佐野鼎

凡例 佐野 鼎
時代	江戸時代末期 - 明治時代初期
生誕	1829年〈文政12年〉
死没	1877年〈明治10年〉10月24日
改名	貞輔→鼎
墓所	神楽坂の清隆寺→青山霊園
藩	加賀藩
氏族	佐野氏
父母	父：小右衛門 母：林
妻	佐野春
子	佐野鉉之助（長男） 佐野操（長女）

佐野 鼎︵さの かなえ、1829年︿文政12年﹀- 1877年︿明治10年﹀10月24日︶は、共立学校︵現在の開成中学校・高等学校︶の創立者。幕末の金沢藩士。別名・貞輔、貞助。

概略

下曽根金三郎の塾頭を経て、金沢藩の洋式兵学校﹁壮猶館﹂の西洋砲術師範方棟取役となり、万延元年遣米使節、文久遣欧使節に参加。身長5尺そこそこと小柄ながらその知的で博学、研究熱心さは米国滞在中に現地新聞で特筆されるほどだった。明治3年(1870)、明治新政府兵部省より出仕を命ぜられ上京、﹁造兵正﹂となり、翌年、念願だった正則英語を教授する共立学校︵のちの開成中学校・高等学校︶を設立した。コレラにより47歳で没。

生涯

下曽根信敦との関係

駿河国富士郡水戸島村︵現・富士市︶の郷士の子として生まれた。 筒井政憲の次男である下曽根信敦︵下曽根金三郎︶の開いた塾に学んだ佐野は下曽根に認められ塾頭︵当時19歳︶となった。その後は長崎に移動。海軍伝習所などで学んだ。1854年︵安政元年︶に加賀藩に洋式兵学校である壮猶館が建立されたと同時に西洋砲術師範方棟取役となった。

遣欧・遣米使節団

1860年︵万延元年︶に派遣した77名の使節団である万延元年遣米使節団の一人として佐野が入団した。ポウハタン号で浦賀からパナマまでの約2ヶ月の航海の間、ヘンリー・ウッドから英語を学んだ。このときの訪問で佐野は、アメリカ大統領のブキャナンに謁見する一団の一人としてホワイトハウスに足を踏み入れている。

万延元年遣米使節の様子

文久遣欧使節の様子

また1862年︵文久元年︶の文久遣欧使節にも入団した。

開成中学校・高等学校設立

1871年︵明治3年︶に共立学校︵現在の開成中学校・高等学校︶を創立した。

開成中学校・高等学校

また柳原三佳による﹁開成をつくった男、佐野鼎﹂が出版されている。

佐野がコレラにより死去。廃校同様のところ、高橋是清が進学予備校として再起した共立学校の学校長に就任。

初代校長・高橋是清

共立学校は、後に改名を重ね、﹁開成中学校・高等学校﹂と称した。

家族

祖父の佐野源大夫は幕臣曽我若狭守の家老職を務めたが、父の小右衛門は二男のため分家して仕官せず郷士となった。 長男に佐野鉉之助。2代目校主の伊藤祐之︵札幌製糖社長︶は娘婿。

人物

佐野は19歳で塾頭、遣欧・遣米使節団に加わっている事から相当頭の良い人物だったと推察でき、また、使節団の一員として派遣された時に剣や盾に興奮していた事から好奇心の強い性格だと窺える。

静岡県富士市に﹁佐野鼎顕彰碑﹂が建立された。

関連人物

• 橋健堂

外部リンク

• 佐野鼎 肖像
• 詳細情報
• 顕彰碑 情報
• 墓所

軍職
先代 原田一道	造兵正 1871年 - 1872年	次代 （欠員→廃止）
その他の役職
先代 （新設）	共立学校社長 1871年 - 1877年	次代 高橋是清 校長