アンタール
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﹃アンタール﹄︵露: Антар[1]︶作品9は、ニコライ・リムスキー=コルサコフが1868年に作曲した管弦楽作品である。当初は交響曲第2番嬰ヘ短調﹃アンタール﹄として作曲されていた。その後1875年と1897年に2度の改訂を行っているが、第3版︵1897年︶で交響曲でなく交響組曲とされた。今日演奏されるのは第3版であるが、﹁交響組曲﹂としてよりも﹁交響曲第2番﹂として扱われることが多い。1875年版が出版されたのは翌年︵ベッセル社︶だったが、1897年版は作曲者の死後に出版されている。
曲は4つの楽章からなり、6世紀アラビアの詩人アンタール︵アンタラ・イブン・シャッダード︶の見る夢と、彼が夢の中で実現を約束される3つの願望を表している。﹃シェヘラザード﹄同様、リムスキー=コルサコフ好みの東洋趣味あふれた作品である。また、中東の民謡などが実際に曲中で主題として使われている。
初演[編集]
1876年にサンクトペテルブルクにて初演︵第2版︶楽器編成[編集]
以下の編成は第3版にもとづく。 フルート3、ピッコロ︵第3フルートの持ち替え︶、オーボエ2、イングリッシュホルン︵第2オーボエの持ち替え︶、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン2、バストロンボーン、チューバ、ティンパニ︵3台︶、トライアングル、タンバリン、大太鼓、シンバル、タムタム、ハープ、弦五部︵第1ヴァイオリン︵16人、ソリあり︶、第2ヴァイオリン︵14人、ソリあり︶、ヴィオラ︵12人︶、チェロ︵10人、ソリあり︶、コントラバス︵8人︶︶標題のあらすじ[編集]
現世をはかなんでパルミラの廃墟に隠遁していたアンタール。彼はある日、一頭のカモシカを襲う巨大な鳥を槍を投げつけて追い払う。カモシカの正体はパルミラの妖精の女王ギュル・ナザールであった。彼は夢の中で女王の宮殿に招待されて、彼女から礼として﹁人生の3つの喜び﹂を贈ると約束される。構成[編集]
- 第1楽章「アンタールの夢」
- Largo(廃墟の描写、アンタールの主題) - Allegro(女王の主題、鳥の攻撃と撃退) - Largo - Allegretto(宮殿の描写) - Adagio(女王とアンタールの会話) - Allegretto(宮殿の描写) - Largo
- 第2楽章「復讐の喜び」
- Allegro - Molto allegro - Allegro - Molto allegro
- 第3楽章「権力の喜び」
- Allegro risoluto alla marcia
- 第4楽章「愛の喜び」
- Allegretto vivace - Andante amoroso (再び人生に疲れ果てたアンタールは、女王との愛の喜びの中で死んでいく)
脚注[編集]
外部リンク[編集]
- アンタールの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト