六訂版 家庭医学大全科 「壮年性脱毛症」の解説
壮年性脱毛症
そうねんせいだつもうしょう
Androgenetic alopecia
(皮膚の病気)
どんな病気か
青壮年に多い脱毛症で、男性型脱毛症あるいは若はげなどと呼ばれることもあります︵図100︶。20歳ころから発症し、年齢が高くなるほど増えていきます。男性に多いのですが、女性にも発症します。原因は何か
壮年性脱毛症では、毛もう周しゅ期うき︵成長期、退行期、休止期︶における成長期が短くなります。毛もう包ほうが小さくなり、毛は細く、短くなります。 壮年性脱毛症では、男性ホルモンが関係しています。髭ひげや胸毛は男性ホルモンにより成長が促され、太く硬くなります。一方、前頭部や頭頂部の毛は男性ホルモンにより成長が抑えられます。男性ホルモンを活性型に変換する酵素︵Ⅱ型5αアルファレダクターゼ︶が前頭部や頭頂部の毛の毛乳頭にあり、発症に関係しています。症状の現れ方
前頭部、頭頂部を中心に左右対称に毛が薄く、細くなります。痛みやかゆみなどの症状はありません。検査と診断
男性に現れた壮年性脱毛症では、血中の男性ホルモン値に異常はありません。多たの嚢うほ胞うせ性い卵巣症候群の男性化徴候として女性に壮年性脱毛症が現れた時は、血中の男性ホルモン値が上昇しています。治療の方法
フィナステリド製剤︵プロペシア︶の内服治療を行うと、壮年性脱毛症の進行が抑えられて発毛が進みます。フィナステリドはⅡ型5αレダクターゼのはたらきを選択的に抑えます。フィナステリド製剤内服治療は男性のみに行い、女性には行うことはできません。 一般薬として市販されているミノキシジル製剤︵リアップ︶の外用治療も効果があります。フィナステリド製剤内服治療と併用すると効果が一層増します。 自家毛植毛手術は毛の多い部分から皮膚を切り取り、毛を1本1本脱毛部位に植える方法です。通常は後頭部から皮膚を切り取り、額や頭頂部に植毛します。移植した毛は男性ホルモンの影響を受けにくい性質を保ちます。病気に気づいたらどうする
早期に治療を行うと、脱毛が進行せずに効果があります。 嵯峨 賢次出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報