十一音節詩
十一音節詩・詩句・詩行︵じゅういちおんせつ-し・しく・しぎょう︶は詩形だが、異なる2つのものがある。
(一)Endecasillabo︵イタリア語︶/Hendecasyllable︵英語︶ - ダンテ﹃神曲﹄などイタリア詩に多く使われる詩形。
(二)Hendecasyllabi︵ラテン語︶/Hendecasyllabic︵英語︶ - カトゥルスの使った韻律。
Endecasillabo[編集]
Endecasillabo は、10番目の音節に最後の強勢︵アクセント︶を持つことによって定義される。よく起こることだが、この強勢で音節がこぼれて、詩行は文字通り﹁11の音節﹂を持つことになる。 最もよく使われるのは次の2つである。- 6番目と10番目の音節に強勢を置く構成(6a-10a)
- Nel mezzo del cammin di nostra vita
- (ダンテ『神曲』地獄篇1.1)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
Nel | mez | zo | del | cam | min | di | nos | tra | vi | ta |
- 4番目、7番目、10番目の音節に強勢を置く構成(4a-7a-10a)
- ch’io mi sia tardi al soccorso levata
- (ダンテ『神曲』地獄篇II.65)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
ch’io | mi | sia | ta | rdi | socc | o | rso | lev | a | ta |
イタリアの古典詩の多くはEndecasillaboで作られている。たとえば、ダンテ、ペトラルカ、ルドヴィーコ・アリオスト、トルクァート・タッソの主要作品がそうである。しかし、押韻構成は様々である、テルツァ・リーマからオッターヴァ・リーマに、ソネットからカンツォーネに、1800年以降の詩では、Endecasillaboは厳格な体系を持たず、押韻もあるかないかだった。ジャコモ・レオパルディの﹃カンティ﹄がその好例で、この﹁Endecasillabi sciolti︵自由十一音節詩︶﹂は英語詩のブランクヴァースに似たものである。
イタリア語詩におけるEndecasillaboに相当するものは、英語詩では弱強五歩格、フランス語詩ではアレクサンドランである。
英語詩でのEndecasillaboには、ジョン・キーツの﹃エンディミオン︵Endymion︶﹄がある。冒頭の﹁A thing of beauty is a joy for ever﹂でいえば、﹁ever﹂が11番目の音節になる。
Hendecasyllabi[編集]
カトゥルスの使ったHendecasyllabiは、強勢ではなく、韻脚の音量、つまり母音の長短によるもので、毎行11の音節を繰り返すリズム・パターンを持っている。︵﹁-﹂は長音節、﹁u﹂は短音節︶ - - / - u u / - u / - u / - u︵スポンデイオス/ダクテュロス/トロカイオス/トロカイオス/トロカイオス︶ 最初の音節はスポンデイオス︵- -︶が常だが、時にはイアンボス︵u -︶になることもある。最後の音節がスポンデイオスになることもある。 サッポー詩体では、次のパターンになる。 - u / - u / - u u / - u / - - 2番目の音節はスポンデイオスになることもある。 英語詩では音節の長短はなく、アクセントの強弱になるが、アルフレッド・テニスンやアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンがこの詩形で詩を書いた。次のテニスンの詩は、さらに音節の長短も維持している。- O you chorus of indolent reviewers,
- Irresponsible, indolent reviewers,
- Look, I come to the test, a tiny poem
- All composed in a metre of Catullus...
- (テニスン『Hendecasyllabics』)
参考文献[編集]
Endecasillabo[編集]
- Raffaele Spongano, Nozioni ed esempi di metrica italiana, Bologna, R. Pàtron, 1966
- Angelo Marchese, Dizionario di retorica e di stilistica, Milano, Mondadori, 1978
- Mario Pazzaglia, Manuale di metrica italiana, Firenze, Sansoni, 1990