森川久美
森川 久美︵もりかわ くみ、8月5日 - [1]︶は、石川県金沢市在住の少女漫画家。同人誌時代は山田茉莉の名前で東京女子大学漫画研究会の同人誌﹃やっはるーっ﹄にて活動していた。元宝塚歌劇団星組トップスターの紫苑ゆうのファンである[2]。
経歴[編集]
1976年、白泉社﹁花とゆめ﹂にて﹃特別休暇﹄でデビュー[1]。作品には歴史を題材にしたものが多い。当初はシェークスピアを題材にした作品﹃十二夜﹄、復讐劇をテーマとした﹃シメール﹄などがあり、ルネサンス期のヴェネツィアを舞台に女性ながら元首︵ドージェ︶となった男装の麗人ヴァレンチーノ︵ヴァレンチーナ︶を主人公とする歴史コメディ﹁ヴァレンチーノ・シリーズ﹂で人気を博す。 その後、中編﹃蘇州夜曲﹄の続編として﹃南京路に花吹雪﹄を1981年~1983年にかけて﹁LaLa﹂に連載した。昭和初期の中国を舞台に、日中戦争を回避するために闘う人々を描く。当時としては極めてシリアスな作品であったが、番外編として、主人公である本郷義明の実母が訪れるエピソードを描いた﹃南京路でつまずいて﹄、黄子満が主人公の﹃花は辺りに雨と降り﹄などがある。 その後、返還前の香港を舞台とした﹃セルロイドドリーミング﹄、世紀末のフランスを舞台に東南アジア出身の青年アルベール・ロマンと邪恋ゆえに父親を殺されて母親を奪った銀行家ランベール家先代当主との息子である異父弟アリスティドの確執を描いた﹃アルカディアの道﹄、イスタンブールを舞台とした﹃イスタンブル物語﹄などと洋の東西を問わず様々な作品を執筆している。 白泉社﹁LaLa﹂から角川書店﹁月刊Asuka﹂に移籍、﹃イスタンブル物語﹄を再開させた。この作品は﹁LaLa﹂で連載終了後、コミックス発売の告知が出たにも拘らず、の移籍だった。 移籍を受けて、刊行途中だった﹃アルカディアの道﹄は1巻のみで絶版となり、未完となっている。 移籍後の活動は順調で、角川書店からは全集を刊行、他にも様々な作品を描き、再び﹃南京路に花吹雪﹄の続編﹃Shanghai 1945﹄を小学館﹁プチフラワー﹂で連載、1988年には秋田書店﹁Candle﹂で19世紀のイタリア併合をめぐる争いを描いた短編﹃法王庁の陰謀﹄を発表している。 その後、藤本ひとみ原作﹃ブルボンの封印﹄、五木寛之原作﹃ソフィアの歌﹄を漫画化している。 2001年に潮出版社﹁コミックトムプラス﹂にて宋家三姉妹(宋靄齢 宋慶齢 宋美齢)を主人公にした作品﹃月光の帝国﹄を連載するが、同誌の休刊︵廃刊︶により、未完に終わっている。 2006年現在は、朝日ソノラマのネムキ増刊﹁夢幻館﹂にて読み切り﹃危険な席﹄﹃幻燈港町﹄を掲載、﹃ざくろの木の下で﹄の連載を行っている。作品[編集]
- 電脳旅行記
- 夢の揺籃
- 月光の帝国
著書[編集]
- 『青色廃園 森川久美傑作集』 (花とゆめcomics) 白泉社, 1977
- 『チェリッシュ・ギャラリー 森川久美自選複製原画集』白泉社, 1979.5
- 『シメール』全2巻 (花とゆめcomics) 白泉社, 1979 のち講談社漫画文庫
- 『南京路 (ロード) に花吹雪』全4巻 (花とゆめcomics) 白泉社, 1982-83 のち文庫、1996
- 『南京路に花吹雪 自選複製原画集』 (チェリッシュ・ギャラリー) 白泉社, 1983.1
- 『アルカディアの道』第1巻 (花とゆめcomics) 白泉社, 1985.10
- 『Shang-hai1945』全2巻 (PFビッグコミックス) 小学館, 1987 のち講談社漫画文庫
- 『法王庁の陰謀』秋田書店, 1988.9
- 『森川久美全集』あすかコミックス・角川書店
- 1、蘇州夜曲、1989
- 2-4 南京路に花吹雪、1989
- 5-6、Shang-hai 1945 1990
- 7、レヴァンテの黒太子 : ヴァレンチーノ・シリーズ1 、1990
- 8、月空遥かに ヴァレンチーノ・シリーズ2、1990
- 9、セルロイド・ドリーミング、1990
- 10 シメール 1990.11
- 11、春宵曲 1991.1
- 12、ヴェネチア風琴 1991.3
- 『King of Zipangu信長』 (あすかコミックスDX 角川書店, 1992.9 のち朝日ソノラマ・コミック文庫
- 『ブルボンの封印』 (Asuka comics DX) 全3巻、藤本ひとみ 原作, 角川書店, 1994-95 のち講談社漫画文庫
- 『ソフィアの歌』(Asuka comics deluxe 五木寛之 原作. 角川書店, 1994.7
- 『エリザベート』 (Asuka comics deluxe) ミヒャエル・クンツェ原作脚本, 小池修一郎翻案. 角川書店, 1996.3 のち講談社漫画文庫
- 『ジークフリート 勝利の楯』 (Asuka comics deluxe) 角川書店, 1997.6
- 『スキャンダルムーンは夜の夢 (ヴァレンチーノ・シリーズ ; 1)竹書房文庫. 2001.1
- 『嘆きのトリスタン (ヴァレンチーノ・シリーズ 2)竹書房文庫 2001.1
- 『森川久美短編集 十二夜』 (講談社漫画文庫) 2003.3
- 『危険な席 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) 朝日ソノラマ, 2005.2
- 『ざくろの木の下で 1』 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) 朝日新聞社, 2007.12
アシスタント[編集]
脚注[編集]
- ^ a b 森川久美『法王庁の陰謀』、秋田書店、1988年9月。巻頭プロフィール頁より。
- ^ http://www1.linkclub.or.jp/~mya/jewelrybox/sion.htm