デジタル大辞泉 「やおら」の意味・読み・例文・類語 やおら〔やをら〕 ﹇副﹈ 1 ゆっくりと動作を起こすさま。おもむろに。﹁やおら立ち上がる﹂ 2 静かに。そっと。 ﹁姫君、御硯(すずり)を―引き寄せて﹂︿源・橋姫﹀ [補説]1について、文化庁が発表した﹁国語に関する世論調査﹂で、﹁彼はやおら立ち上がった﹂を、﹁ゆっくりと﹂と﹁急に、いきなり﹂のどちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。 平成18年度調査平成29年度調査ゆっくりと(本来の意味とされる)40.5パーセント39.8パーセント急に、いきなり(本来の意味ではない)43.7パーセント30.9パーセント[類語]おもむろに・そっと・そろり・そろそろ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「やおら」の意味・読み・例文・類語 やおらやをら (一)〘 副詞 〙 (二)① 静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行なうさまを表わす語。そろそろと。おもむろに。やわら。現代では悠然としたさまをいうことが多い。 (一)[初出の実例]﹁御後の方よりやをらすべり入るを﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶蔵開下) (三)② 時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表わす語。 (一)[初出の実例]﹁上人の御ふねやをら岸遠くはなるるに立ちむかひて﹂(出典‥読本・春雨物語︵1808︶宮木が塚) やおらの補助注記 歴史的かなづかいは、従来﹁やをら﹂とされており、それに従ったが、﹁疑問仮名遣﹂のいうように﹁やはら︵柔︶﹂と同源であったとすれば、﹁やほら﹂の可能性もある。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
とっさの日本語便利帳 「やおら」の解説 やおら 「やおら」は副詞で、下の動詞に係り、「おもむろに」「悠然と」など、その動作がゆったりとしている様を表す。「やおら歩き始めた」など。ところが、近頃は逆に「急に」の意味で、「やおら走りはじめた」などと使われるが誤用である。 出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報