テンペスト (チャイコフスキー)
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幻想序曲﹃テンペスト﹄︵露: Буря︵嵐︶︶作品18は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した演奏会用序曲。シェイクスピアの戯曲﹃テンペスト﹄に基づいている。一部では幻想曲と呼ばれることもある。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cc/Stasov_by_Repin_1873.jpg/170px-Stasov_by_Repin_1873.jpg)
作曲を勧めたウラディーミル・スターソフ︽1873年画︾
チャイコフスキーは文学にも造詣が深く、文学作品に題材を求めた曲も幾つか残している。特にシェイクスピアはチャイコフスキーが非常に敬愛した作家の一人で、幻想序曲﹃ロメオとジュリエット﹄につづいてシェイクスピアに題材を得たチャイコフスキーの管弦楽作品の第2作となったこの曲は、1873年8月から10月にかけて作曲された。同年の2月に交響曲第2番がモスクワで初演され、ロシア5人組から高い好評を得た。チャイコフスキーに作曲を勧めたのは、5人組の理論的指導者であった評論家のスターソフで、彼はシェイクスピアのほかウォルター・スコットやゴーゴリの作品にも候補を挙げたという。しかしチャイコフスキーは﹃テンペスト﹄の物語に惹かれ、前作﹃ロメオとジュリエット﹄に続いてシェイクスピアを選び、3部から成る幻想序曲を書き上げた。
初演は1873年12月19日にモスクワで、ニコライ・ルビンシテインの指揮によって行なわれ、交響曲第2番に劣らぬ好評を持って迎えられた。ただ、チャイコフスキーは当初﹁私の最も輝かしい作品の一つ﹂と語ったが、後になるとこの曲に幻滅を感じていたと伝えられている。構成がやや平板で、冗長な感じを与えるためだったという。しかし、フォン・メック夫人が後年チャイコフスキーを援助したのは、この初演を聴いて感激したのがきっかけだったというエピソードは知られており、また色彩的な響きと抒情的な美しい旋律はリムスキー・コルサコフらも高く評価している。
概要[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cc/Stasov_by_Repin_1873.jpg/170px-Stasov_by_Repin_1873.jpg)
楽器編成[編集]
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、大太鼓、シンバル、弦五部構成[編集]
曲は、フルートやホルンなどがヘ短調の主和音を奏して始まり、弦と金管によって海が描写され、やがて激しい嵐となる。プロスペロー公爵が魔法で嵐を起こして、宿敵の息子ファーディナンドの船を難破させる場面である。嵐が次第に収まると、チェロが﹁愛の動機﹂を奏してプロスペローの娘ミランダとファーディナンドの愛を描き、再び海の描写が戻って、最後は海の静けさを広々と描いて曲を閉じる。演奏時間は約23分。関連作品[編集]
チャイコフスキーの幻想序曲 - いずれもシェイクスピアの戯曲に基づく。外部リンク[編集]
- 幻想序曲『テンペスト』作品18の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- The Tempest, Op.18 - 『Musopen』より
- The Tempest - 『Tchaikovsky Research』より