ブータン

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ブータン王国
འབྲུག་ཡུལ་
ブータンの国旗
国旗 国章
国の標語:なし
国歌འབྲུག་ཙན་དན་(ゾンカ語)
(雷龍の王国)
ブータンの位置
公用語 ゾンカ語
首都 ティンプー
最大の都市 ティンプー
政府
龍王 ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク
首相 ツェリン・トブゲ
面積
総計 38,400km2128位
水面積率 極僅か
人口
総計(2022年 867,775人(165位[1]
人口密度 22.6人/km2
GDP(自国通貨表示)
合計(2020年 1783億7000万[2]ヌルタム
インド・ルピー[3]
GDP(MER
合計(2020年25億300万[2]ドル(161位
1人あたり 3,358.961(推計)[2]ドル
GDP(PPP
合計(2020年89億8700万[2]ドル(158位
1人あたり 12,057.777(推計)[2]ドル
独立1907年12月17日
通貨 ヌルタム
インド・ルピー[3]???
時間帯 UTC+6 (DST:なし)
ISO 3166-1 BT / BTN
ccTLD .bt
国際電話番号 975

 : : Kingdom of Bhutan西

82



1971

[]


CIA WORLD FACT BOOKDruk GyalkhapDruk Yul使

  'brug yul

Kingdom of BhutanBhutan



13[4]

歴史[編集]

1646年建設のパロ谷ゾン

131184 - 1251

1161 - 121116131428  14751478 - 1523

1616061527 - 159217

1593 - 1641

161616341714



1772調使調1864退1865[5][6]

19061910[6][7]使[5]

1885[5]1907退[8]192623197216420051252008718

[]


627 - 

747 - 

1616 - 

1617 - 1

1626 - 

1634 - 2

1639 - 3

1644 - 1642

1648 - 

1649 - 

1651 - 

1694 - 1998

1714 - 

1825 - 1880

1864 - 

1865 - 57,122

1870 - 

1882 - 

1906 - 

1907 - 1217

1910 - 1949

1926 - 2

1947 -  (Asian Relations Coference) 

1949 - 調

1952 - 3

1964 - 

1971 - 128

1972 - 4

1973 -  (NAM) 

1974 - 4

1985 -  (SAARC) 

1990 - 

1999 - 

2003 - 63000[9]

2005 - 2008

2006 - 5

2007 - 12

2008 - 34718

2011 - 調78

2013 - 7 (PDP)

2020 - COVID-198122[10]

2021 - 213217LGBT

[]

5

1907300[11]1907200865

立法[編集]


19533: National Assembly: Gyelyong Tshogdu2008: National CouncilGyelyong Tshogde2008715010610343

47201205255

200712312008129202008324調 (DPT) 452 (PDP) 2328549DPT

2013713PDP32DPT15719PDP2[12]

[]


1629[ 1]

19682005貿1019641998200820083241DPT49

: Royal Advisory Council: Lodroe Tshogde962152007

: Dzongkhag Development Committee: DYT: Gewog Development Committee: GYT2008

国際関係[編集]


[14]201652[14]1971[14]

中国との関係[編集]


2016[14]1971[15][16][17]1974[18]1984[19][20][21]1998[22][23]

西4西[24][24]19902000[25][26]20149NHK[27]2017628使[24]

インドとの関係[編集]

英領インドとの条約に、「内政は不干渉、外交には助言を与える」という文言が存在し、1949年のインド・ブータン条約英語版にその文言が継承され、多額の補助金がブータンに付与されていたため、インドの保護国的な印象を受ける。しかし、公的には1907年をもって国家成立としている。また、2007年3月の条約改定で、「外交への助言」についての文言が「相互協力関係の維持及び拡大」をうたうものに差し替えられるなど、現状に合わせた新たな規定が定められた。

ブータンとインドは相互の国民が、互いの国を観光するときにビザなどは必要なく、身分証明書のみでよい。また、ブータン国民がインド国内で就労する際に法的規制はない。

日本との関係[編集]


19571958[28]

1964西使1965西19801992

1971[14]

1986G4[29]

1988

198922434姿1

2008NPO  590%2014

200841020091201010

201091GNH1[30]

2011312 18100

20111115

[]

2006
2006

46,500km2200638,400km2[31]

軍事[編集]


17,0002,0001,000GDP21,7002006

84AK-101FN FALH&K G3FN[]

Mi-87 2281 (world global fire)

10001500[32]

20033,0004[9]

地理[編集]

ブータンの衛星写真

西西605km470km

7,561m100m7,561m7,400m

3,000m1,200m3,000m1,200m




地方行政区分[編集]

ブータンのゾンカク
ゾンカクを4つの地方に分けた場合
      西部       中部       南部       東部

20Dzongkhag205GewogThromde[33]

都市[編集]

順位 都市名 人口(2017年
1 ティンプー 114,551 ティンプー県
2 プンツォリン 27,658 チュカ県
3 パロ 11,448 パロ県
4 ジェレフ 9,858 サルパン県
5 サムドゥプ・ジョンカル英語版 9,325 サムドゥプ・ジョンカル県
6 ワンデュ・ポダン英語版 8,954 ワンデュ・ポダン県
7 プナカ 6,262 プナカ県
8 ジャカル英語版 6,243 ブムタン県
9 ナングラム 5,418 ペマガツェル県
10 サムツェ 5,396 サムツェ県

経済[編集]

首都ティンプーの街並み

IMF2020GDP25[2]6GDP3359[2]32011121725%[34]20231213[35]

GDP35%2007貿10貿


2007GNI1,80020213,040[36]19%

1200宿

196152002795GDP36%9貿

1972GNH (Gross National Happiness)GDP/GNPGNH[37]GNH[38][39]GNH[40]2010調6.16.6[41]

201282010[42]

農業[編集]

色と面積で示したブータンの輸出品目

1990943%199150%100%1990[43]

1986198720032005

19862.2%4.6%70.1%20032.7%8.8%68.0%2

1

1987 8.58.55.01.91.25.0

2005 4.57.04.70.51.33.6

20037.6%5137

[]


4%2009

交通[編集]

ブータンのポストバス
ティンプー - プンツォリン間を往復しており、路線バスとしては最も重視されているものになる

道路[編集]

鉄道[編集]

航空[編集]

パロ空港ヨンプラ空港英語版バトパラタン空港英語版ゲレフー空港英語版の4つが主要となっている。

国民[編集]

民族衣装を着たブータン国民

民族[編集]

民族構成(ブータン)
ガロン族(チベット系)

  

50%
ローツァンパ(ネパール系)

  

35%
その他

  

15%

ドゥクパ(ブータン民族)は、ガロン英語版(Ngalong)、ブムタンパ(Bumthangpa)、ツァンラ英語版(Tshangla/Sharchops)の3つに分けられる。南部低地地帯(タライ平原)には、ネパールローツァンパ(Lhotshampa)が居住している。 その他、北部や南部には独自の文化を持つ少数民族の存在が確認されている。

言語[編集]

ブータンの言語分布
言語(ブータン)
ゾンカ語

  

25%
ネパール語

  

40%
ツァンラ語

  

25%

20[44]使

西200625%40%80

194919803使使


[]




[45]

人名[編集]

ブータンにおいては、氏は「家の名」ではなく個人それぞれに名付けられる。婚姻によって改姓することもなく夫婦別姓[46]

宗教[編集]


3

西Ngalong



20199010

他には少数派としてキリスト教徒の存在が確認されている。

近代化の進むなか、チベット仏教は現在でも深くブータンの生活に根差している。ブータン暦の10日に各地で行われるツェチュ英語版というは今でも交際の場として機能している。その他、宗教的意匠が身近なところにあふれ、男根信仰も一般的である。宗教観や古い身分制度に基づく伝統的礼儀作法(ディグラム・ナムジャ英語版)は厳格で、国家公務員の研修や学校教育に取り入れられている。公的な場所に出るときは正装が義務付けられる。


[47] 

教育[編集]

ブータンの大学タシガン県にある王立ブータン大学英語: The Royal University of Bhutan,通称:カンルン大学)が唯一の大学である。この大学には言語文化学部英語版(CLCS)と呼ばれる専門機関が設立されている。

また、王立舞台芸術学院英語版(RAPA)が存在しており、この教育機関はブータンの伝統文化の保存を支援する目的で国務省英語版によって設けられたものである。

保健[編集]

ジグメドルジ・ワンチャック国立紹介病院英語版
首都ティンプーに設けられている同国の主要病院である

煙草規制[編集]


1792200412200%

2020年パンデミックで政府がインドとの国境を封鎖したため、闇価格は4倍に跳ね上がった。その折、インドと往来していた行商人が新型コロナウイルスで陽性を示した。そのためロテ・ツェリン首相(週末に医師の仕事を続けている)は密輸品への需要を減らすための一時的な措置として、また、自宅待機中のヘビースモーカーから煙草を取り上げることによって家庭内の緊張が高まることを防ぐため、煙草の販売を解禁し、ロックダウン中の生活必需品に加えられた[48]

社会[編集]

習俗の面では、ブータン東部では最近まで残っていた「夜這い妻問婚」や「歌垣」などが比較的注目される。

南部問題[編集]

ブータンのパスポートを提示するベルダンギ難民キャンプの人々

19581985[ 2]

19891988

 (UNHCR) 20083

人権[編集]

マスコミ[編集]

ブータンにおける新聞には『クエンセル』が広く知られている。また、1999年まではTV放送が禁止されていた。

通信[編集]

文化[編集]

ブータンは、気候・植生が日本とよく似ている上に、仏教文化の背景も持ち合わせており、日本人の郷愁を誘う場合も多い。これはモンスーン気候に代表される照葉樹林地帯(ヒマラヤ山麓-雲南-江南-台湾-日本)に属しているためで、一帯では類似の文化的特徴を見い出すことができる[49]

食文化[編集]



文学[編集]

ブータン文学はかつて宗教的な教義に傾注されていたが、現在では民間伝承に焦点を当てているものが多い。

音楽[編集]

ブータンのミュージックパレード

2

1960


美術[編集]

ブータンの芸術はチベットの芸術英語版との類似点が多く、どちらもヴァジュラヤナ英語版に基づいている事が共通している。また、伝統工芸においては日本の漆器織物などとの類似点もある。

衣類[編集]

の一例。
ゴはカムニ英語版との組み合わせで着用するのが一般的である






[]

 

3

映画[編集]

祭礼[編集]

ツェチュ英語版と呼ばれる祭りがブータン暦(12か月)の毎月10日に開催されている。ツェチュはチベット仏教における伝統的な祭礼の一つでもある。

祝祭日[編集]

日付 日本語表記 現地語表記 備考
2月21-23日 現国王誕生日 太陽暦
5月2日 第3代国王誕生日
6月2日 現国王戴冠記念日
7月30日 第3代国王逝去日
9月22日 安雨居 Blessed Rainy Day
11月11日 第4代国王誕生日
12月17日 建国記念日
1月1日-2日 新年 Losar ブータン暦
4月15日 花祭り Lord Buddha’s Parinirvana
5月10日 パドマサンババ生誕記念日
6月4日 初転法輪 The First Sermon of Lord Buddha
ダサイン Dashain ネパール暦
9月22日 神降祭 ラパウトゥーチェン Decending Day of Lord Buddha ブータン暦
11月5日 Meeting of Nine Evils
12月1日 Traditional Day of Offering

この他、ツェチュなど各ゾンカク独自の祝祭日がある。また、ティンプーでは初雪の日は休日になるという慣例がある。

観光[編集]

近年、ブータン政府が打ち出している観光政策は「高品質な旅を少数の人に(High Value, Low Volume)」である。新型コロナで外国人旅行客を制限していたが、2022年9月に受け入れを再開。それに関して観光に関わる政策を大きく2点見直した。一つはいわゆる観光税の値上げで、これまで旅行者からは65ドルを徴収していたが、これを一人一泊200ドルに大幅に値上げした。二つ目は公定料金の見直しで、外国人観光客は公定料金と呼ばれる定額料金を支払うのが原則だった。これには、いわゆる観光税、ホテル代、ガイド料金、交通費、食費を含めて250ドル前後であった。この制度は廃止され個別に支払い、料金は業者側が設定できるようになった。

スポーツ[編集]

サッカー[編集]


12000[50]2012BFF

2002FIFAFIFA2022034-0

[]


[51]19901999[52]2003[52]20032004ACC[52][52]

著名な出身者[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]



(一)^ [13]

(二)^ 

出典[編集]



(一)^ Bhutan ().  . 2022821

(二)^ abcdefgWorld Economic Outlook Database, October 2021 ().  IMF (202110). 20211110

(三)^ Frequently Asked Questions.  Royal Monetary Authority of Bhutan. 2021418

(四)^  2008 pp. 16-19.

(五)^ abc調 1942, p. 276.

(六)^ abJACAR()Ref.B03050965100 ()19105

(七)^ JACAR()Ref.B03050965100 ()19106

(八)^ 調 1942, p. 277.

(九)^ ab.  ---2003-- (PDF).  . 2019417

(十)^ .  JETRO (2020819). 20201229

(11)^  2008 p. 123.

(12)^ Tshering Tobgay unanimously elected as PM-electBBS2013719201415

(13)^  2008 p. 76.

(14)^ abcde.  . 2016612

(15)^ Ananth Krishnan (2012622). China, Bhutan 'ready' to establish diplomatic ties ().  The Hindu. 2018131

(16)^ Anuradha Sharma (2012627). India Keeps Close Eye on China's Courtship of Bhutan ().  World Politics Review. 2018131

(17)^ China and Bhutan Hold 23rd Round of Talks on Boundary Issue ().   (2015827). 2018131

(18)^ John W. Garver (2019-04-17). Protracted Contest. UNIVERSITY OF WASHINGTON PRESS. p. 189. https://books.google.de/books?id=TOVaMckcO0MC&pg=PA180&dq=%22Dong+Biwu,+the+acting+president+of+the+PRC%22&hl=en&sa=X&redir_esc=y#v=onepage&q=%22Dong%20Biwu%2C%20the%20acting%20president%20of%20the%20PRC%22&f=false 

(19)^ Bhutan can solve its border problem with China  if India lets it. (2017722). 2018131

(20)^ Yang Jiechi Meets with Foreign Minister Rinzin Dorje of Bhutan. (2014728). 2018131

(21)^ Establishing China-Bhutan ties benefits regional stability: Chinese FM. (2016815). 20181312018131

(22)^ 2010().   (2015827). 2018131

(23)^ Balaji, Mohan (2008112). In Bhutan, China and India collide. Asia Times Online. 2016532018131

(24)^ abc2017630(),

(25)^ Ugyen Penjore (2010114). Joint field survey next on agenda ().  Kuensel Newspaper. 2011108

(26)^ Rinzin Wangchuk; Ugyen Penjore (2009127). Border talks proposed for January 2010 ().  Kuensel Newspaper. 2011108

(27)^ Bhutan's Balancing Act: Tshering Tobgay, Prime Minister of Bhutan ().  NHK WORLD (2014911). 20149202014920

(28)^ 1115. MSN. (20111115). 2011-14. https://web.archive.org/web/20111114194642/http://sankei.jp.msn.com/world/news/111115/asi11111502530002-n1.htm 2019417 

(29)^ 西 (201012). .  . 2012942011108

(30)^ 201265

(31)^ WiLL201011  []

(32)^  1. . (2017720). https://www.nikkei.com/article/DGKKASGM19H5B_Z10C17A7FF1000/ 

(33)^ .  . 2022330

(34)^ Poverty in Asia and the Pacific: An Update (PDF).  . 20153182019417

(35)^ LDCLeast Developed Country.  . 2019417

(36)^ Gross national income per capita 2019, Atlas method and PPP (PDF).  The World Bank. 202136

(37)^ ).  . 2019417

(38)^ . . 2019417

(39)^ GNH.  . 201710302019417

(40)^ . AFPBB News (AFPBB). (2013626). https://www.afpbb.com/articles/-/2952394?pid=10955957 201461 

(41)^  (2012920). .  . 201461

(42)^  .   (20211026). 2021113

(43)^   . . 202182

(44)^ 西. . . http://www.kyoto-bhutan.org/pdf/Himalayan/020/Himalayan-20-063.pdf 2020513. 

(45)^ The Disappearing Practice of Polyandry. New Bhutan Times. 2018122020617

(46)^ 7 things you never knew about BhutanAsia One, Sep 8, 2017.

(47)^ . ONLINE. (2024527). https://toyokeizai.net/articles/-/754985 2024527 

(48)^ .  AFPBB. 2020831

(49)^   2006225545-546 

(50)^ . 201111202011626

(51)^ Bhutan Olympic council of Asia 2023927

(52)^ abcdBhutan Cricket Council Board  2023927

参考文献[編集]


調  1942 171942 

 ︿1820084ISBN 978-4-7503-2781-5 

200612ISBN 4831856800 

[]


------  1994/03 

   西  2001/6

  2002/08 

 2003/02 

 2005/2 

 2005/06 NHK 

 2008/03 

[]















[]

政府
日本政府
観光
その他