デジタル大辞泉
「原口」の意味・読み・例文・類語
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げん‐こう【原口】
- 〘 名詞 〙 動物の初期発生において、嚢胚(のうはい)のくぼみの部分(原腸)が外界に通じる開口部分をいう。成体となったとき、原口が口になる動物を先口動物または旧口動物、肛門になる動物を後口動物または新口動物という。
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原口
げんこう
動物発生における原腸胚(げんちょうはい)の陥入口をいう。原腸は内胚葉性細胞であるが、脊椎(せきつい)動物などでは原腸の動物極側は原腸蓋(がい)︵脊索中胚葉︶で覆われている。原腸蓋はやがて内胚葉細胞で裏打ちされる。原腸は消化管となり、原口で外に通じる。腔腸(こうちょう)動物では原口が口と排出口を兼ねるが、そのほかの後生動物は原口が口になるものと肛門(こうもん)になるものに分かれる。扁形(へんけい)動物、紐形(ひもがた)動物、線形動物、環形動物、節足動物、軟体動物などは原口が口となり、肛門は別に開口するため旧口動物︵前口動物︶といわれる。一方、毛顎(もうがく)動物、棘皮(きょくひ)動物、原索動物、脊椎動物は原口が成体の肛門になるか、原口がいったん閉じてその付近に新しく肛門が生じ、口は別に開くので新口動物︵後口動物︶とよばれる。
﹇嶋田 拓﹈
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原口【げんこう】
多細胞動物の初期発生において,原腸形成の際,細胞が胚内に移動するための陥入個所。つまり原腸の入口。後生動物は原口がそのまま口となる旧口動物(環形・軟体・節足動物)と原口が肛門となり口が別に開く新口動物(棘皮(きょくひ)・脊椎動物)に分けられる。
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世界大百科事典(旧版)内の原口の言及
【形成体】より
…両生類の卵は受精すると分裂を重ねやがて中腔の胞胚となる。さらに発生が進むと胞胚の植物極側の1ヵ所で,表層の組織が内側に陥入をはじめ口唇状の原口blastoporeができる。原口の上唇部は陥入すると脊索や中胚葉を形成するほか,隣接する外胚葉を神経板neural plateに[誘導]する。…
【形態形成】より
…この過程は単に胚の一部で細胞の集団が内側の腔所に落ち込むといった単純なものではなく,胚体全域におよぶきわめて複雑な造形運動なのである。原口blastoporeの形成がはじまると,まず動物極側で細胞が集団をなして植物極側を包み込むように移動し,原口から順次胞胚腔に向かって流入する。このような変化がしだいに植物極側におよんでいく。…
【原腸】より
…その形は,無脊椎動物においては比較的単純な椀状または先の閉じた筒状であるが,両生類以下の脊椎動物では背腹にいちじるしい差を生じ,背側に隣接する外胚葉に神経組織を誘導する。原腸が入り込んでできた腔所の開口部は原口blastoporeとよばれ,旧口動物(ミミズ,貝類など)ではそのまま成体の口を形成するが,新口動物(ウニ,脊椎動物など)では幼生または成体の肛門となる。節足動物および脊椎動物の一部(爬虫類,鳥類,哺乳類)では原腸は作られない。…
※「原口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」