地租改正(読み)チソカイセイ

デジタル大辞泉 「地租改正」の意味・読み・例文・類語

ちそ‐かいせい【地租改正】

明治政府による土地・租税制度の改革。土地の私的所有を認め、地価の3パーセントを金納としたが、江戸時代の年貢収入額を維持する高額地租であり、軽減を要求して各地に農民一揆が起こった。

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精選版 日本国語大辞典 「地租改正」の意味・読み・例文・類語

ちそ‐かいせい【地租改正】

  1. 〘 名詞 〙 明治六年(一八七三)以降、明治政府が財政基盤の安定化のために行なった土地と租税の改革。旧来の田畑貢納法を廃止し、土地ごとに設定された地価に基づく定額地租(地価の三パーセント)の金納が義務付けられた。
    1. [初出の実例]「地租改正相済み、租額の大計目途相立」(出典:地方官会議日誌‐一三・明治八年(1875)七月七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「地租改正」の意味・わかりやすい解説

地租改正 (ちそかいせい)




187147719127227734728272

121003342001001168%2︿︿

11875775376771002.580827816西

121020

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百科事典マイペディア 「地租改正」の意味・わかりやすい解説

地租改正【ちそかいせい】

 
1873188118733()18772.51884
 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地租改正」の意味・わかりやすい解説

地租改正
ちそかいせい


18736()72()73728調10033111575調()76()()1002.580816753816調



1962

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旺文社日本史事典 三訂版 「地租改正」の解説

地租改正
ちそかいせい

明治初年,新政府の行った土地・租税制度改革
政府は財源の安定をはかるため,1873(明治6)年地租改正条例を公布。'71年の田畑勝手作解禁と '72年の田畑永代売買解禁・地券交付により農民保有地の私的所有権を認めて封建的諸制限を撤廃した政府は,それまでの現物年貢を改め金納とし,地租を地価の3%と決め,地主から徴収することにした。地租改正準則にあげた例によれば,地租は収穫の34%,地主の取り分34%,小作農民の取り分32%で,小作料は地租プラス地主の取り分だから,68%という重いものであり,また物納であった。このような中で,政府は'75年地租改正事務局を設け翌年完了をめざして強行したため,農民の不満が爆発して,地租改正反対の農民一揆が頻発し,政府は '77年地租率を2.5%に軽減した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「地租改正」の解説

地租改正
ちそかいせい

明治政府が実施した土地・租税制度の改革。従来の農民的土地占有権を所有権として公認し,土地所有者に地券を交付するとともに,公定地価の3%を地租として課税。1873年(明治6)7月旧貢租水準の維持,土地所有権の公認,地租金納制,地租負担の公平などの近代的な改革理念をもりこんだ関係法令が公布され,実地調査が開始された。地押丈量(土地測量),等級・収穫量調査,地価算定などが実施され,耕地・宅地は79年,山林・原野を含め81年に終了。農民的土地所有,地主的土地所有という資本主義社会の基礎となる一元的・排他的な土地所有権が公認され,税負担の公平と租税金納制が実現した。これにより,日本における近代的な土地制度と租税制度の根幹が体制的に確立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地租改正」の意味・わかりやすい解説

地租改正
ちそかいせい

1873~81年に明治政府が財政的基礎確立のため地租改正条例に基づいて施行した土地制度,租税制度の改革のこと。徳川封建体制から明治以後の近代資本主義体制への転換期における最も重要な改革の一つであった。そのおもな内容は (1) 課税標準を従来の収穫量から地価に改める,(2) 税率は 100分の3をもって定率とする,(3) 物納を廃し,すべて金納とするというもの。この地租改正に対してはその後,経済学界で封建的生産物地代から貨幣地代への転化,転態ととらえる (講座派) のか,近代的租税ととらえる (労農派) のかという2つの見解が対立し,日本資本主義論争の重要課題の一つとなった。

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世界大百科事典(旧版)内の地租改正の言及

【字】より

…字付帳も作成され,検地帳や名寄帳にも耕地・宅地地割一筆ごとに字名が記入された。 明治に入り,《地租改正要略》によると,〈字〉は〈あざ〉と訓み,その名称はあたかも町村名のごとく行政地名として各種書類に正式に用いられた。町村内の地理上の一区画を有し,その区画も名称も古くからの慣例として通用してきたものが多い。…

【地押】より

…その場合1~2耕地程度の小規模であれば廻り検地(惣まわりを絵図にうつし反別を改める方法)ですませた。明治政府は1873年公布の地租改正条例に基づいて,それまでまちまちであった物納貢租を全国一律の金納地租に統一・改定する政策をすすめたが,改正後も開墾・地目変換などによって帳簿と実地とのくいちがいが多く,大蔵省は85年より4ヵ年の歳月をかけて大規模な地押調査を行い,土地台帳を完成させた。【松尾 寿】。…

【租税】より


【租税の歴史】
 明治初期以来の租税収入の変遷をみると,日本の産業構造の推移がそのまま反映されていることがわかる。表1でみるとおり,地租は1873年(明治6)に地租改正令が公布される以前においても以後においても,国税収入面で明治財政を支える根幹となった税目である。同時に,地租改正は明治経済の〈離陸〉に必要な収入を確保したばかりでなく,改正により全国的に統一された近代的税制を確立した点も評価されねばならない。…

【地租】より

…明治初年の地租改正により土地に賦課されることになった租税をいう。現物形態をとった旧貢租にかわって,地租は貨幣形態をとり,土地収益から算定された地価の100分の3とされた。…

【地租改正反対一揆】より

…明治政府は1873年以来,従来の物納貢租の制度を改め,全国画一の定率金納の地租制度を施行したが,これに対して各地の農民は反対闘争を起こした。この闘争は,政府・府県による地租改正実施の進行事情,実施の段階,実施方法の差異と,各地域の政治的・経済的諸条件によって異なった形態と特徴をあらわす。ここでは改租の段階に応じて反対闘争に四つの段階を設けて記述する。…

【農業】より

…各種の加工原料作物が集中栽培される地域では,その加工の形で農村工業も発展していく。
[近代]
 (1)開港の影響 明治以後の農業は外国貿易の影響と,地租改正によって土地所有が処分自由になったことなどによって変わっていく。前者は江戸時代農業発展の中心となった加工原料作物の多くのものを衰退させ,養蚕業,製糸,茶栽培,製茶などを発展させる。…

【百姓】より

… 1820年代以後の大坂周辺農村で形成されていた地主・小作関係は,土地が売買可能な財産であることを実質において備えていた。地租改正は,そのような土地所有権を法律的に認めた。質地地主の段階にとどまっていた関東や東北においては,質入地は質期間が過ぎても,ながく所持名義人を変更しない慣習があったが,地租改正の過程で質権者に,大坂周辺で実質において成立していた土地所有権と同じ内容の所有権を認めることによって,土地所有の移動を活発にし,質地地主の土地所有の内容を変えていった。…

【屋敷】より


1872(5)()()

※「地租改正」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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