デジタル大辞泉 「急く」の意味・読み・例文・類語 せ・く【▽急く】 ﹇動カ五︵四︶﹈ 1 早くしなければ、とあせる。あせっていらだつ。また、あわてる。﹁気ばかり―・く﹂ 2 呼吸が激しくなる。﹁息が―・いて苦しい﹂ 3 せきたてる。急がせる。 ﹁何ものかに﹃今だぞ﹄と―・かれている気もちだった﹂︿芥川・玄鶴山房﹀ 4 怒り・悲しみ・嫉(しっ)妬(と)などで、心が激しく動く。 ﹁腹立て顔して言ふが、男に―・いた風を見すべき女郎の計略なり﹂︿浮・禁短気・五﹀ →急(いそ)ぐ﹇用法﹈ [類語]︵1︶焦る・急き込む・気が急く・逸る・テンパる・焦燥・焦慮・焦心・荒れる・荒らす・すさむ・すさぶ・苛立ち・焦る・苛立つ・かりかり・じりじり・やきもき・むしゃくしゃ・むずむず・うずうず・じれる・苛つく・業を煮やす・痺れを切らす・歯痒い・じれったい・もどかしい・辛気臭い・苛立たしい・まだるっこい・まどろっこい・躍起・隔靴掻痒・いらいら・尖る・手ぬるい・生ぬるい・のろ臭い・間(まだ)怠(る)い・間(まだ)怠(る)こしい・煮え切らない・うやむや・あやふや・漠然・おぼろげ・曖昧・どっちつかず・要領を得ない・ぬらりくらり・ぬらくら・のらりくらり・のらくら・ぼやかす・無節操・洞ヶ峠・言を左右にする・言葉を濁す・小心・弱気・引っ込み思案・気弱・内弁慶・陰弁慶・臆病・大人しい・こわがり・内気・怯(きょ)懦(うだ)・怯(きょ)弱(うじゃく)・意気地なし・小胆・小心翼翼・弱腰・薄弱・惰弱・柔弱・軟弱・優柔不断・柔い・柔(やわ)・弱弱しい・女女しい・弱音を吐く・音を上げる・悲鳴を上げる・気が弱い・腰が弱い・肝が小さい・肝っ玉が小さい/︵3︶急ぐ・急かす・急き立てる・追い立てる・追いまくる 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「急く」の意味・読み・例文・類語 せ・く【急】 (一)[1] 〘 自動詞 カ行五︵四︶ 〙 (一)① あせる。いらだつ。いそぐ。気がはやる。 (一)[初出の実例]﹁そなたがその様におしゃると心がせくによって、いよいよ某が目には見えぬ﹂(出典‥虎寛本狂言・禁野︵室町末‐近世初︶) (二)﹁あの衆と一所に死んで死出の旅で、道連れになり話さう。構ひて急(せ)くな﹂(出典‥歌舞伎・鳥辺山心中︵宝永三年︶︵1706︶) (二)② あわてる。狼狽する。 (一)[初出の実例]﹁其日のお敵権七様御出と呼つぎぬ。すこしもせかず、火燵の下へ隠れけるこそ﹂(出典‥浮世草子・好色一代男︵1682︶六) (三)③ 怒りや悲しみの気持が胸へこみあげる。また、嫉妬(しっと)する。 (一)[初出の実例]﹁躍(をどり)ぬる夜半の面影したひ侘(わび) ほいなき夢にせく胸の中︿幸和﹀﹂(出典‥俳諧・誹諧独吟集︵1666︶下) (二)﹁阿古屋は読みも果て給はずはっとせきたるけしきにて、うらめしや腹立や口おしやねたましや﹂(出典‥浄瑠璃・出世景清︵1685︶二) (四)④ 息などがはげしくなる。 (二)[2] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 いそがせる。うながす。せかす。せきたてる。﹁息がせく﹂ (一)[初出の実例]﹁せきつどうてつづくほどに車も同みちをとをるほどに、さきの車のわのあとを又とをるぞ﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶一) (二)﹁それは丁度何ものかに﹃今だぞ﹄とせかれてゐる気もちだった﹂(出典‥玄鶴山房︵1927︶︿芥川龍之介﹀五) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例