秩禄処分(読み)チツロクショブン

デジタル大辞泉 「秩禄処分」の意味・読み・例文・類語

ちつろく‐しょぶん【秩×禄処分】

明治9年(1876)明治政府が秩禄奉還をすべての華族士族に求め、金禄公債証書の交付を代償として秩禄支給を全廃した処置。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「秩禄処分」の意味・読み・例文・類語

ちつろく‐しょぶん【秩祿処分】

  1. 〘 名詞 〙 明治九年(一八七六)明治政府が金祿公債証書の交付を代償として、華族・士族への秩祿支給を全廃した処置。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「秩禄処分」の意味・わかりやすい解説

秩禄処分 (ちつろくしょぶん)


18768

186926︿︿73

186918727340%72300077312274234255335︿10064837︿7411207294136000610359020%759

 30%18751872-743

︿1876385108514571610095016207541029西

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「秩禄処分」の意味・わかりやすい解説

秩禄処分
ちつろくしょぶん

1876年(明治9)明治政府が、華・士族に金禄公債を交付して、彼らに対する家禄、賞典禄の支給を廃止した処分。明治政府は、廃藩置県後も、従来の公家(くげ)、領主、武士(これらは1869年華族・士族という二つの族籍に整理された)に対し、旧幕以来の家禄と、維新の功績により政府が与えた賞典禄とを引き続き支給していた。そのための財政負担は、当初歳出の45%に達し、近代国家樹立を目ざす政府にとって家禄・賞典禄処分は差し迫った課題となった。また1873年に公布された徴兵令は、武を常職とする士族の存在理由をなくし、同年の地租改正は、家禄の源泉である封建貢租を、近代的租税の形をとった地租に変えてしまった。こうした事情を背景にして、政府は、政府内部の反対を押さえながら徐々に家禄整理を進めた。まず73年12月、家禄税と家禄奉還制度をあわせ実施し、家禄には禄高を335段階に分けた累進税を課し、奉還希望者には家禄六か年分を現金と秩禄公債とで一時に交付し、平民身分に編入した。ついで75年9月には、家禄・賞典禄をすべて定額の現金支給に改めた(これを金禄と称する)。これらの措置ののち、秩禄処分を断行し、旧領主階級を完全に解体したのである。これに対し、各地の士族は強く反発し、神風連(しんぷうれん)・秋月(あきづき)・萩(はぎ)の乱や西南(せいなん)戦争などの士族反乱が勃発(ぼっぱつ)した。反乱鎮定後、士族層の多くは窮乏し没落していった。

[丹羽邦男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「秩禄処分」の意味・わかりやすい解説

秩禄処分【ちつろくしょぶん】

 
31869101518731875311876西
 

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秩禄処分」の意味・わかりやすい解説

秩禄処分
ちつろくしょぶん

 
2 (1869) 101 187598 ( )   

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「秩禄処分」の解説

秩禄処分
ちつろくしょぶん

明治初年,江戸時代の俸禄を引き継いだ家禄や維新の勲功者に与えた賞典禄を廃止した政策。廃藩置県後も明治政府は華族・士族などに家禄・賞典禄を支給していたが,歳出の3分の1を占めていたために廃止が問題となった。外国公債を利用した家禄廃止案は挫折したが,1873年(明治6)に漸進的措置として家禄奉還とともに家禄税を導入し,禄高を20%削減した。しかし米価上昇などで実質的な財政負担は変わらなかったため,75年に過去3年間の石代相場で換算した現金支給(金禄)に改めたうえで,76年に金禄公債を発行して最終的に廃止する方針を決定。地租改正とともに封建的領有権が解体され,近代的土地所有権が確立した。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「秩禄処分」の解説

秩禄処分
ちつろくしょぶん

明治政府によって行われた家禄および賞典禄の整理廃止
旧封建家臣団の解体政策である。政府は,1869年版籍奉還に伴う身分制度の改革とともに旧藩主・藩士や公卿の家禄を削減する禄制改革を行い,また廃藩置県('71)後,家禄奉還者への一時賜金および秩禄公債の交付によって,全士族の約3分の1に及ぶ禄制整理を実施した。'75年秩禄の支給方法も現米から貨幣に改め,'76年には金禄公債を支給して,封建制度数百年にわたる秩禄制度を全廃した。これにより多くの士族は急速に没落した。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の秩禄処分の言及

【金禄公債】より

…1876年8月5日,明治政府は領主・公卿・武士らへの家禄支給を廃し,代りに公債を交付することを令した(太政官布告108号)。これを秩禄処分といい,この公債が金禄公債である。これによって,封建支配層としての領主・武士層は消滅し,彼らはすべて公債を所有する利子生活者となった。…

【知行】より


 1867(3)69(2)7175() 

※「秩禄処分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

タコノキ

タコノキ科の常緑高木。小笠原諸島に特産する。幹は直立して太い枝をまばらに斜上し,下部には多数の太い気根がある。葉は幹の頂上に密生し,長さ1〜2m,幅約7cmで,先は細くとがり,縁には鋭い鋸歯(きょし)...

タコノキの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android