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﹃書史会要﹄︵しょしかいよう︶は、明初に陶宗儀により記された書家の伝記。全9巻からなり、上古から元末に至る書家について記す。
﹃書史会要﹄は洪武9年︵1376年︶に出版された。
のちに、明の書家について記した﹃書史会要続編﹄1巻が朱謀垔︵しゅ ぼういん︶によって書かれた。朱謀垔はまた﹃書史会要﹄にならって画家の伝記である﹃画史会要﹄という書物を著した[1]。
構成・内容[編集]
原刻本には宋濂序・曹睿序および自序、孫作による陶宗儀の伝記、鄭真による跋が附属している。
9巻のうち最終巻以外の8巻は三皇五帝から元代までの書家400人以上についておおむね時代順に記している。正史に載らないような無名の人物が多く、この書によらねば伝記を得ることのできない人物も多い。
巻7のパスパ文字に関する記述は重要な資料である[2]。また、巻8の﹁外域﹂では天竺︵ランツァ文字︶・畏吾児︵ウイグル文字︶・回回︵アラビア文字︶・日本などの漢字以外の文字について記している。日本の仮名を漢字でつけた音とともに記しているが、これは外国人が日本語を記した資料としては﹃鶴林玉露﹄とならんで時代の早いもののひとつで、日本語学上重視される[3][4]。
巻9ではさまざまな書法について記す。
●巻1三皇五帝から秦まで
●巻2漢・三国
●巻3晋
●巻4南北朝・隋
●巻5唐・五代
●巻6宋
●巻7元
●巻8遼・金・外域
●巻9書法
●補遺
1376年の原刻本が少数現存する︵中国国家図書館、台北の国家図書館、南京図書館など︶。
1929年に原刻本を影印した武進陶氏逸園本が出版された。1984年の上海書店本は武進陶氏逸園本の再刊である。
﹃四庫全書﹄に収められた版は漢字以外の文字が省略されている。