、女の子のキャラクターをコンテンツとして消費することに特化した作品と分析する﹃“日常系アニメ”ヒットの法則﹄といった一般書籍や[[宇野常寛]]、[[東浩紀]]らの解釈に対し、日本文学研究者の[[広瀬正浩]]や禧美智章は、空気系の代表作とされてきた﹃けいおん!﹄を例にとり、同作は物語を持たないのではなく、既存の作劇法に当てはまらない表現構成によって登場人物の成長や人間関係の広がりが描かれているとの分析を示し{{Sfn|広瀬|2013b|pp=283-310|ps=-初出: {{Harvnb|広瀬|2013a|pp=7-22}}}}{{Sfn|禧美|pp=80-90}}、空気系というジャンル規定そのものに疑問を呈した{{Sfn|広瀬|2013b|pp=283-310|ps=-初出: {{Harvnb|広瀬|2013a|pp=7-22}}}}{{Sfn|禧美|pp=80-90}}。
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空気系というジャンル分類において、﹁物語性の排除﹂を強調してきたことに対しては異論もある{{Sfn|禧美|p=81}}。空気系は物語性を持たず登場人物の成長や時間変化が描かれない作品であり、女の子のキャラクターをコンテンツとして消費することに特化した作品と分析する﹃“日常系アニメ”ヒットの法則﹄といった一般書籍や[[宇野常寛]]、[[東浩紀]]らの解釈に対し、日本文学研究者の[[広瀬正浩]]や禧美智章は、空気系の代表作とされてきた﹃けいおん!﹄を例にとり、同作は物語を持たないのではなく、既存の作劇法に当てはまらない表現構成によって登場人物の成長や人間関係の広がりが描かれているとの分析を示し{{Sfn|広瀬|2013b|pp=283-310|ps=-初出: {{Harvnb|広瀬|2013a|pp=7-22}}}}{{Sfn|禧美|pp=80-90}}、空気系というジャンル規定そのものに疑問を呈した{{Sfn|広瀬|2013b|pp=283-310|ps=-初出: {{Harvnb|広瀬|2013a|pp=7-22}}}}{{Sfn|禧美|pp=80-90}}。
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﹃[[まんがタイムきらら]]﹄編集長の小林宏之は同誌で連載するのは﹁魅力的な女の子の軽妙な日常﹂で、読者の日常との何らかの繋がりができたとき、キャラや物語にリアリティや魅力を感じさせる真の日常系となり、それは様々だがその1つは学校を舞台にして多くの人が体験する生活を丁寧に描写することで受け手の共感が得られるのを接点として読者の興味や理想を具現化するという<ref>{{Cite news |title=﹃ごちうさ﹄﹃桜Trick﹄ きらら編集長に聞く“日常系”の人気の秘密とは? |newspaper=ダ・ヴィンチニュース |date=2014-06-06 |url=https://ddnavi.com/interview/196443/a/ |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。
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﹃[[まんがタイムきらら]]﹄編集長の小林宏之は同誌で連載するのは﹁魅力的な女の子の軽妙な日常﹂で、読者の日常との何らかの繋がりができたとき、キャラや物語にリアリティや魅力を感じさせる真の日常系となり、それは様々だがその1つは学校を舞台にして多くの人が体験する生活を丁寧に描写することで受け手の共感が得られるのを接点として読者の興味や理想を具現化するという<ref>{{Cite news |title=﹃ごちうさ﹄﹃桜Trick﹄ きらら編集長に聞く“日常系”の人気の秘密とは? |newspaper=ダ・ヴィンチニュース |date=2014-06-06 |url=https://ddnavi.com/interview/196443/a/ |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。読者の男女比は9:1程度で、﹃[[ひだまりスケッチ]]﹄﹃[[ドージンワーク]]﹄でかろうじて8:2程度である。創刊当初は20代後半から30代が読者層での中心で、﹁同じ萌え系と括られるものでも、10代とかもっと若い人は[[ライトノベル]]のような物語的な方向に行く。つまり、年齢が上がると、とにかく何も起こらない話の方がいいらしい﹂という<ref>[https://web.archive.org/web/20221120060230/http://www.p-tina.net/interview/80.html ︻ぷらちな︼萌え4コマ、いいカンジ? まんがタイムきらら編集部インタビュー]</ref>。
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==代表的作品== |
==代表的作品== |
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=== 1990年代以前 === |
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空気系・日常系の作品として、1999年に連載が開始され大ヒットした[[あずまきよひこ]]の[[4コマ漫画]]作品『[[あずまんが大王]]』を挙げる文献が多い。同作は、後年のヒット作である『らき☆すた』や『けいおん!』につながる作品として{{Sfn|前島|2010|p=234}}、空気系を完成させたもの{{Sfn|『ゼロ年代の想像力』ハードカバー版|p=237}}、空気系の礎と述べられ{{Sfn|『本格ミステリー・ワールド2012』|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=233}}、初期の重要な作品とみなされている。 |
空気系・日常系の作品として、1999年に連載が開始され大ヒットした[[あずまきよひこ]]の[[4コマ漫画]]作品『[[あずまんが大王]]』を挙げる文献が多い。同作は、後年のヒット作である『らき☆すた』や『けいおん!』につながる作品として{{Sfn|前島|2010|p=234}}、空気系を完成させたもの{{Sfn|『ゼロ年代の想像力』ハードカバー版|p=237}}、空気系の礎と述べられ{{Sfn|『本格ミステリー・ワールド2012』|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=233}}、初期の重要な作品とみなされている。 |
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小森健太朗は空気系作品が無時間的であることについて、8年超の連載期間を通じて主人公の高校2年生時を繰り返し描いた﹃[[うる星やつら]]﹄がハーレムものの原型であると同時に空気系の原型でもある可能性を指摘する{{Sfn|﹃本格ミステリー・ワールド2012﹄|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=234}}。宇野常寛も空気系は高橋留美子と同様の方向性を男性ユーザー向けに最適化したものとして関連付けて述べているが、﹃あずまんが大王﹄が﹃うる星やつら﹄のような時間描写のループを用いず自然な時間経過で描かれている点を対比させている{{Sfn|﹃ゼロ年代の想像力﹄ハードカバー版|p=237}}。
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小森健太朗は空気系作品が無時間的であることについて、8年超の連載期間を通じて主人公の高校2年生時を繰り返し描いた﹃[[うる星やつら]]﹄がハーレムものの原型であると同時に空気系の原型でもある可能性を指摘する{{Sfn|﹃本格ミステリー・ワールド2012﹄|loc=§二〇一一年テレビアニメ作品とミステリの並行関係|p=234}}。宇野常寛も空気系は高橋留美子と同様の方向性を男性ユーザー向けに最適化したものとして関連付けて述べているが、﹃あずまんが大王﹄が﹃うる星やつら﹄のような時間描写のループを用いず自然な時間経過で描かれている点を対比させている{{Sfn|﹃ゼロ年代の想像力﹄ハードカバー版|p=237}}。
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=== 2000年代 === |
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[[芳文社]]の4コマ漫画雑誌『[[まんがタイム]]』の姉妹誌として、オタク系の男性読者が好む女性キャラクターを4コマ漫画に取り入れた「萌え4コマ漫画」を専門に扱う『[[まんがタイムきらら]]』が2002年に創刊、その後の10年間で同種の作品形態は人気を拡大し、漫画市場における1つのジャンルとして定着していった<ref name="宇野2018" />。そして後年、それら萌え4コマ漫画のアニメ化が空気系ブームの流れへと繋がってゆく<ref name="宇野2018" />。 |
[[芳文社]]の4コマ漫画雑誌『[[まんがタイム]]』の姉妹誌として、オタク系の男性読者が好む女性キャラクターを4コマ漫画に取り入れた「萌え4コマ漫画」を専門に扱う『[[まんがタイムきらら]]』が2002年に創刊、その後の10年間で同種の作品形態は人気を拡大し、漫画市場における1つのジャンルとして定着していった<ref name="宇野2018" />。そして後年、それら萌え4コマ漫画のアニメ化が空気系ブームの流れへと繋がってゆく<ref name="宇野2018" />。 |
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ゼロ年代後半は、空気系が一種のブームとなった<ref name="asahi20111205">[[#CITEREF朝日新聞2011年12月5日|朝日新聞2011年12月5日]]</ref>。 |
ゼロ年代後半は、空気系が一種のブームとなった<ref name="asahi20111205">[[#CITEREF朝日新聞2011年12月5日|朝日新聞2011年12月5日]]</ref>。 |
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2007年より[[蒼樹うめ]]原作『ひだまりスケッチ』のテレビアニメ放送が開始され、テレビシリーズ4期、特別編2作品にわたる人気作となった<ref name="宇野2018" /><ref name="Hidamari">トライワークス[https://moviewalker.jp/news/article/26166/ 「この作品がなければ「まどマギ」は誕生しなかった!? 日常系人気アニメとの関係は?」]『Movie Walker』2011年12月2日(2018年12月2日閲覧)。<br /> |
2007年より[[蒼樹うめ]]原作『ひだまりスケッチ』のテレビアニメ放送が開始され、テレビシリーズ4期、特別編2作品にわたる人気作となった<ref name="宇野2018" /><ref name="Hidamari">トライワークス[https://moviewalker.jp/news/article/26166/ 「この作品がなければ「まどマギ」は誕生しなかった!? 日常系人気アニメとの関係は?」]『Movie Walker』2011年12月2日(2018年12月2日閲覧)。<br /> |
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[https://mediaarts-db. |
[https://mediaarts-db.artmuseums.go.jp/collection/search?q=%E3%81%B2%E3%81%A0%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%81&cTemplateIds=co503&cTemplateIds=co504&cTemplateIds=co505&cTemplateIds=co506&cTemplateIds=cm104&cTemplateIds=cm106&cTemplateIds=cm105&cTemplateIds=cm107&cTemplateIds=an207&cTemplateIds=an208&cTemplateIds=an209&cTemplateIds=an210&cTemplateIds=an211&cTemplateIds=gm306&cTemplateIds=gm305&cTemplateIds=ma408&cTemplateIds=ma409 『メディア芸術データベース』(アニメーション「ひだまりスケッチ」)]2007年1月 - 2013年11月(2018年12月2日閲覧)</ref>。 |
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初期のテレビシリーズでは、パースを潰した平面的デザインの背景画など、[[シャフト (アニメ制作会社)|シャフト]]制作作品で[[新房昭之]]監督が従来から多用している映像的特徴が顕著だったが、これについて新房は、本作の作風に関しては映像の独自性よりも4コマ漫画のテイストをアニメ表現として試行錯誤した結果であると述べている<ref name="Shinbou">小黒祐一郎「新房昭之3万字インタビュー」『アニメスタイル003』2013年、p.68。</ref>。 |
初期のテレビシリーズでは、パースを潰した平面的デザインの背景画など、[[シャフト (アニメ制作会社)|シャフト]]制作作品で[[新房昭之]]監督が従来から多用している映像的特徴が顕著だったが、これについて新房は、本作の作風に関しては映像の独自性よりも4コマ漫画のテイストをアニメ表現として試行錯誤した結果であると述べている<ref name="Shinbou">小黒祐一郎﹁新房昭之3万字インタビュー﹂﹃アニメスタイル003﹄2013年、p.68。</ref>。また、新房は劇中で事件らしい事件が起こらないのにヒットした﹃[[ARIA_(アニメ)|ARIA The ANIMATION]]﹄に衝撃を受けたと語っており、﹁﹃物語の中で何も事件がおきない﹄タイプの作品﹂{{Sfn|﹃新房語﹄|p=129}}である﹃ひだまりスケッチ﹄もその影響があるという{{Sfn|﹃新房語﹄|p=90}}{{Sfn|﹃新房語﹄|p=99}}。
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同年、[[美水かがみ]]原作の﹃らき☆すた﹄が京都アニメーションによりテレビアニメ化<ref name="宇野2018" />。[[黒瀬陽平]]は同作について、セカイ系の流行が過ぎ去って﹁物語の語りにくさ﹂が指摘される中で、物語を持たない作品の[[二次創作]]が行われ、魅力的なキャラクターの人気によって支持を得たと述べている<ref>{{Cite journal |和書 |author=[[黒瀬陽平]] |title=新しい﹁風景﹂の誕生 |journal=[[#{{SfnRef|﹃思想地図︿vol.4﹀﹄}}|思想地図︿vol.4﹀]] |page=131}}</ref>。﹃涼宮ハルヒの憂鬱﹄や﹃[[らき☆すた (アニメ)|らき☆すた]]﹄の制作に関わった[[山本寛 (アニメ演出家)|山本寛]]は2009年時の発言で、︵﹃らき☆すた﹄のような︶ネタ消費型アニメはその場しのぎのものと考えていて、今後は﹁物語の復権﹂の方法を模索する方向を目指したいと述べた<ref>{{Cite journal |和書 |author=[[東浩紀]] |author2=[[宇野常寛]] |author3=[[黒瀬陽平]] |author4=[[氷川竜介]] |author5=[[山本寛 (アニメ演出家)|山本寛]] |title=物語とアニメーションの未来 |journal=[[#{{SfnRef|﹃思想地図︿vol.4﹀﹄}}|思想地図︿vol.4﹀]] |page=208}}</ref>。この作品のヒットをきっかけに、空気系の作風はライトノベルの分野に伝播し、作品舞台を学校の生徒会室の内部のみにほぼ限定した[[葵せきな]]の﹃[[生徒会の一存]]﹄といった作品が登場した{{Sfn|前島|2010|pp=234-235}}。
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同年、[[美水かがみ]]原作の﹃らき☆すた﹄が京都アニメーションによりテレビアニメ化<ref name="宇野2018" />。[[黒瀬陽平]]は同作について、セカイ系の流行が過ぎ去って﹁物語の語りにくさ﹂が指摘される中で、物語を持たない作品の[[二次創作]]が行われ、魅力的なキャラクターの人気によって支持を得たと述べている<ref>{{Cite journal |和書 |author=[[黒瀬陽平]] |title=新しい﹁風景﹂の誕生 |journal=[[#{{SfnRef|﹃思想地図︿vol.4﹀﹄}}|思想地図︿vol.4﹀]] |page=131}}</ref>。﹃涼宮ハルヒの憂鬱﹄や﹃[[らき☆すた (アニメ)|らき☆すた]]﹄の制作に関わった[[山本寛 (アニメ演出家)|山本寛]]は2009年時の発言で、︵﹃らき☆すた﹄のような︶ネタ消費型アニメはその場しのぎのものと考えていて、今後は﹁物語の復権﹂の方法を模索する方向を目指したいと述べた<ref>{{Cite journal |和書 |author=[[東浩紀]] |author2=[[宇野常寛]] |author3=[[黒瀬陽平]] |author4=[[氷川竜介]] |author5=[[山本寛 (アニメ演出家)|山本寛]] |title=物語とアニメーションの未来 |journal=[[#{{SfnRef|﹃思想地図︿vol.4﹀﹄}}|思想地図︿vol.4﹀]] |page=208}}</ref>。この作品のヒットをきっかけに、空気系の作風はライトノベルの分野に伝播し、作品舞台を学校の生徒会室の内部のみにほぼ限定した[[葵せきな]]の﹃[[生徒会の一存]]﹄といった作品が登場した{{Sfn|前島|2010|pp=234-235}}。
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2009年には、空気系の代表的作品のひとつである[[かきふらい]]原作の『[[けいおん!]]』がアニメ化、深夜帯の放送ながらシリーズ最高視聴率4.5%を記録し、関連商品を含む市場規模が150億円に達する大ヒット作品となった<ref name="Nikkei Entertainment!-pp16-18">金井真紀「『けいおん!』現象の〈解〉」『日系エンタテインメント!』2011年12月号、日経BP社、pp.16-18。</ref>。 |
2009年には、空気系の代表的作品のひとつである[[かきふらい]]原作の『[[けいおん!]]』がアニメ化、深夜帯の放送ながらシリーズ最高視聴率4.5%を記録し、関連商品を含む市場規模が150億円に達する大ヒット作品となった<ref name="Nikkei Entertainment!-pp16-18">金井真紀「『けいおん!』現象の〈解〉」『日系エンタテインメント!』2011年12月号、日経BP社、pp.16-18。</ref>。 |
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本作が初監督作品となる[[山田尚子]]をはじめ、シリーズ構成の[[吉田玲子]]、キャラクターデザインの[[堀口悠紀子]]など中心スタッフを女性で固め |
本作が初監督作品となる[[山田尚子]]をはじめ、シリーズ構成の[[吉田玲子]]、キャラクターデザインの[[堀口悠紀子]]など中心スタッフを女性で固めた。過度なセックスアピールを排したことで、性別や世代を問わず幅広い視聴層の支持を獲得したという見解もある<ref name="Nikkei Entertainment!-pp16-18" />。
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アニメ評論家の[[小黒祐一郎]]は、ネガティブなドラマの排除と高度なリアリティ表現を両立している点が同作の特徴であり、劇中のキャラクター描写を通じて高校生の放課後を追体験するような視聴感覚が作品の魅力であると評した<ref name="animestyle_No.5">小黒祐一郎「『けいおん!』は(実は)とんでもないアニメだ!」『アニメスタイル』第5号、2011年、pp.12-15。</ref>。 |
アニメ評論家の[[小黒祐一郎]]は、ネガティブなドラマの排除と高度なリアリティ表現を両立している点が同作の特徴であり、劇中のキャラクター描写を通じて高校生の放課後を追体験するような視聴感覚が作品の魅力であると評した<ref name="animestyle_No.5">小黒祐一郎「『けいおん!』は(実は)とんでもないアニメだ!」『アニメスタイル』第5号、2011年、pp.12-15。</ref>。 |
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ドラマチックな[[カタルシス]]などを前提とした[[ドラマツルギー (社会学)|ドラマツルギー]]を廃し、青春ものとしてごく普通のありふれた高校生活の描写に主眼を置いた作風に対して、シリーズ開始当初は「ドラマがない」とする批評も多かった<ref name="animestyle_No.5" />。 |
ドラマチックな[[カタルシス]]などを前提とした[[ドラマツルギー (社会学)|ドラマツルギー]]を廃し、青春ものとしてごく普通のありふれた高校生活の描写に主眼を置いた作風に対して、シリーズ開始当初は「ドラマがない」とする批評も多かった<ref name="animestyle_No.5" />。 |
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他方、[[TBSテレビ|TBS]]のプロデューサーとして『けいおん!』シリーズなどのアニメ作品を手がける[[中山佳久]]は<ref name="Nikkei Entertainment!-pp16-18" />、同作が現実同様の学校生活の営みを描いた成長譚であると述べ、物語の希薄さを指摘する批評に対して「作品を短絡的に見ているだけなのではないか」と反論している{{Sfn|広瀬|2013a|p=16}}{{Sfn|『“日常系アニメ”ヒットの法則』|p=181}}。 |
他方、[[TBSテレビ|TBS]]のプロデューサーとして『けいおん!』シリーズなどのアニメ作品を手がける[[中山佳久]]は<ref name="Nikkei Entertainment!-pp16-18" />、同作が現実同様の学校生活の営みを描いた成長譚であると述べ、物語の希薄さを指摘する批評に対して「作品を短絡的に見ているだけなのではないか」と反論している{{Sfn|広瀬|2013a|p=16}}{{Sfn|『“日常系アニメ”ヒットの法則』|p=181}}。 |
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黒瀬陽平はこの作品を空気系の到達点であると評したが<ref>﹁CYZO×PLANETS CROSS REVIEW ︻ANIME︼﹂﹃CYZO×PLANETS SPECIAL PRELUDE2011﹄第二次惑星開発委員会、2010年、86頁、ISBN 978-4905325017。</ref>、
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黒瀬陽平はこの作品を空気系の到達点であると評したが<ref>﹁CYZO×PLANETS CROSS REVIEW ︻ANIME︼﹂﹃CYZO×PLANETS SPECIAL PRELUDE2011﹄第二次惑星開発委員会、2010年、86頁、ISBN 978-4905325017。</ref>、
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広瀬は同作を空気系の先入観によってカテゴリ化することに否定的な見解を示した<ref name="あいち国際女性映画祭">2013年「あいち国際女性映画祭」で開催されたシンポジウム「男なんていらない!?」に関する記事中での論説(小原篤[ |
広瀬は同作を空気系の先入観によってカテゴリ化することに否定的な見解を示した<ref name="あいち国際女性映画祭">2013年「あいち国際女性映画祭」で開催されたシンポジウム「男なんていらない!?」に関する記事中での論説(小原篤[https://www.asahi.com/showbiz/column/animagedon/TKY201209160102.html 「『けいおん!』愛される理由」『朝日新聞DIGITAL』](2012年9月17日)2013年6月1日閲覧)。</ref>。 |
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漫画評論家の[[藤本由香里]]は、広瀬の主張を受け、同作の緻密な演出や描写の密度はゆるい日常系アニメのステレオタイプとは一線を画していると述べた<ref name="あいち国際女性映画祭" />。[[朝日新聞]]記者の小原篤は、男性登場人物の少ない本作が性別を問わず人気を得た理由として、類型化されたアニメ的な美少女キャラクターとは異なる女性からみた女の子のかわいらしさが描写されていることに加え、男女それぞれの立場で恋愛の煩わしさを敬遠する社会の風潮が背景にあると指摘している<ref name="あいち国際女性映画祭" />。 |
漫画評論家の[[藤本由香里]]は、広瀬の主張を受け、同作の緻密な演出や描写の密度はゆるい日常系アニメのステレオタイプとは一線を画していると述べた<ref name="あいち国際女性映画祭" />。[[朝日新聞]]記者の小原篤は、男性登場人物の少ない本作が性別を問わず人気を得た理由として、類型化されたアニメ的な美少女キャラクターとは異なる女性からみた女の子のかわいらしさが描写されていることに加え、男女それぞれの立場で恋愛の煩わしさを敬遠する社会の風潮が背景にあると指摘している<ref name="あいち国際女性映画祭" />。 |
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<!-- (以下の記述は専門外の新聞記者による作品紹介記事しか出典がなく、当該の作品群(日常、ぱにぽに、はるみねーしょん!、WORKING!!、男子高校生の日常)が本記事の主要出典で扱われる「日常系」「空気系」の定義に該当するか不明なので、精度と特筆性の疑義から一旦コメントアウトしました) |
<!-- (以下の記述は専門外の新聞記者による作品紹介記事しか出典がなく、当該の作品群(日常、ぱにぽに、はるみねーしょん!、WORKING!!、男子高校生の日常)が本記事の主要出典で扱われる「日常系」「空気系」の定義に該当するか不明なので、精度と特筆性の疑義から一旦コメントアウトしました) |
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このほかゼロ年後半以降には、空気系らしい舞台設定ながらもタイトルに反した奇怪な設定の多い『[[日常 (漫画)|日常]]』や(空気系作品でよく描かれる女子高生ではなく)男子高校生の描写を中心にすえた『[[男子高校生の日常]]』といったように、空気系の定型を少し外した作品が登場している<ref>「[https://web.archive.org/web/20111203080434/http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20111129-OYT8T00833.htm 「日常系マンガ」が人気…現実離れのステキ空間]」[[YOMIURI ONLINE]](2011年11月30日)</ref>。--> |
このほかゼロ年後半以降には、空気系らしい舞台設定ながらもタイトルに反した奇怪な設定の多い『[[日常 (漫画)|日常]]』や(空気系作品でよく描かれる女子高生ではなく)男子高校生の描写を中心にすえた『[[男子高校生の日常]]』といったように、空気系の定型を少し外した作品が登場している<ref>「[https://web.archive.org/web/20111203080434/http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20111129-OYT8T00833.htm 「日常系マンガ」が人気…現実離れのステキ空間]」[[YOMIURI ONLINE]](2011年11月30日)</ref>。--> |
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=== 2010年代 === |
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2010年代の |
2010年代の人気については、沈静化した、定着化した、日常系の要素を持った別ジャンルへ移行した、などの意見がみられる。
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2011年に発生した[[東日本大震災]]の影響について、宇野常寛は、悲惨な災害の反動から短期的には空気系の流行が続くだろうとの予測を示した{{Sfn|﹃ゼロ年代の想像力﹄文庫版|pp=426,450|loc=ゼロ年代の想像力、その後}}。
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2011年に発生した[[東日本大震災]]の影響について、宇野常寛は、悲惨な災害の反動から短期的には空気系の流行が続くだろうとの予測を示した{{Sfn|﹃ゼロ年代の想像力﹄文庫版|pp=426,450|loc=ゼロ年代の想像力、その後}}。
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一方、[[社会学者]]の[[宮台真司]]は、2011年1月よりテレビ放送された﹃[[魔法少女まどか☆マギカ]]﹄が新たな人気の受け皿となった可能性があると述べ、気楽な日常ドラマが同震災後に支持を維持することは難しいと予想した<ref>宮台真司﹁[ |
一方、[[社会学者]]の[[宮台真司]]は、2011年1月よりテレビ放送された﹃[[魔法少女まどか☆マギカ]]﹄が新たな人気の受け皿となった可能性があると述べ、気楽な日常ドラマが同震災後に支持を維持することは難しいと予想した<ref>宮台真司﹁[https://nikkan-spa.jp/37231 ﹁まどか☆マギカ﹂とは﹁セカイ系﹂を超越する絆の物語である]﹂﹃[[SPA!]]﹄2011年7月19日号、55頁、2011年9月12日閲覧。</ref>。同作は﹃ひだまりスケッチ﹄の[[蒼樹うめ]]と新房昭之が関わっているが作風は真逆で、従来の﹁魔法少女もの﹂の設定を逆用したといわれるハードな作風で大きな反響を呼び、第15回[[文化庁メディア芸術祭]] 、第11回[[東京アニメアワード]] 、第16回[[アニメーション神戸|アニメーション神戸賞]] 、第43回[[星雲賞]]など多数の賞を受賞した<ref>[http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2011/animation/works/15an_PUELLA_MAGI_MADOKA_MAGICA/ ﹁第15回2011年︵アニメーション部門 大賞︶﹂﹃文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品﹄]2013年6月1日閲覧。<br>
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同作は従来の﹁魔法少女もの﹂の設定を逆用したといわれるハードな作風で大きな反響を呼び、第15回[[文化庁メディア芸術祭]] 、第11回[[東京アニメアワード]] 、第16回[[アニメーション神戸|アニメーション神戸賞]] 、第43回[[星雲賞]]などで多数の賞を受賞した作品である<ref>[http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2011/animation/works/15an_PUELLA_MAGI_MADOKA_MAGICA/ ﹁第15回2011年︵アニメーション部門 大賞︶﹂﹃文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品﹄]2013年6月1日閲覧。<br>
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[https://mantan-web.jp/article/20120216dog00m200033000c.html 「東京アニメアワード : 「コクリコ坂から」が最高賞 「まどマギ」「タイバニ」も3冠」『MANTANWEB(まんたんウェブ)毎日新聞デジタル』](2012年2月16日)2013年6月1日閲覧。<br> |
[https://mantan-web.jp/article/20120216dog00m200033000c.html 「東京アニメアワード : 「コクリコ坂から」が最高賞 「まどマギ」「タイバニ」も3冠」『MANTANWEB(まんたんウェブ)毎日新聞デジタル』](2012年2月16日)2013年6月1日閲覧。<br> |
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[http://www.anime-kobe.jp/archive/2011/anime-kobe/ 「第16回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧。<br> |
[http://www.anime-kobe.jp/archive/2011/anime-kobe/ 「第16回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧。<br> |
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[http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2012result.html ﹃2012年 第43回星雲賞﹄]2013年6月1日閲覧。</ref>。[[新海誠]]は、映画﹃[[星を追う子ども]]﹄の監督を手がけた際に、震災によって衣食住がままならない現実を差し置いてアニメという娯楽表現を作ること自体に思い悩んだ結果、困難なときに様々な作品が心の助けとなった自身の経験を思い返し、迷いを振り切ったと述べている<ref>映画﹃星を追う子ども﹄公開初日舞台あいさつでのコメント︵肥沼和之[https://www.cinematoday.jp/news/N0032102 ﹁新海誠監督、東日本大震災の後にアニメ製作の理由を見失いかけたことを告白-﹃星を追う子ども﹄初日舞台あいさつ﹂﹃シネマトゥデイ﹄]︵2011年5月7日︶2013年6月1日閲覧︶。</ref>。
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[http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2012result.html 『2012年 第43回星雲賞』]2013年6月1日閲覧。</ref>。 |
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2011年夏、「[[百合 (ジャンル)|百合]]」と呼ばれる女性同士の恋愛ものを扱う漫画雑誌『[[コミック百合姫]]』に連載中の4コマ漫画『[[ゆるゆり]]』がアニメ化、テレビ放映された<ref>[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(「ゆるゆり」作品概要)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧</ref>。 |
一方2011年夏には、「[[百合 (ジャンル)|百合]]」と呼ばれる女性同士の恋愛ものを扱う漫画雑誌『[[コミック百合姫]]』に連載中の4コマ漫画『[[ゆるゆり]]』がアニメ化、テレビ放映された<ref>[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(「ゆるゆり」作品概要)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧</ref>。 |
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アニメ愛好家のブログなどを通じて話題が拡散する形で徐々に人気が拡大<ref name="anime-kobe-Yuruyuri">[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 吉岡勇「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(「ゆるゆり」授賞理由)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧</ref>、日常系の要素も備えた百合作品として百合ブームの端緒となった<ref name="ダヴィンチ">波多野公美「[https://ddnavi.com/interview/420470/a/ きっかけは『ゆるゆり』! ブレイクする「百合」の魅力を専門誌編集長に聞いてみた。]」『ダビンチニュース』2017年12月6日(2018年1月8日閲覧)。</ref>。 |
アニメ愛好家のブログなどを通じて話題が拡散する形で徐々に人気が拡大<ref name="anime-kobe-Yuruyuri">[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 吉岡勇「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(「ゆるゆり」授賞理由)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧</ref>、日常系の要素も備えた百合作品として百合ブームの端緒となった<ref name="ダヴィンチ">波多野公美「[https://ddnavi.com/interview/420470/a/ きっかけは『ゆるゆり』! ブレイクする「百合」の魅力を専門誌編集長に聞いてみた。]」『ダビンチニュース』2017年12月6日(2018年1月8日閲覧)。</ref>。 |
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特に男性ファンの増加が顕著で、同作がアニメ化された2011年頃を機に、それまで女性ファン中心だった百合ジャンル全体における漫画読者層の男女比を逆転させた<ref name="ダヴィンチ" /><ref group="注">百合専門誌『コミック百合姫』読者の2017年末時点での男女比はおよそ6:4。</ref>。 |
特に男性ファンの増加が顕著で、同作がアニメ化された2011年頃を機に、それまで女性ファン中心だった百合ジャンル全体における漫画読者層の男女比を逆転させた<ref name="ダヴィンチ" /><ref group="注">百合専門誌『コミック百合姫』読者の2017年末時点での男女比はおよそ6:4。</ref>。 |
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劇場アニメでは2011年12月に『映画けいおん!』が公開され、リアリティのある日常描写が幅広い層の支持を得た<ref name="K-ON!">[ |
劇場アニメでは2011年12月に『映画けいおん!』が公開され、リアリティのある日常描写が幅広い層の支持を得た<ref name="K-ON!">[https://www.japan-academy-prize.jp/prizes/?t=35 「第35回に本アカデミー賞優秀作品」『日本アカデミー賞』](2013年6月1日閲覧)。<br> |
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櫻井孝昌(審査委員・コンテンツメディアプロデューサー)[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(映画「けいおん!」授賞理由)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧。<br> |
櫻井孝昌(審査委員・コンテンツメディアプロデューサー)[http://www.anime-kobe.jp/archive/2012/anime-kobe/ 「第17回アニメーション神戸賞 受賞者・受賞作品(映画「けいおん!」授賞理由)」『アニメーション神戸』]2013年6月1日閲覧。<br> |
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[http://www.eiren.org/toukei/ 『一般社団法人日本映画製作者連盟』][http://www.eiren.org/toukei/img/2013.pdf 「2012年 (平成24年) 全国映画概況」](2013年6月1日閲覧)。<br> |
[http://www.eiren.org/toukei/ 『一般社団法人日本映画製作者連盟』][http://www.eiren.org/toukei/img/2013.pdf 「2012年 (平成24年) 全国映画概況」](2013年6月1日閲覧)。<br> |
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{{Cite news |date=2012-11-27 |url=https://animeanime.jp/article/2012/11/27/12193.html |title=﹁偽物語﹂第一巻 アニメ部門年間ランキング1位 HMV ONLINEで |work=アニメ!アニメ! |publisher=アニメアニメジャパン |accessdate=2012-12-25 }}。<br>
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{{Cite news |date=2012-11-27 |url=https://animeanime.jp/article/2012/11/27/12193.html |title=﹁偽物語﹂第一巻 アニメ部門年間ランキング1位 HMV ONLINEで |work=アニメ!アニメ! |publisher=アニメアニメジャパン |accessdate=2012-12-25 }}。<br>
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{{Cite news |date=2012-03-07 |author=福田麗 |url= |
{{Cite news |date=2012-03-07 |author=福田麗 |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0040087 |title=『映画「けいおん!」』がアニメーション映画として破格の興収17億円突破の大ヒット! |work=シネマトゥデイ |publisher=ウエルバ |accessdate=2012-04-03 }}。</ref>。 |
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同年の第35回[[日本アカデミー賞]]にて優秀アニメーション作品賞を受賞、興行収入が19億円に達するなど商業的にも成功を収めた<ref name="K-ON!" />。映画というメディアの性質上、作品にスケール感を加味するという要請からロンドンを舞台としたエピソードが盛り込まれたが、放課後の部活動風景をはじめ些細な日常の中の青春譚を描くテレビシリーズの作風を踏襲し、「ファンタジーになることは避けた」と山田尚子監督は述べている<ref>金井真紀「『けいおん!』現象の〈解〉」『日系エンタテインメント!』2011年12月号、日経BP社、pp.22-24。<br> |
同年の第35回[[日本アカデミー賞]]にて優秀アニメーション作品賞を受賞、興行収入が19億円に達するなど商業的にも成功を収めた<ref name="K-ON!" />。映画というメディアの性質上、作品にスケール感を加味するという要請からロンドンを舞台としたエピソードが盛り込まれたが、放課後の部活動風景をはじめ些細な日常の中の青春譚を描くテレビシリーズの作風を踏襲し、「ファンタジーになることは避けた」と山田尚子監督は述べている<ref>金井真紀「『けいおん!』現象の〈解〉」『日系エンタテインメント!』2011年12月号、日経BP社、pp.22-24。<br> |
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『映画けいおん!』パンフレット、桜高軽音部、2011年12月3日、pp.20-21。<br> |
『映画けいおん!』パンフレット、桜高軽音部、2011年12月3日、pp.20-21。<br> |
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{{Cite news |date=2011-12-05 |author=福田麗 |url= |
{{Cite news |date=2011-12-05 |author=福田麗 |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0037442 |title=『けいおん!』山田尚子監督、寂しい…と本音チラリ!テレビシリーズ最終回へとつながる劇場版の展開は感動もの! |work=シネマトゥデイ |publisher=ウエルバ |accessdate=2012-05-11 }}</ref>。 |
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中山佳久は空気系作品の長期的な動向について、日常の幸せをテーマとする作品は今後も支持されてゆくだろうと2011年時点の発言で述べている<ref name="asahi20111205" />。 |
中山佳久は空気系作品の長期的な動向について、日常の幸せをテーマとする作品は今後も支持されてゆくだろうと2011年時点の発言で述べている<ref name="asahi20111205" />。 |
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2010年代には﹃[[ご注文はうさぎですか?]]﹄﹃[[きんいろモザイク]]﹄﹃[[がっこうぐらし!]]﹄﹃[[NEW GAME! (アニメ)|NEW GAME!]]﹄﹃[[ゆるキャン△ (アニメ)|ゆるキャン△]]﹄とアニメ化が続き、きらら系列の作品のクロスオーバーゲーム﹃[[きららファンタジア]]﹄の存在のように、2019年時点では1ジャンルとして認識されたとの見方もある<ref>{{Cite news |title=アニメ﹃けいおん!﹄が与えた影響とは何だったのか 放送10周年を機に改めて考察 |newspaper=リアルサウンド |date=2019-06-30 |author=草野虹 |url=https://realsound.jp/2019/06/post-382423_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。多くは漫画やアニメを指していたが同年代には実写作品についても日常系との言及があり、漫画原作のテレビドラマ﹃[[女子高生の無駄づかい]]﹄﹃ゆるキャン△﹄<ref>{{Cite news |title=女子高生の﹁日常系﹂がアニメに続きドラマでも流行?﹃ゆるキャン△﹄﹃女子無駄﹄から考察 |newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2020-02-06 |author=田幸和歌子 |url=https://realsound.jp/movie/2020/02/post-497173.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>﹃[[サ道]]﹄、それ以外では﹃[[架空OL日記]]﹄﹃[[セミオトコ]]﹄﹃[[俺の話は長い]]﹄﹃[[ひとりキャンプで食って寝る]]﹄などがあり、成馬零一はYouTubeで芸能人がキャンプする様子を淡々と見せたり生活を延々と見せる動画の人気から来ているとみている<ref>{{Cite news |title=安達奈緒子の3作品が高評価! “日常系”が増え始めた2019年を振り返るドラマ評論家座談会︻前編︼︵1/3︶
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2010年代には﹃[[ご注文はうさぎですか?]]﹄﹃[[きんいろモザイク]]﹄﹃[[がっこうぐらし!]]﹄﹃[[NEW GAME! (アニメ)|NEW GAME!]]﹄﹃[[ゆるキャン△ (アニメ)|ゆるキャン△]]﹄とアニメ化が続き、きらら系列の作品のクロスオーバーゲーム﹃[[きららファンタジア]]﹄の存在のように、2019年時点では1ジャンルとして認識されたとの見方もある<ref>{{Cite news |title=アニメ﹃けいおん!﹄が与えた影響とは何だったのか 放送10周年を機に改めて考察 |newspaper=リアルサウンド |date=2019-06-30 |author=草野虹 |url=https://realsound.jp/2019/06/post-382423_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。多くは漫画やアニメを指していたが同年代には実写作品についても日常系との言及があり、漫画原作のテレビドラマ﹃[[女子高生の無駄づかい]]﹄﹃ゆるキャン△﹄<ref>{{Cite news |title=女子高生の﹁日常系﹂がアニメに続きドラマでも流行?﹃ゆるキャン△﹄﹃女子無駄﹄から考察 |newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2020-02-06 |author=田幸和歌子 |url=https://realsound.jp/movie/2020/02/post-497173.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>﹃[[サ道]]﹄、それ以外では﹃[[架空OL日記]]﹄﹃[[セミオトコ]]﹄﹃[[俺の話は長い]]﹄﹃[[ひとりキャンプで食って寝る]]﹄などがあり、成馬零一はYouTubeで芸能人がキャンプする様子を淡々と見せたり生活を延々と見せる動画の人気から来ているとみている<ref>{{Cite news |title=安達奈緒子の3作品が高評価! “日常系”が増え始めた2019年を振り返るドラマ評論家座談会︻前編︼︵1/3︶
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|newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2019-12-30 |url=https://realsound.jp/movie/2019/12/post-470403.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref><ref>{{Cite news |title=安達奈緒子の3作品が高評価! “日常系”が増え始めた2019年を振り返るドラマ評論家座談会【前編】(2/3) |
|newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2019-12-30 |url=https://realsound.jp/movie/2019/12/post-470403.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref><ref>{{Cite news |title=安達奈緒子の3作品が高評価! “日常系”が増え始めた2019年を振り返るドラマ評論家座談会【前編】(2/3) |
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|newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2019-12-30 |url=https://realsound.jp/movie/2019/12/post-470403_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。成馬は『[[あさが来た]]』のヒットも『けいおん!』のように対立や不快な要素を排除して物語を後退させ、主人公の家族を中心とした登場人物たちの楽しいやりとりがなされ、その代表として田村宜のように彼女は将来についての葛藤はあっても物語を持っていないマスコット的な存在で、この人物ほど徹底されていれば余計な物語は不必要とも思えてくるが、同作が後の朝ドラに大きな影響を与えることも考えられ、物語性の後退を懸念した<ref>{{Cite news |title=『あさが来た』はなぜ成功したのか? “鬱展開”を排除した作りと、キャラクターの魅力 |newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2016-04-04 |author=成馬零一 |url=https://realsound.jp/movie/2016/04/post-1360_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。 |
|newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2019-12-30 |url=https://realsound.jp/movie/2019/12/post-470403_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。成馬は﹃[[あさが来た]]﹄のヒットも﹃けいおん!﹄のように対立や不快な要素を排除して物語を後退させ、主人公の家族を中心とした登場人物たちの楽しいやりとりがなされ、その代表として田村宜のように彼女は将来についての葛藤はあっても物語を持っていないマスコット的な存在で、この人物ほど徹底されていれば余計な物語は不必要とも思えてくるが、同作が後の朝ドラに大きな影響を与えることも考えられ、物語性の後退を懸念した<ref>{{Cite news |title=﹃あさが来た﹄はなぜ成功したのか? “鬱展開”を排除した作りと、キャラクターの魅力 |newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2016-04-04 |author=成馬零一 |url=https://realsound.jp/movie/2016/04/post-1360_2.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。﹃がっこうぐらし!﹄や2017年の﹃[[けものフレンズ]]﹄では、一見すると日常系だが、実はシリアスという手法が行われた<ref>{{Cite web |title=だまされた!中身はまさかの…!?新日常アニメ﹁がっこうぐらし﹂! {{!}} 歌詞検索サイト︻UtaTen︼ふりがな付 |url=https://utaten.com/specialArticle/index/4135 |website=UtaTen |access-date=2024-06-04 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=﹁けものフレンズ﹂流行の軌跡 たーのしー!フレンズ急増の背景|シネマトゥデイ |url=https://www.cinematoday.jp/news/N0090590 |website=シネマトゥデイ |date=2017-03-28 |access-date=2024-06-04 |language=ja}}</ref>。
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芳文社ではもともと4コマ漫画に多様性を出そうとして創刊した﹃まんがタイムきらら﹄だったが、﹃ひだまりスケッチ﹄﹃けいおん!﹄﹃[[GA芸術科アートデザインクラス]]﹄がアニメ化され、同誌のイメージが4、5人の女子高生の学園ものだと制作側が思っていた以上に強くなり、いつの間にか多様性のなさがシンボルとなったことで、それを打破するために2011年に﹃[[まんがタイムきららミラク]]﹄を創刊した |
芳文社ではもともと4コマ漫画に多様性を出そうとして創刊した﹃まんがタイムきらら﹄だったが、﹃ひだまりスケッチ﹄﹃けいおん!﹄﹃[[GA芸術科アートデザインクラス]]﹄がアニメ化され、同誌のイメージが4、5人の女子高生の学園ものだと制作側が思っていた以上に強くなり、いつの間にか多様性のなさがシンボルとなったことで、それを打破するために2011年に﹃[[まんがタイムきららミラク]]﹄を創刊したものの、2017年に休刊した<ref name="WHAT's IN">{{Cite news |title=芳文社創立70周年を迎えて。﹁まんがタイムきらら﹂編集長が考える“これからの日常系”の形 |newspaper=WHAT's IN? tokyo |date=2020-08-28 |url=https://web.archive.org/web/20200828115128/https://tokyo.whatsin.jp/607080 |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。
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=== 2020年代 === |
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[[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|新型コロナウイルス感染症の流行]]による新しい生活様式の中では少女たちとの密接な関係性を描いた作品が変化するのかとの問いに、小林宏之はきららのような人間関係が否定されたわけではなく、むしろ再認識した人も多いのではないかとしている<ref name="WHAT's IN" />。新型コロナを気にせず作ればいいとの考えもあるが[[藤津亮太]]は2021年に受け手が違和感を持つような日常系は難しくなるとの見方もあることに言及、藤津は新型コロナと関係のないファンタジー世界が舞台の日常系がアニメで増える可能性を指摘した<ref>{{Cite news |title=アニメにおける﹁映画とは何か﹂という問い 2020年を振り返るアニメ評論家座談会︻後編︼ |newspaper=リアルサウンド映画部 |date=2021-01-31 |url=https://realsound.jp/movie/2021/01/post-699600_5.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。
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== 他の作品類型との関係 == |
== 他の作品類型との関係 == |
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*『“日常系アニメ”ヒットの法則』(2011年)は「日常系」を主題とした本だが「空気系」という言葉も紹介し、区別されることがあると記述しているものの、差は述べず同じものとする立場を取っている{{Sfn|『“日常系アニメ”ヒットの法則』|p=12}}。 |
*『“日常系アニメ”ヒットの法則』(2011年)は「日常系」を主題とした本だが「空気系」という言葉も紹介し、区別されることがあると記述しているものの、差は述べず同じものとする立場を取っている{{Sfn|『“日常系アニメ”ヒットの法則』|p=12}}。 |
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*上記の「空気系」論を対象とした批評である広瀬正浩、禧美智章の前出の論においても「日常系」を同じものとしており、意味の違いには言及していない。 |
*上記の「空気系」論を対象とした批評である広瀬正浩、禧美智章の前出の論においても「日常系」を同じものとしており、意味の違いには言及していない。 |
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*ネット上の記事でも同じものとして解説しているものが複数<ref>{{Cite web |
*ネット上の記事でも同じものとして解説しているものが複数<ref>{{Cite web|和書|author=[[虚構新聞|虚構新聞・社主UK]] |date=2013-10-18 |url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1310/18/news008.html |title=このマンガを読んで人生で初めてファンレターを書きました 第6回「ひまわりさん」 |work=[[ITmedia|ねとらぼ]] |publisher=ITmedia |accessdate=2018-01-11 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=ロペ子 |date=2013-11-02 |url=https://otapol.com/2013/11/post-112.html |title=実は“空気系アニメ”だった!? 可愛い女の子を愛でるべき『ガリレイドンナ』 |work=おたぽる |publisher=[[サイゾー]] |accessdate=2018-01-11 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=織作亜樹良 |date=2014-09-24 |url=https://www.cyzo.com/2014/09/post_18782_entry.html |title=日常系なのに登山は本格志向! 第2期シリーズから一気に化けた『ヤマノススメ』 |work=日刊サイゾー |publisher=[[サイゾー]] |accessdate=2018-01-11 }}</ref><ref name="excite20151010_p4">{{Cite web|和書|author=飯田一史 |coauthors=[[藤田直哉]] |date=2015-10-10 |url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1444294179265/?p=4 |title=「ご注文はうさぎですか?」は禅である 見ていると無の境地になれる |work=エキサイトレビュー |publisher=[[エキサイト]] |accessdate=2018-01-11 |page=4 }}</ref>。 |
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上記の通り、空気系と日常系は同じものとして扱われることが多く、上記文献に使い分けを説明したものはない。 |
上記の通り、空気系と日常系は同じもの、あるいは空気系の新しい呼び名が日常系であるとして扱われることが多く、上記文献に使い分けを説明したものはない。 |
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[[アニプレックス]]プロデューサーの[[高橋祐馬]]は2010年に﹁﹃ARIA﹄があって、﹃らき☆すた﹄があって。日常系なんて呼び方が共通語になった感じ﹂と述べ{{Sfn|﹃新房語﹄|p=129}}、同じくアニプレックスプロデューサーの[[岩上敦宏]]も﹁日常系﹂の語を用いており{{Sfn|﹃新房語﹄|p=99}}、この時点で製作側にも﹁日常系﹂の呼び名が浸透していることが分かる。2010年代以降、評論以外の分野では作品、出版社の紹介などで﹁日常系﹂というジャンルを称することが増えたほか、タイトルに﹁日常﹂や﹁日常系﹂を含むもの︵﹃[[日常_(漫画)#テレビアニメ|日常]]﹄、﹃[[男子高校生の日常]]﹄、﹃[[異能バトルは日常系のなかで]]﹄<ref group="注">ただし本作自体は日常系というジャンルで呼ばれる内容ではない。</ref>等︶も多数登場している。
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本ジャンルに該当する作品を多数連載する芳文社の﹁きらら﹂とつく漫画雑誌名から﹁きらら系﹂、日本国外ではCGDCT︵Cute Girls Doing Cute Things、かわいい女の子がかわいいことをする︶という呼び名もある<ref>{{Cite news |title=今こそ自宅でキャンプ気分!﹁ゆるキャン△﹂アニメ&実写をじっくり楽しむ |newspaper=AV Watch |date=2020-04-02 |url=https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/1244506.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。
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本ジャンルに該当する作品を多数連載する芳文社の﹁きらら﹂とつく漫画雑誌名から﹁きらら系﹂、日本国外ではCGDCT︵Cute Girls Doing Cute Things、かわいい女の子がかわいいことをする︶という呼び名もある<ref>{{Cite news |title=今こそ自宅でキャンプ気分!﹁ゆるキャン△﹂アニメ&実写をじっくり楽しむ |newspaper=AV Watch |date=2020-04-02 |url=https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/1244506.html |accessdate=2021-03-26 }}</ref>。
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評論以外では、作品、出版社の紹介などで「日常系」というジャンルを称することがあるほか、タイトルに「日常系」を含むものも登場している<ref group="注">『[[異能バトルは日常系のなかで]]』。本作自体は日常系というジャンルで呼ばれる作品ではない。</ref> |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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149行目: | 150行目: | ||
* {{Cite book |和書 |author=山口直彦 |chapter=セカイ系と日常系| title=ライトノベル研究序説 |publisher=[[青弓社]] |date=2009 |isbn=978-4787291882 |ref={{SfnRef|『ライトノベル研究序説』}}}} |
* {{Cite book |和書 |author=山口直彦 |chapter=セカイ系と日常系| title=ライトノベル研究序説 |publisher=[[青弓社]] |date=2009 |isbn=978-4787291882 |ref={{SfnRef|『ライトノベル研究序説』}}}} |
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*{{Cite news |author=宮本茂頼 |date=2011-12-05 |title=空気系 物語なき楽園 穏やかな日常描き人気 |newspaper=[[朝日新聞]]朝刊13版 |page=30面 |publisher=[[朝日新聞社]] |ref=CITEREF朝日新聞2011年12月5日 |url=http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201112060258.html |archivedate=2011-12-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20111207193931/http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201112060258.html |accessdate=2013-01-25 }} |
*{{Cite news |author=宮本茂頼 |date=2011-12-05 |title=空気系 物語なき楽園 穏やかな日常描き人気 |newspaper=[[朝日新聞]]朝刊13版 |page=30面 |publisher=[[朝日新聞社]] |ref=CITEREF朝日新聞2011年12月5日 |url=http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201112060258.html |archivedate=2011-12-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20111207193931/http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY201112060258.html |accessdate=2013-01-25 }} |
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* {{Cite book |和書 |author=新房昭之 | title=新房語 |publisher=[[一迅社]] |date=2012 |isbn=978-4758012591 |ref={{SfnRef|『新房語』}}}} |
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* {{Cite journal |和書 |journal=[[SCREEN (雑誌)|SCREEN特別版 Screen+]] |date=2011 |volume=29 |publisher=[[近代映画社]] |isbn=978-4-7648-8293-5 |ref={{SfnRef|『Screen+』vol.29}} }} |
* {{Cite journal |和書 |journal=[[SCREEN (雑誌)|SCREEN特別版 Screen+]] |date=2011 |volume=29 |publisher=[[近代映画社]] |isbn=978-4-7648-8293-5 |ref={{SfnRef|『Screen+』vol.29}} }} |
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* {{Cite journal|和書|author=広瀬正浩 |year=2013 |title=「空気系」という名の檻 : アニメ『けいおん!』と性をめぐる想像力 |journal=言語と表現―研究論集― |issue=10 |pages=7-22 |naid=120005991099 |url=http://id.nii.ac.jp/1454/00001918/ |accessdate=2022-02-08 |ref={{SfnRef|広瀬|2013a}} }} |
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* {{Cite book |和書 |author=広瀬正浩|authorlink=広瀬正浩 |date=2013-09-20 |title=戦後日本の聴覚文化――音楽・物語・身体 |publisher=[[青弓社]] |isbn=978-4-7872-7340-6 |chapter=補論 『空気系』という名の檻 ――アニメ『けいおん!』と性をめぐる想像力 |pages=283-310 |ref={{SfnRef|広瀬|2013b}}}} |
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* {{Cite journal|和書|author=禧美智章 |title=「空気系」と物語 : 『けいおん!』にみる成長の物語 |journal=[ |
* {{Cite journal|和書|author=禧美智章 |title=「空気系」と物語 : 『けいおん!』にみる成長の物語 |journal=[https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/index.htm 立命館文學] |ISSN=0287-7015 |publisher=立命館大学人文学会 |year=2017 |month=aug |issue=652 |pages=1216-1227 |naid=40021384972 |url=https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/rb/652/652PDF/Yoshimi.pdf |format=PDF |accessdate=2022-02-08 |ref={{SfnRef|禧美}} }} |
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