南北戦争(読み)ナンボクセンソウ(英語表記)Civil War

デジタル大辞泉 「南北戦争」の意味・読み・例文・類語

なんぼく‐せんそう〔‐センサウ〕【南北戦争】

 
18611865使貿貿  

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精選版 日本国語大辞典 「南北戦争」の意味・読み・例文・類語

なんぼく‐せんそう‥センサウ【南北戦争】

  1. 一八六一年から六五年までアメリカ合衆国の南部と北部との間で行なわれた内戦。奴隷制・関税問題をめぐり北部商工業者と南部綿花栽培業者の対立が激化し、南部一一州がアメリカ南部連合を結成、リンカーン大統領がこれに抗し開戦。一八六三年のリンカーンの奴隷解放宣言ゲティスバーグの戦いを経て、六五年四月南軍の降伏で戦争は終結。この結果、奴隷解放が実現し、アメリカの統一は回復した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南北戦争」の意味・わかりやすい解説

南北戦争
なんぼくせんそう
Civil War

1861~65年のアメリカ合衆国の内戦。当時34州を数えた合衆国が「南部」11州と「北部」23州とに分かれて、文字どおり国を二分して同胞が相争った南北間の内戦であった。したがって、この戦争は「諸州間の戦争」War between the Statesとよばれることもある。

[本田創造]

歴史的意義

戦争による戦死者数は南北両軍あわせて61万余に及び(ちなみに第二次世界大戦でのアメリカ軍の戦死者数は40万余)、また機関銃が初めて実戦化されるなど、大規模な近代戦の様相を呈した。この戦争が合衆国に与えた衝撃と影響は深甚かつ広範であったが、とりわけ黒人奴隷制度が廃止され、400万の黒人奴隷が奴隷身分から解放されたことの歴史的意義は、きわめて大きい。

[本田創造]

背景


18綿綿綿綿()綿綿

 19綿西西西西

 1918202832454648505457()

 184850561貿5910


経過


186061216249Confederate States of America412()750004西1863.6

 18617507退沿西6299226311631119

 186316465421494

 18600013300033540


南北戦争の本質

南北戦争は南北両地域間の武力抗争として戦われたが、その本質は前近代的な南部の黒人奴隷制度と北部の産業資本との矛盾・対立の暴力的爆発であった。それはマルクスの表現によれば、「二つの社会制度の間の、奴隷制度と自由労働制度の間の闘争」であり、またビアードは、「階級構成、富の蓄積と分布、産業発展の過程、および建国の父祖から受け継いだ憲法上の広範な変革を巻き起こした社会戦争であり、北部と西部の資本家・労働者・農民が、南部のプランター貴族を国家権力の座から追放した社会的大変革であった」と述べている。結局この戦争は、植民地時代以降、2世紀半近くにわたって強固に存続していた黒人奴隷制度を廃止し、以後、アメリカ資本主義が新たに開放された南部を包摂しつつ単一の広大な国内市場を基盤にして、全国的規模でいっそう発展することを可能にした歴史的条件を用意したという点で、世界史的意味でのブルジョア民主主義革命であった。南北戦争が「第二次アメリカ革命」ともよばれるゆえんである。また黒人に関して、彼らはこの戦争によって奴隷制度のくびきから解放され、法のもとでの自由を確かに獲得したが、それがどこまで真の自由たりえたかは別個の問題である。

[本田創造]

『山本幹雄著『南北戦争――その史的条件』(1963・法律文化社)』『山岸義夫著『南北戦争研究序説』(1973・ミネルヴァ書房)』『本田創造著『南北戦争・再建の時代』(1974・創元社)』『菊池謙一著『アメリカの黒人奴隷制度と南北戦争』(1984・未来社)』『長田豊臣著『南北戦争と国家』(1992・東京大学出版会)』『エドマンド・ウィルソン著、中村紘一訳『愛国の血糊――南北戦争の記録とアメリカの精神』(1998・研究社出版)』『本間長世著『正義のリーダーシップ――リンカンと南北戦争の時代』(2004・NTT出版)』『クレイグ・L・シモンズ著、友清理士訳『南北戦争――49の作戦図で読む詳細戦記』(学習研究社・学研M文庫)』


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改訂新版 世界大百科事典 「南北戦争」の意味・わかりやすい解説

南北戦争 (なんぼくせんそう)


1861-6511退︿Civil War︿War of the Rebellion︿War of Independence︿︿︿︿︿︿2︿︿退︿︿︿︿War between the States

西18122綿西1830西西48西

 1850姿5254575960退61412


232100550350J.R.E.︿T.J.61721

 123西西5500km貿629西U.S.西6363713W.T.

 186299236311︿

 1865494144退11

5623000224150008000km使使18

 


︿2H.1861186218631869西

 使



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百科事典マイペディア 「南北戦争」の意味・わかりやすい解説

南北戦争【なんぼくせんそう】

1861年―1865年に米国の南北両域間で行われた戦争。1860年奴隷制に反対する共和党のリンカンが大統領に当選,奴隷制存続を主張する南部11州が合衆国から脱退しアメリカ南部連合を結成したのが契機となった。南部連合側は人口・食糧生産・工業力等において劣っていたため,戦争の長期化とともに劣勢に陥り,ゲティスバーグの戦に大敗,1865年降伏した。戦争中の1863年にリンカンは奴隷解放宣言を出し,1865年の憲法修正により奴隷制廃止を達成。戦死・戦病死者は合計62万人に達し,南部は戦火により大きな被害を受けた。
→関連項目アメリカ合衆国官板バタビヤ新聞共和党クー・クラックス・クラングラントグリーンバックスサウス・カロライナ[州]デービス奴隷廃止運動ブレイディ民主党(米国)リー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南北戦争」の意味・わかりやすい解説

南北戦争
なんぼくせんそう
American Civil War

 
186165退11西60西 A.6127退61412 R.654 U.4 40062 (3626) 使631  

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「南北戦争」の解説

南北戦争(なんぼくせんそう)
Civil War


退11退1861651812使綿40西退61412()62

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旺文社世界史事典 三訂版 「南北戦争」の解説

南北戦争
なんぼくせんそう
the Civil War

1861年4月から65年4月にかけて行われた,アメリカの南部諸州と北部諸州との間の内乱
根本の原因は南部と北部の政治・経済上のちがいにあり,西部に生まれた新しい州の獲得争いが対立を激化させた。経済上,南部は農業地帯であり,綿やタバコを栽培する大農園制度をいとなみ,労働力として黒人奴隷を用いた。これに対し,北部は商工業を中心とし,イギリスの工業に対抗するために保護貿易を主張し,自由労働を重んじて奴隷制度に反対していた。南部はイギリスの木綿工業の発達により綿の輸出が激増し,自由貿易を主張していた。1860年共和党のリンカンが第16代の大統領に当選すると,61年南部の11州は合衆国からの分離を宣言してジェファソン=デヴィスを大統領に選んでアメリカ連合国をつくり,北部諸州に対して武力抗争を開始した。初めは南部が優勢であったが,1863年の奴隷解放宣言以後は内外世論の支持をうけ,ゲティスバーグの戦いの勝利によって北部が優勢になり,65年北軍の司令官グラントは,南軍の司令官リーを降伏させて戦いが終わった。この戦争の結果,南部の奴隷制大農場は消滅し,黒人奴隷は法律上解放されたが,実質上の差別は依然として存在し,問題を後日に残すことになった。

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世界大百科事典(旧版)内の南北戦争の言及

【アメリカ合衆国】より


西西西1890西

【カナダ】より


便

【州権論】より

…その後,逆にフェデラリスツが野党として,州権論によって1812年の第2次英米戦争への協力を拒んだ。さらに,南部プランター層が少数派としての自己の利益擁護のために,州権論を発展させ,連邦法の無効宣言の理論,さらにその論理的帰結としての連邦よりの脱退の理論を展開して,南北戦争(1861‐65)に入った。南北戦争後には連邦政府の経済規制を好まないビジネス層によって州権論は利用された。…

【大西洋】より

…1812‐14年の第2次英米戦争は,合衆国がイギリスからの経済的自立を達成する最初の契機となった。この傾向は1861年にはじまる南北戦争の遠因ともなり,また南北戦争によって決定的に強められもする。中・南米でも,ナポレオンによる本国スペインの占領を契機として,1810年ごろから植民地の独立運動が盛り上がった。…

【ブラディ】より

…その中でも,A.リンカンのポートレートは特に有名である。61年,南北戦争が勃発するや撮影隊を編成し各戦線に従軍し,湿板法により8000枚もの写真を撮影した。ブラディの名前で発表されたが,実際には助手のガードナーAlexander Gardner(1821‐82)やオサリバンTimothy H.O’Sullivan(1840‐82)によるものが多い。…

※「南北戦争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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