リュシアン・レヴィ=ブリュール
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人物情報 | |
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生誕 |
1857年4月10日![]() |
死没 |
1939年3月13日 (81歳没)![]() |
出身校 | エコール・ノルマル・シュペリュール |
学問 | |
研究分野 | 哲学・社会学・文化人類学 |
研究機関 | ソルボンヌ大学 |
リュシアン・レヴィ=ブリュール︵フランス語: Lucien Lévy-Bruhl, 1857年4月10日 - 1939年3月13日[1]︶は、フランスの哲学者・社会学者・文化人類学者。
経歴[編集]
1857年、パリ生まれ。エコール・ノルマル・シュペリュールで大学教育を受け、1879年に哲学のバカロレアに及第。1885年から1895年までリセ・ルイ・ル・グランで哲学の講座を受け持つ。1895年にソルボンヌ大学の講師となり、近代哲学史の教授を務めた。1908年から、教授に任ぜられる。パリに没する。 1917年にはアメリカで近世哲学史を講じた後に、日本を訪れてアテネ・フランセで連続講演を行っている。研究と影響[編集]
ブリュールの専門はドイツ哲学であり、優れた哲学史家として認められていた[2]。彼は道徳の分野においては普遍的規範を認めず、社会的事実としての道徳を研究することを提唱し、これを﹁習俗の学 science des mœurs﹂と呼んだ。そこからブリュールはギリシア哲学以前に道徳や倫理がいかに発生したかという問題に取り組み、文明以前の﹁原始的心性 mentalité primitive﹂を措定した。フレイザーのように未開社会が進化して文明社会となったとは考えず、文明社会の﹁論理﹂や科学的思考は、未開社会を理解する役には立たないとブリュールは言う。文明人が分析し判断するところで、未開人は綜合し﹁融即﹂する。未開人は文明人のように論理的思考ができないのではなく、そのような心的習慣がないだけなのだ。﹁未開人の言語は論理的概念の形式とではなく、神話的︵魔術的︶概念の形式と比較しなければ理解できない﹂というブリュールの学説は例えばエルンスト・カッシーラーの言語哲学に影響を与えた[3]。日本での影響[編集]
日本では1920年代からブリュールが紹介され、柳田國男は﹁日本の民俗学者必読の書であるばかりでなく、万般の教養人に読まるべき本だ﹂と推奨している[4]。 ヘーゲル研究を下地としてマルクス研究に従事した見田石介は、その著作の一つ﹁資本論の方法﹂でレヴィ・ブリュールの業績に言及し以下のように述べている。
レヴィ・ブリュールは未開種族の言語の例をとりあげているが、そこでたとえばかれらの食べることをあらわす言葉は、食べものの数だけあることを報告している。人類はおそらく昔はすべてそうであったことと思われるが、それは人類の食事と食物にたいする不十分な理解を示している。しかし人類はやがて食べることとその対象を分離して、それを別々の言葉として固定し、それらを綜合することで、さまざまの食物をたべることをあらわすようになったが、それは食事と食物にたいするより深い理解の段階を示すものである。︵資本論の方法、30頁、見田石介著作集第4巻・45頁︶