デジタル大辞泉 「取手」の意味・読み・例文・類語 とりで【取手】 茨城県南部、利根川の北岸にある市。近世は水戸街道の宿場町。名は平(たい)将(らの)門(まさかど)が築いた﹁とりで﹂からといわれる。人口11.0万︵2010︶。 とり‐て︻取︵り︶手︼ 1物を受け取る人。 2 カルタのふだを取る人。読み手に対していう。 3 相撲・柔道などの技。また、その技の巧みな人。 4 武術の一。武器を持たずに敵を倒し、捕らえる術。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「取手」の意味・読み・例文・類語 とり‐て【取手】 (一)〘 名詞 〙 (二)① 相撲、柔道などのわざ。また、そのわざのよくできる人。 (一)[初出の実例]﹁今日土佐相撲為男、及取手者一人、白丁一人参来﹂(出典‥小右記‐寛仁三年︵1019︶七月二四日) (三)② ( ﹁捕手﹂とも ) 武術の一種。素手で人を捕える術。中国の拳法から工夫したもの。小具足。こしまわり。 (一)[初出の実例]﹁やはら取手(トリテ)や棒などを、あらまほしとくゆる﹂(出典‥仮名草子・悔草︵1647︶下) (四)③ 物を受け取る人。質取り主。﹁置手﹂に対していう。 (一)[初出の実例]﹁質物取手、或在国或留守事︿但、非二土倉一私質﹀﹂(出典‥蜷川文書‐永正一七年︵1520︶三月八日・徳政法条々) (五)④ 音頭をとる人。 (一)[初出の実例]﹁あみの大つなを張る如く発頭(ほっとう)を取れども、其取手のなにものかすると云形をみず﹂(出典‥清原国賢書写本荘子抄︵1530︶七) (六)⑤ 盗みを働いた者。ぬすびと。 (一)[初出の実例]﹁此盗人は外より入たるにあらず︿略﹀角とりては十弐人の弟子のうちなりと内証せんぎも是に極めて﹂(出典‥浮世草子・本朝桜陰比事︵1689︶五) (七)⑥ カルタで、読みあげられた札を取る人。 (八)⑦ 金をしぼりとる人。 (一)[初出の実例]﹁那(あ)の位に評判は宜(い)いが実に取手(トリテ)で此の客と思ふと中々腕を揮(ふる)って手取を極るが﹂(出典‥落語・今戸の狐︵1892︶︿三代目三遊亭円遊﹀) とりで︻取手︼ (一)茨城県南部の地名。利根川と小貝川に挟まれる。江戸時代、水戸街道の宿場町、利根川水運の要地として栄えた。第二次世界大戦後は食品・機械などの工業都市、東京の衛星都市として発展。JR常磐線から関東鉄道常総線がわかれる。昭和四五年︵一九七〇︶市制。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「取手」の意味・わかりやすい解説 取手[市] (とりで) 目次 取手 藤代 茨城県南部の市,2005年3月旧取手市が藤代︵ふじしろ︶町を編入して成立した。人口10万9651︵2010︶。 取手 取手市南西部の旧市で,利根川北岸に位置する。1970年市制。人口8万2527︵2000︶。市域のほとんどは常総台地の南端部と利根川,小貝︵こかい︶川の沖積地からなる。江戸時代には水戸街道︵現,国道6号線︶の渡船場をかねた宿場町として,また利根川水運の拠点として栄え,河岸が発達した。1896年日本鉄道海岸線︵現,JR常磐線︶が開通,1913年には下館と結ぶ常総鉄道︵現,関東鉄道常総線︶も開通し,30年には国道6号線の大利根橋が架橋され,県南部の交通の要地として発展した。49年に常磐線の松戸~取手間の電車運転が始まり,82年には地下鉄千代田線も乗り入れ東京との結びつきがいっそう強まった。1960年代末,東京圏の住宅地拡大現象を背景に,市域西部を占める台地で住宅団地造成が始まり,以後ベッドタウン的傾向は年ごとに強まっている。新住民の大半は,東京への通勤者とその家族が占め,茨城都民とも称される。60年以降,電気機器,精密機械,ビールなどの工場が進出し,工業化も進んでいる。 執筆者‥中川 浩一 藤代 取手市北東部の旧町,旧北相馬郡所属。人口3万3466︵2000︶。小貝川最下流の沿岸低地を占め,東は竜ヶ崎市,南西は旧取手市に接する。ほぼ中央をJR常磐線と国道6号線が横断している。江戸時代初期に伊奈忠次・忠治父子の岡堰造成などの治水工事によって新田が開発された。︿相馬二万石﹀と称された穀倉地域の一部をなすが,小貝川,利根川がたびたびはんらんし,破堤しては被害を被ってきた。中心集落の藤代は江戸時代,水戸街道の宿場町として栄えた。農業,特に米作を主産業としてきたが,都心から40km圏内にあり,交通も至便なため1960年代後半以降東京のベッドタウン化が進んでいる。63年の工場誘致条例制定以降工場進出もみられ,71年には国道6号線沿いに食品関係の工場が進出した。農業は米作が大部分を占める。水害常襲地域であった高須地区では水塚や田舟を残す農家がみられる。 執筆者‥千葉 立也 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報