改訂新版 世界大百科事典 「京極家」の意味・わかりやすい解説
京極家 (きょうごくけ)
中世初期の歌道家。藤原氏御子左家︵みこひだりけ︶の一流。為家の子の為教︵ためのり︶が定家の一条京極亭を伝領し,京極を号したことによる。毘沙門堂家ともいう。為教とその子京極為兼︵ためかね︶は二条家に対抗して持明院統・西園寺家に親近して立場を確立し,伏見天皇の側近を中心に京極派を形成して歌道の覇権を握る。京極派は中世の勅撰和歌集のうち︽玉葉和歌集︾︵為兼撰︶,︽風雅和歌集︾︵花園院監︶を撰して,その存在を誇示するが,為兼に実子がなく,その没後まもなく断絶する。京極派は為兼の︽為兼卿和歌抄︾の新風を宗とし,詞にとらわれず,寛平︵889-898︶以後の歌,とくに万葉の歌を範とし,自由に感覚的に詠むことを主張し,二条派︵二条家︶の平明で温和な歌風を批判した。
執筆者‥新井 栄蔵
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