デジタル大辞泉 「マーストリヒト」の意味・読み・例文・類語 マーストリヒト(Maastricht) オランダ南部、リンブルフ州の都市。同州の州都。マース川に沿い、古くから水陸交通の要衝として発展。聖セルファース教会、聖ヤンス教会、聖母教会をはじめ、中世に築かれた建造物が数多く残る。1991年、EU︵欧州連合︶の創設を定めたマーストリヒト条約が採択されたことで知られる。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説 マーストリヒトMaastricht オランダ東南端の都市でリンブルフ州の州都。人口12万1456︵2005︶。ムーズ川に沿う。州庁や地方裁判所のほか,国立リンブルフ大学︵医学部,総合科学部︶,建築学校,高等音楽院などが置かれている。ユリアナ運河︵ムーズ川︶やアルベール運河,鉄道や高速自動車道により同国の主要都市やベルギー,ドイツと結ばれ,19世紀初頭以来の陶磁器,セメント工業に加えて,電機,食品,製紙,化学などの工業も盛ん。ローマ時代から交通の要衝で,4~8世紀には司教座が設けられていた。オランダ独立戦争中︵1632︶にオランダに占領され,1795年までその飛地であった。1830年ベルギー独立革命が勃発すると,将軍ディベッツB.J.C.Dibbets︵1782-1839︶は,ここを守りぬき,同市を含むリンブルフ東部をオランダ側の手に残すのに成功した。中央広場にそびえるシント・セルファース教会︵10世紀︶と聖母教会︵11世紀初め︶は,いずれもオランダ最古のロマネスク建築である。 執筆者‥石坂 昭雄 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説 マーストリヒトまーすとりひとMaastricht オランダ南部、リンブルフ州の州都で、商工業都市。人口12万2163︵2001︶。ベルギー国境に接し、またマース川に沿うため、水陸交通の中心地であるとともに、付近の炭田を利用したセメント、ガラス、陶器、製紙などの工業が発達する。1世紀にローマ人が建設し、ローマ時代以後はフランク王国に属し、382~721年には司教座都市として発展したが、1284年からはブラバン公とリエージュ司教の二重支配を受けた。戦略上の要地であるため、たびたび攻防の舞台となり、1579年にはパルマ公指揮下のスペイン軍によって包囲、略奪された。市内に残る聖セルファース教会は、マーストリヒトの初代の司教聖セルファースの墓の上に建てられた、オランダでもっとも古い教会の一つである。1991年には、EC︵ヨーロッパ共同体︶の首脳会議が開催され、マーストリヒト条約︵ヨーロッパ連合条約︶が採択された。高級レストランの多い観光都市でもある。 ﹇長谷川孝治﹈ [参照項目] | マーストリヒト条約 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説 マーストリヒトMaastricht オランダ南部,リンブルフ州の州都。マース川の渡河地点に建設されたローマ起源の古い都市で,382年から 721年まで司教区がおかれ,その後フランク王国に属し,1204年からはブラバント公領,84年から 1632年まではブラバント公ならびにリエージュ大司教の共同所領。中世は交易の中心として布,皮革,金物,建築材料などを扱ったが,現在はユリアナ,リエージュ=マーストリヒト,ゾイトウィレムスなどの運河網や鉄道交通の要地を占め,陶器,ガラス,セメント,たばこ,製鋼,化学薬品などの工業が発達。観光と美術印刷も重要。マース川にかかる聖セルファース橋 (1280頃) ,宮廷 (1475頃) ,市庁舎 (1658~64) ,オランダ最古の聖セルファース大聖堂 (6世紀。11~15世紀に再建) などがある。市の南方にはローマ時代からの砂岩採石場があり,地下には 322kmに及ぶトンネルがある。 1991年欧州連合EUの出発を決定したマーストリヒト条約が結ばれた。人口11万 8152,大都市圏16万 3818 (1992推計) 。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
百科事典マイペディア 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説 マーストリヒト オランダ南東端,ベルギーとの国境近くの都市,リンブルフ州の州都。マース川左岸にある古都で,農畜産物の取引が行われ,陶磁器,製紙,化学工業などが盛ん。オランダ最古のロマネスク建築である聖セルファース教会︵10世紀︶がある。1991年EC首脳会議が開かれ,マーストリヒト条約の合意をみた。11万9664人︵2011︶。 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報