デジタル大辞泉 「才覚」の意味・読み・例文・類語 さい‐かく【才覚】 ﹇名﹈(スル) 1 すばやく頭を働かせて物事に対応する能力。知恵の働き。機転。﹁才覚のある人﹂ 2 工(くふ)夫(う)すること。また、すばやく頭を働かせて物事を処理すること。﹁客の好みに合わせて料理を才覚する﹂ 3 あれこれ苦心して金や物を手に入れること。工(くめ)面(ん)。﹁才覚がつかない﹂﹁五〇万円ほど才覚する﹂ 4 学問の力。学識。才学。 ﹁和漢の―の足らぬにぞありけん﹂︿神皇正統記・後醍醐﹀ ﹇形動ナリ﹈機転や才知のあるさま。 ﹁―な貧乏神﹂︿咄・御前男・三﹀ [類語]才気・才知・知力・才・能力・力量・能・才能・文才・手筋・手際・手腕・手並み・腕前 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「才覚」の意味・読み・例文・類語 さい‐かく【才覚・才学】 (一)〘 名詞 〙 ( ﹁さいがく﹂とも ) (二)① 才知と学問。学問。学識。 (一)[初出の実例]﹁件僧雖浅臈、当時所有僧等中、才学頗勝れ﹂(出典‥御堂関白記‐寛弘六年︵1009︶四月二日) (二)﹁すこしも、さえなどつきぬべくや御覧じけむ、院の、のたまはせしやう、さいかくといふもの、世に、いと重くする物なればにやあらむ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶絵合) (三)[その他の文献]︹後漢書‐応泰伝︺ (三)② ( 形動 ) 知恵のすばやい働き。才知を働かせること。機知、機転、工夫などにすぐれていること。また、そのさま。 (一)[初出の実例]﹁都(すべ)て左様の才覚(サイカク)の者には非ず﹂(出典‥発心集︵1216頃か︶一) (二)﹁又五郎男(をのこ)を師とする外の才覚候はじ﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶一〇二) (四)③ ( ━する ) 苦心、工夫して金、物品などを求めること。くめんすること。やりくり算段。 (一)[初出の実例]﹁爰(ここ)かしこ才覚仕て、淀一番の鯉をもとめて﹂(出典‥虎明本狂言・鱸庖丁︵室町末‐近世初︶) (二)﹁左りの手に握るといふ海馬をさいかくするやら﹂(出典‥浮世草子・世間胸算用︵1692︶二) 才覚の語誌 (1)漢語としては﹁才学﹂が本来の表記。﹁学﹂は、呉音﹁ガク﹂漢音﹁カク﹂であるが、通常は呉音で﹁ガク﹂と読まれる字であるために、清音︵漢音︶で読まれる﹁サイカク﹂の場合には﹁才覚﹂とも表記されるようになったものと思われる。 (2)漢籍においては﹁才学﹂は﹁才能﹂と﹁学識﹂との二つの意味を表わすが、日本では﹁学﹂字に意味の重点をおいて﹁学識﹂の意に用いていたと思われる。中世以降﹁才﹂に意味の重点が移り、②の意味で用いられることが多くなるとともに、﹁才覚﹂の表記が固定していったらしい。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例