笑話集
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笑話集︵わらいばなししゅう︶は、笑い話や冗談の類でまとめた書籍の事である。
権力者を風刺した話からいわゆる﹁下ネタ﹂、無学者を笑う話から逆に彼らを嘲笑っている学者や知識人達が失敗する話などその種類は多彩である︵ただし、﹁古典文学﹂に属する作品には障害者などの社会的弱者を笑う話など当時は許容されていても今日の社会感情には反したものも少なからず存在することに留意する必要がある︶。
風来山人(平賀源内)による抄訳本﹃刪笑府﹄。安永五年=1776年 刊。﹁まんじゅうこわい﹂の原話の部分。
日本でもこうした明の笑話集の影響を受けて、江戸時代初頭に安楽庵策伝によって﹃醒睡笑︵せいすいしょう︶﹄を著している。続いて﹃昨日は今日の物語︵きのふはけふの物語︶﹄などが出されて以後日本でもこうした笑話本が書かれるようになった。
江戸時代中期から明治にかけては、漢文の笑話集の和刻本がいろいろと刊行され、広く読まれた。最初に出たのは、寛延四年(1751)に刊行された岡白駒(おかはっく)編﹃開口新語﹄である。漢文笑話の原文に訓点を施し、ところどころ漢文の左側に江戸時代の口語で短い訳語を付す、という体裁であった。﹃開口新語﹄の成功をうけて、以後、この体裁にならった漢文笑話集が、続々と刊行された。例えば平賀源内︵風来山人︶も、﹃笑府﹄の抄訳﹃刪笑府﹄を出版している(右の画像)。﹁江戸小咄﹂の原案も、元はこうした和漢の笑話本の翻案に由来しているものが多いとされる。