自由貿易(読み)ジユウボウエキ(英語表記)free trade

翻訳|free trade

デジタル大辞泉 「自由貿易」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐ぼうえき〔ジイウ‐〕【自由貿易】

国家が輸出入品の禁止・制限、関税賦課・為替管理輸出奨励金などの規制、および保護・奨励を加えない貿易。→保護貿易管理貿易

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精選版 日本国語大辞典 「自由貿易」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐ぼうえきジイウ‥【自由貿易】

 

(一)   ( [] free trade  ) 貿貿貿=貿
(一)[]貿貿(1875︿)
 

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改訂新版 世界大百科事典 「自由貿易」の意味・わかりやすい解説

自由貿易 (じゆうぼうえき)
free trade


貿貿調

貿A.D.貿1820︿2039︿R.J.46貿6080

1930貿貿2貿GATT-IMF貿50貿60

貿︿貿貿貿貿

貿貿貿貿貿

2GATT貿1970貿731貿退20調貿調調貿70EC貿退

貿2GATT-IMF貿貿貿2貿貿196071貿貿EC貿調

1960貿貿657313%68貿貿

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自由貿易」の意味・わかりやすい解説

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade

貿易取引に対する数量制限、関税、輸出補助金などの国家の干渉を廃止し、自由に輸出入を行うこと。これを実現しようとする思想や政策のことを自由貿易主義、自由貿易政策という。

[田中喜助]

自由貿易主義の沿革


貿貿A貿貿D貿1776貿

 貿182039貿60WE4017931815貿RJ貿1182325218424646495360貿貿

 1929貿貿32貿


第二次世界大戦後の自由貿易主義

第二次世界大戦後は、1930年代の世界的大不況における関税障壁エスカレーション、輸入割当てなどのあらゆる貿易制限の導入、それによる世界貿易の激減、市場確保のためのブロック経済化という世界各国の苦い経験の反省から、アメリカの強い指導力のもとに、ガット(GATT)が47年に成立した。自由貿易と最恵国待遇の原則に基づいて世界貿易を発展させることを目的とするガットは、関税引下げとともに貿易に対する数量制限などの非関税障壁の撤廃のため、47年から79年までの間に7回にわたる一般関税交渉を行うことによって保護貿易主義的な動きを食い止め、世界的規模での貿易の自由化を推進してきた。しかし、その後のアメリカ経済の優位性の低下、ヨーロッパ共同体(EC。EU=ヨーロッパ連合の前身)諸国の経済停滞、新興工業国(韓国、台湾、香港(ホンコン)など)による先進工業国への追い上げなどによる保護貿易主義の台頭、国連貿易開発会議(UNCTAD(アンクタッド))によるガット原則修正の要求などにより、ガットに基づく自由貿易体制の危機が叫ばれた。東京ラウンド後の、1986年から始まったウルグアイ・ラウンド(~93)では、関税の引き下げにとどまらず、数量制限をはじめとする非関税障壁の軽減、撤廃など多方面にわたる貿易問題が論じられ、同ラウンドでWTO協定が締結された。そして、そこで合意された成果を実施する正規の機関として、1995年、世界貿易機関=WTOが発足し、ガットはWTOに引き継がれることになった。

[田中喜助]

『北野大吉著『英国自由貿易運動史』(1943・日本評論社)』『藤井茂著『貿易政策』(1977・千倉書房)』『ヘンリー・ジョージ著、山嵜義三郎訳『保護貿易か自由貿易か』(1990・日本経済評論社)』『中村陽一編著『WTO(世界貿易機関)が貿易を変える――ウルグアイ・ラウンド後の日本と世界』(1994・東洋経済新報社)』『新堀聡著『ウルグアイ・ラウンド後の貿易体制と貿易政策』(1994・三嶺書房)』『小島清著『応用国際経済学――自由貿易体制』(1994・文真堂)』『ティム・ラング、コリン・ハインズ著、三輪昌男訳『自由貿易神話への挑戦』(1995・家の光協会)』『鷲見一夫著『世界貿易機関(WTO)を斬る――誰のための「自由貿易か」』(1996・明窓出版)』『秋山憲治著『貿易政策と国際通商関係』(1998・同文舘出版)』『ラッセル・D・ロバーツ著、佐々木潤訳『寓話で学ぶ経済学――自由貿易はなぜ必要か』(1999・日本経済新聞社)』『ダグラス・A・アーウィン著、小島清監修、麻田四郎訳『自由貿易理論史――潮流に抗して』(1999・文真堂)』『服部正治著『自由と保護――イギリス通商政策論史』増補改訂版(2002・ナカニシヤ出版)』『小寺彰・中川淳司編『基本経済条約集』(2002・有斐閣)』『小川雄平編『貿易論を学ぶ人のために』新版(2002・世界思想社)』『佐々木隆雄著『アメリカの通商政策』(岩波新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自由貿易」の意味・わかりやすい解説

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade

国家の干渉を排除した国際商品取引またはその考え方をいい,保護貿易の対立概念。自由貿易の考え方はイギリスの産業革命の過程で,それまで支配的であった重商主義に対する批判として A.スミス,D.リカードらにより理論づけられた。その背景には台頭してきた産業資本による工業品輸出の拡大と,その優位性の確立を目指そうとする要求があった。自由貿易運動が起るなかで,1846年には穀物法が,さらに 49年には航海法がそれぞれ撤廃され,イギリス工業の世界市場進出の基礎が固められた。その後各国で工業が発達し,製品市場や資源の獲得を競い合ってブロック圏の建設を進めたため,自由貿易の理念は放棄されてしまった。第2次世界大戦後はその反省のうえに立って,国際協力のもとで各国経済の進展をはかろうという機運が高まり,自由貿易の理念が再評価された。そして各国協力のもとに国際通貨基金 IMFの創設やガット (関税と貿易に関する一般協定) の締結など制度的にも具体化され,いわゆる貿易の自由化が進むこととなった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「自由貿易」の解説

自由貿易(じゆうぼうえき)
free trade


貿18204660貿

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旺文社世界史事典 三訂版 「自由貿易」の解説

自由貿易
じゆうぼうえき
free trade

保護貿易に対する語で,生産者や商人の自由にゆだねられ,国家の介入・統制を認めない貿易
イギリスのアダム=スミス,フランスのケネーらが提唱。資本主義の発展とともに推進され,19世紀後半以後,独占資本主義への移行に伴い衰退した。

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世界大百科事典(旧版)内の自由貿易の言及

【関税】より


︿︿1貿1990貿

【管理貿易】より

…ところが,73年の石油危機に端を発した世界的な不況のもとで各国の失業率が上昇し,造船,鉄鋼といった戦略産業で各国間の貿易摩擦が激化した。このような世界貿易が直面する厳しい情勢に対処するため,77年の第3回先進国首脳会議(サミット)において,フランスのジスカール・デスタン大統領は〈管理された自由貿易〉を提唱した。その基本的な考え方は,自由貿易の結果が消費者や生産者に望ましくない変動を強いたり雇用の危機をもたらす場合には,特定部門の貿易を管理し,先進国間で貿易を組織する必要があるというものである。…

【植民地】より

…この独立革命は,共和制,憲法,奴隷貿易廃止,原住民貢納制廃止などの社会変革をともない,ラテン・アメリカ社会の近代化を促進した。しかしこの近代化は,中心部における産業資本主義段階への移行に相応するものであったが,けっしてラテン・アメリカの対外的従属の終結を意味せず,むしろ新しい自由貿易政策下での商業的従属の深化を意味した。そしてのちにラテン・アメリカの〈周縁的住民marginal population〉と呼ばれるようになる〈原住民大衆indígena〉は,〈自由,平等,博愛〉を旗印とする形式的かつ観念的なブルジョア民主主義国家のもとで,植民地時代の庇護と分離政策とは違ってスペイン系住民と同一次元に置かれることになり,対内的には共同体所有地の強制的分解によって,対外的には世界市場の価格変動の直撃によって,二重の抑圧と搾取にさらされることになった。…

【貿易理論】より

…前者は一国ないし世界の資源の効率的利用という観点から貿易政策の評価と位置づけを行うものであり,後者はそうした観点をいちおう離れて,個々の政策手段の導入ないし廃止が国際経済の重要な変数にどのようなインパクトを与えるかを分析するものである。前者については,いわゆる〈貿易利益〉をめぐる諸命題や自由貿易対保護貿易の論争が重要である。後者については,関税や輸入割当ての効果分析,とりわけそれらが交易条件,さらには輸出入量などに及ぼす影響の研究が中心的な課題である。…

【保護貿易】より


貿貿(NTB

※「自由貿易」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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