薄明
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薄明︵はくめい︶は、日の出のすぐ前、日の入りのすぐ後の、空が薄明るい︵薄暗い︶時のことである。大気中の塵による光の散乱により発生する。英語のトワイライト︵twilight︶も薄明のことである。
薄明の分類
太陽高度︵太陽の中心位置と地平線との角度︶により、以下の3つの薄明が定義されている。
市民薄明︵常用薄明、第三薄明︶ Civil twilight
太陽高度-50分~-6度。まだ十分に明るさが残っていて、人工照明がなくても屋外で活動ができる明るさ。﹁50分﹂は太陽の視半径﹁16分﹂に、地平線付近の大気差﹁34分﹂を加味した角度であり、これだけ地平線の下に入っている時が日の出・日の入り︵太陽の上端が地平線に接した時︶ということになる。
航海薄明︵第二薄明︶Naval twilight (Nautical twilight)
太陽高度-6度~-12度。海面と空との境が見分けられる程度の明るさ。
天文薄明︵第一薄明︶Astronomical twilight
太陽高度-12度~-18度。6等星までを肉眼で見分けられる暗さになる前の明るさ。
名称
日の出前においては﹁黎明︵れいめい︶﹂﹁払暁︵ふつぎょう︶﹂﹁彼者誰︵かわたれ)﹂﹁明け︵あけ︶﹂﹁夜明け︵よあけ︶﹂﹁暁︵あかつき︶﹂﹁東雲︵しののめ︶﹂﹁曙︵あけぼの︶﹂などの名がある。一方、日の入り後については﹁黄昏︵たそがれ︶﹂﹁夕暮れ︵ゆうぐれ︶﹂﹁日暮れ︵ひぐれ︶﹂﹁薄暮︵はくぼ︶﹂といった語がある[注釈 1]。 日の出前の﹁彼者誰︵かわたれ︶﹂は﹁彼は誰﹂、日没後の﹁黄昏︵たそがれ︶﹂は﹁誰そ彼﹂が元々の意味であり、いずれも薄暗くて人の見分けがつきにくいことから、このように呼ばれる。 また、日の入り後については﹁宵[注釈 2]﹂あるいは﹁宵のうち﹂とも言い、日没直後︵下記の﹁市民薄明﹂に相当する︶は﹁宵の口﹂とも言う。さらに、この時間帯は﹁逢魔時︵おうまがとき︶﹂あるいは﹁大禍時︵おおまがとき︶﹂とも呼ばれており、化け物や妖怪などの魔物に出会いやすい時間だと考えられてきた。分類
その他
理科年表では、江戸時代の明六つ、暮六つに相当する時間として、太陽高度が-7度21分40秒になる時刻を夜明け・日暮れとしている。 高緯度地方では、日が沈まずに薄明にならない場合や、沈んでも天文薄明や航海薄明にならない場合︵白夜︶もある。また、近年の都市部では、人工照明によって空が明るく照らしだされ、深夜になっても完全に暗い空にならない地域も多くなっている。脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
- 薄明(はくめい) 国立天文台天文情報センター暦計算室(2013年2月15日閲覧)
- ウィキメディア・コモンズには、薄明に関するカテゴリがあります。