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光学顕微鏡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
研究・実習用光学顕微鏡の例 1:接眼レンズ、2:レボルバ、3:対物レンズ、4:粗動ハンドル、5:微動ハンドル、6:ステージ、7:鏡、8:コンデンサ、9:プレパラート微動装置
1900年代初頭に用いられていた顕微鏡の模式図 1:接眼レンズ、2:レボルバ、3:対物レンズ、4:粗動ハンドル、5:微動ハンドル、6:ステージ、7:鏡、8:絞り
双眼実体顕微鏡
(ズーム機構・写真撮影対応鏡筒つき)
双眼顕微鏡の光学系
A:対物レンズ、B:ガリレオ望遠鏡[1]、C:調整ハンドル、D:内部対物レンズ、E:プリズム、F:リレーレンズ、G:網線、H:接眼レンズ


[]


2

microscopy

1Simple optical microscope2Compound optical microscope

[]


 (Base, Arm or Pillar)



 (Light Source)



 (Stage)



 (Object Lenses)



 (Rotating Nose Piece)

使

 (Iris Diaphragm)



 (Binocular or Ocular Lens)



 (Light Dimmer)



171921

20

binocular microscope



1990

CCD

[]


使

XX

[]

[]
















調



2












[]


1934[] Frits (Frederik) Zernike1953

微分干渉顕微鏡[編集]

光の偏光性と干渉性を利用して、無色透明な細胞や金属表面の段差などを観察する顕微鏡。偏光素子とウォラストンプリズム(ノマルスキープリズム)によって光線を分離して試料面を通過させ、試料で生じる光路差の微分値を像面でコントラストに変える。試料面での光線の分離量をシアー量といい、分解能やコントラストに影響する。現在の顕微鏡では、スミス・ノマルスキー型という構成が多い。

偏光顕微鏡[編集]

物体は内部構造や結晶構造によって、光の振動方向を変える偏光性を有する。この偏光性を観察する方法である。光学顕微鏡のコンデンサーの場所にポラライザー(偏光板)を置き、対物レンズの後ろに遅延版とアナライザー(偏光板)を置き、試料の偏光性や複屈折性を明暗や色の違いとして観察する。偏光板の回転に応じて、結晶などは鮮やかな色で観察される。岩石などの結晶や、生物試料に含まれる結晶質の物質(細胞外マトリックスや異常沈着物のそれぞれ一部など)の観察に用いられる。

偏光顕微鏡の欠点であるアナライザーの回転の煩わしさと、得られた画像データの解析処理の複雑さを簡便にするシステムとして、近年 LC-Polscope が発明された。これは電子的に制御できる偏光板と画像解析装置を組み合わせたもので、結晶構造の偏光方向(slow axis orientation)と偏光の強さ(retardation)が一度の観察で得られる。無染色、無侵襲で細胞骨格が観察できるため、人工授精させた家畜の受精卵の選別などに用いられている。

蛍光顕微鏡[編集]






254 nm365 nm405 nm546 nm

dichroic mirror使

1990CCDCCDCCD

CCD1調[2]Deconvolution

共焦点レーザー顕微鏡[編集]

光源としてガスレーザー半導体レーザー、そして白色光源も光源として用いられる。レーザーを対物レンズから走査し、励起された試料から放出された蛍光(ないしは試料から反射した光)をピンホールを通した後に検出装置を用いて検出、コンピューター上にて画像を再構成する。ピンホールを用いることによって同一焦点(共焦点)面以外からの蛍光をシャットアウトすることができるので、開口数に依存した厚さの光学切片像を得ることができる。たとえばArレーザー(波長488nm)で開口数1.33のレンズを用いたときには厚さ約200nmの光学切片を得ることとなり、透過型電子顕微鏡には大きく劣るものの、従来の光学顕微鏡よりも高い空間解像力を容易に得ることができる。透過型電子顕微鏡の場合と比べて、試料作成が簡単であることも相俟って、1990年代以降、生物学分野にて飛躍的に普及した。欠点は価格が高いことである。

光学系としては、主に生物用に使用される蛍光用共焦点顕微鏡と、主に工業用に使用される反射型の共焦点顕微鏡の2種類がある。生物用は、細胞や組織の研究に、工業用は材料の表面検査や半導体の検査などに用いられている。

走査方式は、試料を固定した状態でレーザーをミラーや回転ディスクにより走査するビーム走査型と、光ビームは固定して試料(スライドガラス)を縦横に走査する試料走査型がある。後者はDNAマイクロアレイの測定などに使用されている。

前項に記述のある、コンピューターを使った画像処理による画質・分解能の向上は、共焦点レーザー顕微鏡でも同様に有効であり、光学限界に迫る、あるいはそれを超える空間解像力を得ることも可能になってきている。

全反射照明蛍光顕微鏡[編集]


11990

[]


X

[]


調

使[]



  1. 顕微鏡を直射日光の当たらない、明るい場所に置く。
  2. 粗動ハンドルを回し、レボルバとステージとを遠ざける。
  3. レンズをケースから取り出す。対物レンズは取り付け部を上にして収納されているので、逆さに置いてからケース本体を外すようにし、取り付け部からの埃の侵入を防ぐ。
  4. 接眼レンズ、対物レンズを、鏡筒内への埃の侵入を防ぐためこの順で取り付ける。レボルバを回転させ、低倍率の対物レンズを選択する。
  5. 接眼レンズをのぞきながら反射鏡を動かし、明るさが均一になるようにする。危険なので決して直射日光を用いてはならない。
  6. プレパラートをステージの上に置き、観察対象物が対物レンズの真下になるように固定する。
  7. 顕微鏡を横から見ながら、粗動ハンドルを動かして対物レンズとプレパラートを近づける。
  8. 接眼レンズをのぞきながら、粗動ハンドルで対物レンズをステージから遠ざける方向に動かしてピントを合わせる。このとき、逆に回すとプレパラートと対物レンズが接触して両者を破損する危険がある。
  9. 概ねピントが合ったらプレパラートを動かして観察しやすい像を探す。像は上下左右が逆に映っているので動かす方向に注意する。
  10. 必要に応じレボルバを回転させ高倍率の対物レンズに変える。通常は同焦点設計になっており対物レンズを変えてもピントがずれないようになっているが、他社製など設計の異なるレンズが混ざっているとうまくいかないこともある。
  11. 絞りで照明を、微動ハンドルでピントを調節しつつ観察する。
  12. 使用後は埃・汚れを拭き取って収納する。ごく頻繁に使用するのであれば必ずしもレンズを外す必要はないが、通常は取り付け時と逆の順序で取り外し、収納する。万一レンズが汚れていたら説明書に従って清掃する。一般的にはカメラのレンズと同様に埃を払ってからレンズクリーニングペーパーで拭く。皮脂などの汚れには微量のエタノールなどで湿らせて用いる。
  • 絞りの使い方:教育用顕微鏡では円板絞りを備えることが多く、ステージの裏側に大小の穴が開いた円板が取り付けてある。これを回転させて使用する穴を選び、照明される範囲と入射光線の角度の範囲を調節する。明るくしようと必要以上に大きな穴を用いて観察領域外を照らしても迷光が増えるなど有害無益である。絞りは像のコントラストや焦点深度(ピントが合う奥行き)にも関係し、小さく絞った方がいずれも大きくなる。ただし小さく絞りすぎると解像度が落ち暗くなってかえって見にくくなる。
  • ピント調節:手作業で薄く切った試料や微生物を水で封じたようなプレパラートには厚みがあり、特に高倍率では全体に一時にピントを合わせることはできない。そのため常にピントを調節しながら観察する必要があるが、このようなときは大きく動かすことはないので微動ハンドルを用いる。
  • 外部光源の利用:照明装置として反射鏡のみを備える場合、自然光を利用すると室内では特定の方向からしか取り入れられないので、多人数でいる場合など全員が利用できるとは限らない。天候にも左右される。そのため、机上に直管蛍光灯を平らに置く光源装置があり、その前に顕微鏡を並べて利用する。また、鏡の代わりにその固定部に取り付けることのできる簡易な光源もある。

注釈[編集]

  1. ^ 接眼側に凹レンズを用いて正立像を得る光学系
  2. ^ ApoTome

関連項目[編集]

外部リンク[編集]