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猪野長官︵いのうちょうかん︶は、古墳 - 飛鳥時代の豪族。矢那郷︵現在の木更津市矢那︶の有力者で、藤原鎌足の祖父とされる人物である。
矢那郷の有力者で、猪台に住んでいたと言われる[1]。長官は40歳になっても子宝に恵まれず、地元の高倉観音に願をかけ祈ったところ一女を授けられた。
この娘は予与観と名付けられ、心清く人に親切な娘に成長したが、器量が悪かったため良縁がなく嘆いていた。彼女は自分が生まれた経緯を長官から聞かされ、同じようにここの観音にすがったところ﹁鹿嶋に行って日天を拝みなさい﹂との夢告があり、男子を授かった。この男子が藤原鎌足であると言われている。
このように、木更津における鎌足伝承は、﹁大鏡﹂の鎌足鹿嶋出身説に対応する母方︵大伴夫人︶の物語となっているが、大伴氏には、大伴馬来田という人物がおり、木更津周辺の旧地名である馬来田︵望陀︶と同じであることから、飛鳥とのつながりを指摘する向きもある[2]。
旧矢那郷付近は、村名を鎌足村としていた時期があり、現在も鎌足小学校、鎌足中学校など、鎌足ゆかりのスポットが点在している。