『糸女覚え書』(いとじょおぼえがき)は、芥川龍之介が1924年(大正13年)に『中央公論』誌上に発表した歴史小説。「霜女覚書」を粉本として細川ガラシャの死の間際の姿を芥川の視点から描いた作品である。芥川がライフワークとして取り組んだ「切支丹物」シリーズの最後の作品である[1]。
魚屋清左衛門の娘である糸は三年にわたり玉造の秀林院(ガラシャ)に侍女として仕えているが、秀林院は「少しもお優しきところ無之」く、「賢女ぶらるることを第一となさ」るので「兎角気のつまるばかり」であった。そこに父が嫁入りのためにそろそろ暇をもらいたいと挨拶に来たため、糸は「天へも昇る心地」となる。
主人公である糸の評の通り[2][注 1]、絶世の美女にして悲劇の殉教者とされるガラシャの偶像破壊を意図したという解釈が一般的であり、このため作品の評価としては総じて低いとされている[3]。
芥川龍之介の作品
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短編小説 |
老年 - 羅生門 - 鼻 - 芋粥 - 手巾 - 煙草と悪魔 - さまよえる猶太人 - 戯作三昧 - 運 - 道祖問答 - 偸盗 - 蜘蛛の糸 - 地獄変 - 奉教人の死 - 枯野抄 - るしへる - 犬と笛 - きりしとほろ上人伝 - 魔術 - 蜜柑 - 舞踏会 - 秋 - 南京の基督 - 杜子春 - アグニの神 - 藪の中 - 神神の微笑 - 将軍 - 報恩記 - トロツコ - 魚河岸 - おぎん - 仙人 - 六の宮の姫君 - 漱石山房の冬 - 猿蟹合戦 - 雛 - おしの - あばばばば - 糸女覚え書 - 保吉の手帳から - 一塊の土 - 大導寺信輔の半生 - 点鬼簿 - 玄鶴山房 - 蜃気楼 - 河童 - 誘惑 - 浅草公園 - 歯車 - 或阿呆の一生 | |
長編小説 |
邪宗門 - 路上 | |
その他 |
三つの宝(戯曲) - 侏儒の言葉(随筆) - 文芸的な、余りに文芸的な(評論) - 西方の人 - 続西方の人 - 八宝飯(随筆) | |
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