標題紙
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b9/Kant-KdrV-1781.png/150px-Kant-KdrV-1781.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6e/Bookinfo.svg/220px-Bookinfo.svg.png)
図の8が標題紙を示す
標題紙︵ひょうだいし、英語: title page︶は、本や論文の冒頭にある、標題︵タイトル︶などを記したページのことである。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e6/Samuel_Gotthold_Lange%2C_Horaz_%281752%29%2C_ii-iii.jpg/220px-Samuel_Gotthold_Lange%2C_Horaz_%281752%29%2C_ii-iii.jpg)
ホラティウスの﹃頌歌﹄と﹃詩論﹄の、S・G・ランゲによるドイツ語 訳の標題紙。同じ内容がラテン語とドイツ語で書かれている
標題紙は1ページ︵1枚︶とは限らない。見開きの2ページを使って標題・出版事項︵標題紙1ページ分の内容︶を印刷しているものもある。複数の言語で書かれた本では、それぞれの言語で標題紙を用意しているものもあり、叢書などでは﹁叢書の標題紙﹂と﹁その巻の標題紙﹂をもつものがある。それらや、略標題紙のことを副標題紙ともいう。復刻版では、原書と復刻版それぞれの標題紙がある。
標題紙は、しばしば木版画・銅版画などの装飾が施される。16世紀後半からは標題部分を赤字で印刷することが流行し、17世紀に入ると建築様式をまねた装飾が盛んになったが、これは1630-1640年頃には落ち着いた[3]。標題紙には本文と同じ紙︵共紙︶を使用するのが普通だが、日本では厚手の上質紙が使用される。これを、本文と標題紙との物理的な結びつきも弱くなる、中身の質をごまかす﹁こけおどし﹂﹁悪習慣﹂として批判する意見もある[4]。
本の標題紙[編集]
標題紙という語は英語の “title page” の訳語であり、あるいはそのままタイトルページともいう。“title page” も﹁標題紙﹂も、標題の記された﹁ページ﹂のみを指す場合と、その裏のページ (verso of title page) を含む﹁紙葉﹂を指す場合とがある。明示的に後者を表す英語として “title leaf” がある。 標題紙は洋書を構成する要素のひとつである。本節では、特に断らない限り洋書の標題紙について述べる。現代では扉︵とびら︶と同一視されるが、本来は別のものである。扉は和装本において見返しの次にあるページで、標題が書かれる点では標題紙と同じだが、古書では扉がないのが普通であった。 写本やインキュナブラ︵初期の活字本︶では、内容的にも物理的にも標題紙に相当するものがなかった。15世紀に、本文を保護するための白紙が先頭に置かれるようになり、それが次第に標題紙へと変化した。それが1475年から1480年ごろのことで、15世紀末には︵現在とは少し異なるものの︶一般的なものになった[1]。本編を保護する目的で標題紙が生まれたように、16世紀後半以降、標題紙の前にさらに折記号のみの白紙が追加されるようになり、それが17世紀後半に簡潔な略標題 (half title) を記した略標題紙 (half title page) となった[2]。 標題紙︵の表面︶の内容 ●標題︵タイトル︶ - 標題紙に記される標題︵タイトル︶は、標題紙標題︵標題紙タイトル︶といい、正式で、完全な形の︵長い︶タイトルである。サブタイトル、別言語のタイトルなどもあれば併記される。 ●責任表示 - 著者、編者、改訂者、翻訳者、監修者、挿図画家、序文の著者などが記される。 ●版表示 - 初版では省略される場合が多いが、改訂版などでは版が記される。︵刷は裏面︶ ●出版事項 - 出版地、出版者、︵その版の︶出版年が記される。 出版地、出版年以外は、現代の︵洋装本の︶和書でも記されていることが多い。 標題紙の裏面の内容 ●出版者の所在地、国名 ●印刷者 ●原書の書誌情報 ●著作権表示︵著作権者、登録年︶ ●過去の版、重刷の記録 ●プリンターズ・キー - 刷次と印刷年を表す数列のこと。 ●ISBN ●CIP (Cataloging in Publication) - 発行前に全国書誌作成機関へ情報を提供し、返された基本的な書誌情報を記載する。 プリンターズ・キーとCIP以外は、和書でも奥付に記される。ただし翻訳書では、原書の書誌情報・著作権情報を標題紙の裏に記載することが多い。![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e6/Samuel_Gotthold_Lange%2C_Horaz_%281752%29%2C_ii-iii.jpg/220px-Samuel_Gotthold_Lange%2C_Horaz_%281752%29%2C_ii-iii.jpg)
論文の標題紙[編集]
論文や随筆の標題紙とは、作品の最初のページを指す。作品の題名や著者名を列挙するページである。 学生の論文やレポートの場合、 所属に関する情報︵学級等︶、個人を特定する情報︵学籍番号など︶、日付、指導教官の名前、所属機関︵学部・研究科など︶ を標題紙に記載することが多い。また、扉はページ数に含まれない。 論文の場合、必ずしもすべてのものに標題紙を付ける必要はない。標題紙を省略する場合は、上記同様の情報を論文の最初のページの一番上に記載することが求められる。 学術論文の場合、標題紙には、省略されていない正式の題名、著者名、著者の学歴、学位を授与された大学名および学部名、卒業年、国際的なコピーライトマーク︵©、cを○で囲んだもの︶を入れる。 論文の標題紙は通常1ページ目であるが、ページ数にはカウントされず、2ページ目にある論文要旨︵アブストラクト︶が第1ページとして数えられる。関連項目[編集]
脚注[編集]
参考文献[編集]
●木寺清一﹃洋書事典﹄、明治書院、1975年。 ●柴田正美﹃資料組織概説﹄、日本図書館協会、2008年1月、ISBN 9784820407201 ●図書館用語辞典編集委員会編﹃最新図書館用語大辞典﹄、柏書房、2004年4月、ISBN 9784760124893 ●若松昭子﹁十五世紀ヨーロッパにおける標題紙の出現とその発展 : ニューベリー図書館所蔵インクナブラの調査を通して﹂、﹃聖学院大学論叢﹄第18巻第3号、聖学院大学、2006年、pp. 325-338。 ●A. エズデイル著、R. ストークス改訂 ﹃西洋の書物 エズデイルの書誌学概説﹄訂正版 高野彰訳、雄松堂書店、1977年。 ●ブリュノ・ブラセル ﹃本の歴史﹄ 木村恵一訳、創元社、1998年。 ●寿岳文章 ﹃書物の世界﹄ 出版ニュース社、1973年。外部リンク[編集]
- GLASGOW UNIVERSITY LIBRARY, SPECIAL COLLECTIONS DEPARTMENT, Book of the Month(英語、グラスゴー大学の公式サイト内、聖書の扉を掲載)
- High resolution scans of title pages(英語、古書の扉が多く掲載されている。)