かに座
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Cancer | |
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属格形 | Cancri |
略符 | Cnc |
発音 | [ˈkænsər]、属格:/ˈkæŋkraɪ/ |
象徴 | the Crab |
概略位置:赤経 | 9 |
概略位置:赤緯 | +20 |
広さ | 506平方度[1] (31位) |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 76 |
3.0等より明るい恒星数 | 0 |
最輝星 | β Cnc(3.520等) |
メシエ天体数 | 2 |
確定流星群 | Delta Cancrids |
隣接する星座 |
やまねこ座 ふたご座 こいぬ座 うみへび座 しし座 こじし座(角で接する) |
主な天体[編集]
恒星[編集]
「かに座の恒星の一覧」も参照
かに座は最も明るいβ星で3.520等、他は4等星以下と全体に暗い星からなる星座である。
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式に固有名が定められている。
●α星‥アクベンス (Acubens[2]) という固有名を持つ。
●β星‥タルフ︵Tarf)は、かに座で最も明るい恒星。蟹の脚の先端にある。
●γ星‥アセルス・ボレアリス (Asellus Borealis[2]) は、5等星。
●δ星‥アセルス・アウストラリス (Asellus Australis[2]) は、4.2等星、K0型。γ星とδ星は、プレセペ星団を飼い葉桶と見なし、そこから飼い葉を食む驢馬︵ロバ︶ (Aselli) と考えられたため、この名前がある。
●ε星‥連星系で、Aa星にMelephという固有名が付けられている。
●ζ星‥少なくとも4つの恒星からなる連星系。ζ1星には、ラテン語で甲殻類の殻を意味する言葉に由来するテグミン (Tegmine[2]) という固有名が付けられている。
●λ星‥Piautos
●ξ星‥A星にNahnという固有名が付けられている。
●55番星‥バイエル符号ではρ1星。G型主系列星の主星Aと赤色矮星の伴星Bからなる連星系で、主星Aには5つの太陽系外惑星が発見されている。55番星Aにはコペルニクス (Copernicus[2]) という固有名が付けられている。
●HD 73534‥国際天文学連合の100周年記念行事﹁IAU100 NameExoworlds﹂でブータンに命名権が与えられ、主星はGakyid、太陽系外惑星はDrukyulと命名された[3]。
その他の特徴ある恒星として以下のものがある。
●ι星‥4等と6.6等の星から成る二重星。小型の天体望遠鏡で容易に分離できる。
●X星‥SRB型に細分類される半規則型変光星。
星団・星雲・銀河[編集]
●M44︵プレセペ星団︶‥散開星団。アラビア名はアンナトラ︵An natra︶。実視等級3.7等。M44はε星として扱われる。γ星、δ星、θ星、η星の作る四辺形と中心のM44の領域は、中国の星座では二十八宿の鬼宿︵和名‥魂緒︵たまを︶の星︶に当たり、積尸気︵ししき あるいは せきしき︶と呼ばれる、屍体の山から立ち上る精霊︵魄︶が集まる姿とされる。 ●M67‥散開星団。 ●NGC 2775‥渦巻銀河。 なお、M1﹁かに星雲﹂はその形がカニに似ていることから命名されたものであって、かに座ではなくおうし座にある。その他[編集]
●かに座HM星‥白色矮星の連星で、5分21.5秒周期で公転する極めて近い連星。アステリズム[編集]
トレミーの48星座は、一部の星座を除けばバビロニア天文学やエジプト天文学に遡れる。エジプト天文学では、かに座ではなく復活と不死性を持つ聖なる甲虫スカラベであった。バビロニアでは、MUL.AL.LULと記述され、カミツキガメ、ザリガニ、カニなど甲殻を持つ水棲動物の星座の意味であった。領土を霊的に守る境界標では、カニは一切使用されず陸亀、水中の亀のイメージが使用されている。 12世紀の資料では、水中甲虫とされた。9世紀のアラブ占星術師アブー=マーシャルの著書﹃Flowers of Abu Ma'shar﹄でそう書かれている。1488年にラテン語に翻訳された際にザリガニとなり、ドイツ語に翻訳された際にはそれに倣った。17世紀のヤコブス・バルチウスを含む天文学者らはロブスターであると記述した。神話[編集]
ゼウスの子、勇者ヘーラクレース︵ヘルクレス座︶は、誤って自分の子を殺した罪を償うため、12の冒険を行うことになった。そのうちの1つがヒュドラー︵うみへび座︶の退治である。化け蟹カルキノス (古希: καρκίνος)[注 1]は、最初はヘーラクレースとヒュドラーの戦いを見ていたが、しだいに同じ沼に住んでいる友人であるヒュドラーが形勢不利になったため、飛び出してヘーラクレースの足を挟んだ。しかし、彼はカルキノスを振り払い踏みつぶした。一部始終を見ていた女神ヘーラーは、勇敢なるカルキノスを哀れに思って、天に上げて星にした[4][5][6]。 なお、別のパターンとして以下のような説もある。ゼウスの妻である女神ヘーラーは、ゼウスの愛人の子であるヘーラクレースを快く思っておらず、巨大な化け蟹を使いに出した。化け蟹ははさみでヘーラクレースの脚を切ろうとした。しかし、ヒュドラーとの格闘中の彼は、まったく気づかずに化け蟹を踏み潰して殺した。この捨て身の勇気を認められ、化け蟹は天に昇りかに座となった[6]。 またエラトステネースに帰されている﹃カタステリスモイ﹄によれば、かに座のなかには、ギガントマキアーにおいてディオニューソス、ヘーパイストス、サテュロスたちが騎乗し、嘶きによって巨人たちを恐怖させ撃退した驢馬たちと、これを養う飼い葉桶を表す星々も含まれていると言われる[5]。関連項目[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 古代ギリシャ語で「蟹」を指す一般名詞。なお、現代ギリシャ語では(特に毛蟹を指す場合)καβούρι と呼ぶ。
出典[編集]
(一)^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
(二)^ abcde“IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年10月6日閲覧。
(三)^ “Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2019年12月29日閲覧。
(四)^ Ian Ridpath. “Star Tales - Cancer”. 2014年2月4日閲覧。
(五)^ ab“伝エラトステネス﹃星座論﹄(4) おとめ座・ふたご座・かに座”. 2022年8月31日閲覧。
(六)^ ab長島晶裕/ORG﹃星空の神々 全天88星座の神話・伝承﹄新紀元社、2012年。ISBN 978-4-7753-1038-0。