鏡明
鏡 明︵かがみ あきら、1948年1月2日 -︶は、日本の小説家、SF作家、翻訳家、音楽・SF作品・漫画等文芸方面の評論家、広告ディレクター。電通顧問︵元・執行役員︶。
初期は岡田英明名義を使用した。
経歴[編集]
山形県生まれ。東京都立新宿高等学校を経て早稲田大学第一文学部に進む。大学時代はワセダミステリクラブや、伝説的なSFファンの集まり﹁一の日会﹂に参加。またSF同人誌﹁宇宙気流﹂﹁SF倶楽部﹂などに関わる。 早稲田大学英文科を全優で卒業︵指導教授には修士課程に進むことを切望される︶後、電通に勤務。上司に小田桐昭、同僚に関三喜夫がいた。ジョージ・ルーカスを起用したパナソニックのCMなどで知られ、ACC賞、カンヌ国際広告賞、アジア太平洋広告祭をはじめとする国内外の広告賞を多数受賞。2002年、アジア太平洋広告祭︵アドフェスト︶でアジア人初の審査委員長、2009年のカンヌ国際広告祭では東アジア初の審査委員長を務め、2012年のアドフェストでは﹁ロータス・レジェンド﹂として表彰される[1]。2013年、第33回東京広告協会 白川忍賞を受賞[1]。株式会社﹁ドリル﹂エグゼクティブ・アドバイザー、全日本シーエム放送連盟国際委員会委員長などをつとめた。 1970年、﹃蜃気楼の戦士﹄︵A・メリット︶で翻訳家としてデビュー。また同年、短編﹁オム﹂を﹃季刊NW-SF﹄1号に発表し、作家としてもデビュー。﹃英雄コナン﹄シリーズ︵ロバート・E・ハワード︶などのヒロイック・ファンタジー作品の翻訳を、荒俣宏と共に行う。他に、1973年に紀田順一郎、荒俣が創刊した雑誌﹃幻想と怪奇﹄に、瀬戸川猛資とともに編集同人として参加した。 また、岡田英明名義でロック評論、レコードの対訳及び解説︵ザ・クラッシュ等︶も行う。 ﹃本の雑誌﹄1997年3月号において、日本のSFが商業的に成功していない当時の状況へのいらだちから、﹁ここ十年のSFはみんなクズだ!﹂と題して高橋良平と対談し、いわゆる﹁SFクズ論争﹂の口火を切った。 2013年に開始した星新一賞の創設にもかかわった。人物[編集]
﹁一の日会﹂﹁宇宙気流﹂﹁SF倶楽部﹂での仲間である、SF作家の横田順彌と仲よし。鏡が190cmあるのに対して、横田が150cm程度と小柄なので、身長のことでよく2人は比較された。また、鏡の妻も﹁一の日会﹂でのSF仲間であり、横田・鏡とともに、平井和正の﹁一の日会﹂関係者を登場人物のモデルとした小説﹃超革命的中学生集団﹄に登場している[2]。平井は他の小説や原作を手がけた漫画にも、﹁鏡明﹂あるいは表記を変えた﹁加賀美明﹂の名前をたびたび用いている。 寡作で知られ、非常に長期にわたってコラムを連載している﹃本の雑誌﹄誌上では、1987年からずっと、評論﹃アメリカの夢の機械﹄の刊行が予告されているが、いまだに発行されていない。 また、毎年﹃本の雑誌﹄誌上で、自身の前年のSFベスト10を発表しているが、ファンタジー系のレーベルや、ライトノベル系の作品などにも目配りしており、その守備範囲は非常に広い。少女雑誌﹃りぼん﹄昭和61年︵1986年︶8月号から掲載が始まった﹃ちびまる子ちゃん﹄(アニメ化は1990年)にもメジャー系の評論家としては早い時期に評価をしていた。多忙な本業の中、洋書を含めてそれだけ多くの本を読めるのは、本を読むスピードが非常に速いせいらしい。連載[編集]
●連続的SF話(本の雑誌) ●45RPMから始まる(フリースタイル)著書[編集]
●﹃太陽が消えちゃう : 気絶悶絶三つ巴リレーSF﹄︵岡田英明名義、いんなあとりっぷ社︶ 1977 - 川又千秋, 横田順彌とのリレー小説 ●﹃不死を狩る者﹄︵徳間書店︶ 1981 ●﹃不確定世界の探偵物語﹄︵徳間書店︶ 1984、のち復刊︵創元SF文庫︶ 2007 ●﹃シンボーズ・オフィスへようこそ! Part1﹄︵南伸坊, 関三喜夫共著、角川文庫︶ 1985 ●﹃シンボーズ・オフィスへようこそ! Part2﹄︵南伸坊, 関三喜夫共著、角川文庫︶ 1986 ●﹃シンボーズ・オフィスへようこそ!︻完全版︼﹄︵フリースタイル︶ 2003 - 80年代の伝説的雑誌﹃バラエティ﹄誌に連載された対談集。南伸坊、鏡、関三喜夫の3人がホストで、毎回ゲストを呼んでバカ話をした。 ●﹃日本SFの大逆襲﹄︵編、徳間書店︶ 1994 ●﹃二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分﹄︵本の雑誌社︶ 2010 - ﹁本の雑誌﹂連載の﹁連続的SF話﹂の単行本化 ●﹃ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた﹄︵フリースタイル︶ 2019 - ﹃フリースタイル﹄連載の﹁マンハントとその時代﹂の単行本化翻訳[編集]
●﹃蜃気楼の戦士﹄︵エイブラハム・メリット、早川書房︶ 1970 ●﹃風雲児コナン﹄︵ロバート・E・ハワード、早川書房︶ 1970 ●﹃狂戦士コナン﹄︵ロバート・E・ハワード、早川書房︶ 1971 ●﹃大帝王コナン﹄︵ロバート・E・ハワード、団精二共訳、早川書房︶ 1972 ●﹃ジミ・ヘンドリックス ロック・ギターの革命児﹄︵カーティス・ナイト、岡田英明名義訳、スイング・ジャーナル社︶ 1975 ●﹃スカル・フェイス﹄︵ロバート・E・ハワード、国書刊行会、ドラキュラ叢書6︶ 1977.5 ●﹃最後のユニコーン﹄︵ピーター・S・ビーグル、早川書房︶ 1979.10 ●﹃スター・ウォーズ 帝国の逆襲 - グラフィック・ファンタジー﹄︵東宝出版事業室︶ 1980.7 ●﹃ウィルダネス - ジム・モリスン詩集﹄︵ジム・モリスン、ソニー・マガジンズ︶ 1991 ●﹃ドアーズ詩集﹄︵ドアーズ、シンコー・ミュージック︶ 1991その他[編集]
●藤子・F・不二雄大全集﹃SF・異色短編﹄1巻︵2011年、小学館︶ - 解説を執筆。脚注[編集]
- ^ a b “第33回「東京広告協会 白川 忍賞」は鏡 明氏(ドリル)に決定”. PR TIMES (2013年12月19日). 2022年11月30日閲覧。
- ^ 横田順彌『ヨコジュンのびっくりハウス』(角川文庫)P.289