おみくじ
表示
おみくじ︵御神籤・御御籤・御仏籤またはみくじ・神籤・御籤・御鬮・仏籤︶とは神社・仏閣などで吉凶を占うために引く籤である。
﹁みくじ﹂は﹁くじ﹂に尊敬の接頭辞﹁み﹂をくわえたもので、漢字で書くときは﹁御籤﹂とするか、神社のものは﹁神籤﹂、寺のものは﹁仏籤﹂とする。ただし厳密には問題があるが、区別せず﹁神籤﹂とすることもある。現在では、みくじ箋︵みくじ紙︶と呼ばれる紙片を用いるものが一般的である。
冨士山下宮小室浅間神社 流鏑馬祭り宵祭りでの神籤神事︵2014. 9.18撮影︶
現在でも、神の意志を占うために各地の神社での神事に神籤が使われているところもある。例として、山梨県富士吉田市の冨士山下宮小室浅間神社では例祭の流鏑馬祭りの一連の神事にて、流鏑馬の参加資格、担当する神馬、走らせる順番、使用する鞍などの道具が神籤によって決められている。
神籤の独自奉製の一例︵冨士山下宮小室浅間神社︶受付で神籤を奉製し ている巫女
おみくじの一例︵岩見沢神社‥北海道︶
和歌・漢詩などが添えられていないタイプ
みくじ箋の内容は番号、吉凶、本文︵願事、病事、待人、争事、縁談、学問、商売など︶などで構成されている[3]。
●番号
●運勢の説明︵概略︶
●吉凶
﹁大吉・吉・中吉・小吉・凶﹂などの吉凶の語で書かれる。この順で運勢がよいとするのが基本だが、﹁大吉﹂の次を﹁中吉﹂としたり[9]、区分けを増やして﹁大吉・吉・中吉・小吉・半吉・末吉・末小吉・平・凶・小凶・半凶・末凶・大凶﹂とする神社も存在する[10]。
さらに、よりよい︵または悪い︶運勢を示す﹁大大吉︵大々吉︶﹂﹁大大凶︵大々凶︶﹂、大吉を細分した﹁向︵むこう︶大吉﹂﹁凶後︵のち︶大吉﹂、吉凶の変動が大きいことを示す﹁未分︵いまだわかれず︶﹂﹁吉凶未分﹂﹁吉凶交交︵こもごも︶﹂がある神社もある[11][9]。
偈文に戒めが多かったことから、かつては凶の割合が多かったとされている[注 1]が、今日においてみくじ箋の吉凶の量の比率は、神社仏閣によって様々である。近年は凶を減らしたり[1]、なくすところ[9][11]もある。ただし、吉凶よりも運勢の説明で何が語られているかが大切であるとされる[12]。
●和歌・漢詩
おみくじには和歌調のものと漢詩調のものがある[3]。運勢の説明に和歌を添えたり[6]︵戸隠神社など[7]︶、全体の運勢を御製や御歌で表現している神社︵明治神宮[13]など︶もある。また、寺のくじでは漢詩が添えられていることもあり、これは﹁元三大師百籤﹂がルーツになっているためである[1]。神籤に吉凶の語句が記されず、運勢の説明文・和歌などのみが御籤に記されている寺社もある。
●個別の運勢︵本文︶
﹁願望・健康・体調・仕事・交渉・恋愛・縁談・待人・出産・金運・商売・相場・学問・学業・受験・技芸・転居・旅行・争事﹂など
木に結ばれた御神籤
引いた後の神籤を、境内の木の枝などに結ぶ習慣がある。﹁結ぶ﹂が恋愛の﹁縁を結ぶ﹂に通じることから江戸時代から行われてきた[5]。その後、神様との﹁縁を結ぶ﹂として木に結びつけられるようになった[6]。二月堂のように千枚通しのようなものに神籤を刺すところもある。
また、﹁凶のおみくじを利き腕と反対の手で結べば、困難な行いを達成つまり修行をしたことになり、凶が吉に転じる﹂という説もある。だが近年、木に結ぶと生育が悪くなるため、参拝者が神籤を結ぶための専用のみくじ掛︵2本の柱の間に棒や縄を渡したもの︶を設置している寺社もある[14]。
中国のおみくじ
神筈︵しんばえ︶
中国のおみくじ︵zh:籤︶は、香港の黄大仙祠などで見られる。籤とは、日本のおみくじに相当する卜具。中国の至るところの寺廟には、神籤︵台湾では一般に、聖籤と称す︶、または薬籤、杯珓が備えられており、人々は、これらによって神意を占い、この結果によりものごとを決める。日本では横浜中華街の関帝廟などで見られる[15]。
主に病疾・転居・蔡墓・財利・婚姻・尋人・旅行・利禄・求雨・失物・試験・仕事などに係わる吉凶・禍福・祈願などの際に、神意の如何を聴く場合に用いる[15]。竹の筒の中に50 - 100本の籤入っていて、それぞれ先端に干支や番号が記入されている[15]。神意を問うべきものを心に浮かべながら竹筒を動かしていく[15]。籤は、筒の穴から取り出すのではなく、筒の上の口が開いていて、斜めに向けて振り続けていると、籤がだんだん動いてきて、そのうち中の1本が外に落ちる[15]。さらにこの籤が正しいことを確かめるために神筈︵しんばえ、ポエ︶という2個の三日月形の神具を投げる[16]。2個が表と裏になれば正しい籤とされる[16]。両方とも表、または、両方とも裏の場合は、もう一度おみくじを引き直す[16]。正しい籤となったら、竹の棒に書かれている干支や番号と同じ籤札を受け取る[15][17][18]。