デジタル大辞泉
「仏性」の意味・読み・例文・類語
ぶっ‐しょう〔‐シヤウ〕【仏性】
1すべての生き物が生まれながらにもっている、仏となることのできる性質。仏心。覚(かく)性(しょう)。
2 仏の本当の姿や心。仏の本性。
ほとけ‐しょう〔‐シヤウ〕【仏性】
仏のように情け深い性質。慈悲深い生まれつき。「仏性の人」
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ぶっ‐しょう‥シャウ【仏性・仏生】
(一)〘 名詞 〙 仏語。仏の性質。仏としての本性。仏となる可能性としての因子。大乗ではすべてのものにそれがそなわっているとする。ただし、その理解の仕方は諸宗により異なる。仏心。
(一)[初出の実例]﹁智恵の炬を燭して、仏性の頂に登り﹂(出典‥日本霊異記︵810‐824︶中)
(二)﹁今人間にむまれぬ。内に、本有の仏しゃうあり﹂(出典‥曾我物語︵南北朝頃︶一二)
(三)[その他の文献]︹北本涅槃経‐二七︺
ほとけ‐しょう‥シャウ【仏性】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 仏のように慈悲深い性質。なさけ深い生まれつき。また、そのような人。
- [初出の実例]「仏性(ホトケシャウ)に生付たが彦介が病じゃは」(出典:浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)下)
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仏性
ぶっしょう
仏教用語。サンスクリット語のブッダダートゥbuddhadhātuの漢訳。﹁仏の本性﹂あるいは﹁仏となるべき因(いん)︵もと・要素︶﹂の意で、衆生(しゅじょう)の有している仏と同じ本性をさす。﹁如来蔵(にょらいぞう)﹂と同じ。ただ、如来蔵のように、煩悩(ぼんのう)にまつわれて隠れている、という意味は表さない。﹃涅槃経(ねはんぎょう)﹄が﹃如来蔵経﹄の主張を受けながら、新たに、﹁一切(いっさい)衆生、悉有(しつう)仏性﹂と表現したのに始まる。仏性はまた、仏となるべき能力を生まれつきのものとみる点で、﹁仏の種姓(しゅしょう)﹂︵サンスクリット語でブッダゴートラbuddhagotra︶を意味する。それがすべての衆生にあると主張するのが如来蔵思想で、その根拠に仏の一乗の教えをあげる。これに対し、種姓は三乗で異なるとし、菩薩(ぼさつ)と不定(ふじょう)種姓のものにだけ仏となる可能性を認める唯識(ゆいしき)説が対立した。﹃涅槃経﹄も﹁一闡提(いっせんだい)﹂︵謗法不信(ぼうほうふしん)の徒︶を無仏性のように扱う。中国・日本では仏性の有無をめぐり、天台・華厳(けごん)などの皆成(かいじょう)説と、法相(ほっそう)宗の一分不成(いちぶんふじょう)説の間で論争が展開し、後者は前者によって﹁権大乗(ごんだいじょう)﹂と貶称(へんしょう)された。
﹇高崎直道﹈
﹃常盤大定著﹃仏性の研究﹄再刊︵1973・国書刊行会︶﹄
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仏性
ぶっしょう
buddhatā
仏教用語。覚性とも訳され,如来蔵の異名ともされる。完全な人格者,仏陀となるべき可能性をいう。われわれが仏陀の教えを聞き,その教えに従って修養努力して行くことによって,ついには完全な人格者となることができるのは,われわれのうちに真理を理解し,それを体得実現しうる可能性があるからで,この能力が仏性である。﹁説一切有部﹂によれば,後天的に仏性のある者,ない者,不定のものの3種があるといい,﹃仏性論﹄では,凡夫に理としてあるもの,修行して現すもの,仏陀になって現すものの三位仏性説を述べ,天台宗では,すべてに先天的に本来そなえている正因,理を照らし現す智慧の了因,智慧を起す縁となるすべての善行である縁因の三因仏性説を説く。また浄土思想では,阿弥陀仏の本願による信心をいう。
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仏性(ぶっしょう)
buddha-dhātu
すべての人間が生まれながらにして持っているとされる,仏とまったく同一の本質,本性のこと。大乗仏教では﹁人々の心は本来清く正しい﹂とか﹁すべての人間は仏の子であり,将来に仏となる可能性を持つ﹂(=如来蔵(にょらいぞう))と説いた。同じ思想が﹃涅槃経﹄(ねはんぎょう)では﹁一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)﹂(すべての人が仏の性格を本来的に具えている)として表現される。この考え方は,中国,日本の仏教の展開に大きな影響を与えた。
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仏性【ぶっしょう】
仏教の根本的概念の一つ。覚性,如来蔵とも。仏陀の本性,悟りそのものの性質,また未完ながら衆生の仏となる可能性をいう。仏性については,大乗・小乗の差をはじめ,大乗の諸派でも種々に説かれる。衆生も仏も仏性に変りないとするのが理仏性。修行によって獲得すべしとするのが行仏性である。︽涅槃(ねはん)経︾は仏性はすべての衆生に内在すると説き,生得仏性という。天台では三因仏性,真言では悉有(しつう)仏性,浄土では信心仏性を説く。
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仏性 ぶっしょう
?-? 飛鳥(あすか)時代の僧。
文武(もんむ)天皇元年(697)越中(富山県)に真言宗各願寺(かくがんじ)をひらいたという。号は自信院。
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普及版 字通
「仏性」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の仏性の言及
【如来蔵説】より
…なお,この説はものの考え方において,ベーダーンタ学派に近いものがあるとみる学者もいる。 ︿如来蔵説﹀とは,すべての人々に,如来すなわち仏となりうる可能性があるという主張で,人々が本来もっている︿自性清浄心︵じしようしようじようしん︶﹀に悟りの可能性を見いだして,これを︿如来蔵﹀あるいは︿仏性︵ぶつしよう︶﹀と呼ぶ。︿如来蔵﹀の原語は,サンスクリットでタターガタ・ガルバtathāgata‐garbhaであり,︿如来の胎児﹀を原意とする。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」