日本大百科全書(ニッポニカ) 「三輪素麺」の意味・わかりやすい解説
三輪素麺
みわそうめん
大和(やまと)国三輪︵奈良県桜井市︶特産のそうめん。そうめんは室町時代から南都諸寺院や貴紳の間で非時食として、また贈答品として珍重されたが、﹃大乗院寺社雑事記﹄﹃多聞院(たもんいん)日記﹄には素麺・索麺の文字が混用されている。しかし、三輪素麺が広く周知利用されたのは近世以降で、﹃毛吹草(けふきぐさ)﹄に﹁三輪索麺(そうめん)﹂とみえ、貝原益軒(えきけん)の﹃和州巡覧記﹄には﹁三輪の町に索麺を多くうる、名産なり﹂とあり、﹃大和志﹄にも﹁麺線(そうめん) 三輪・馬場(ばば)・金屋(かなや)三村出売四方、世称三輪索麺﹂とあるように広く販売されていた。そうめんの原料の麦粉は地元の産で、三輪山北側の車谷で製粉し、1763年︵宝暦13︶の﹁三輪村差出明細帳(さしだしめいさいちょう)﹂に示すように農村の冬季の副業で、こねた麦粉に実綿(みわた)油またはごま油を塗り、手で引き伸ばすのが特徴で、風味を出すため梅雨期を過ぎて出荷された。﹃日本山海名物図会﹄︵1754︶には作業の挿絵を多く載せる。
﹇平井良朋﹈
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