発見(読み)ハッケン

デジタル大辞泉 「発見」の意味・読み・例文・類語

はっ‐けん【発見】

[名](スル)まだ知られていなかったものを見つけ出すこと。また、わからなかった存在を見いだすこと。「新大陸発見」「犯人のアジト発見する」
[類語]見つける探し出す探し当てる探り当てるつきとめる見いだす

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精選版 日本国語大辞典 「発見」の意味・読み・例文・類語

はっ‐けん【発見】

  1. 〘 名詞 〙
  2. それまで人に知られていなかったもの、現象などをあらたに見つけること。初めて見出すこと。
    1. [初出の実例]「船将閣龍(コロンビス)亜米利加国を発見せしより」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉初)
  3. はつげん(発現)

発見の語誌


(1)︿
(2)西使

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「発見」の意味・わかりやすい解説

発見
はっけん

発見には、通常用いられている「初めてみつけだす」という意味を特化したものとして、「地理上の発見」や「技術的発明」と並び科学・技術上重要な「科学上の発見」がある。ここでは、とくに1960年代以降、科学論、科学史上で活発な議論が行われてきた、いわゆる「科学的発見」scientific discoveryを扱う。

[宮下晋吉]

クーン、ハンソンの発見論


TS1962XParadigm

 XXXXXanomaly

 Norwood Russel Hanson192419671958


科学的認識と発見

これらのいわゆる「新科学哲学派」の発見論に対し、「同時発見」説、「偶然的発見」説は俗説であるばかりか、全体として科学的発見論における不可知論であり、非合理主義的・反科学的主張であるという批判がある。前述の発見論のその後の極端な展開、たとえば「発見の時間と場所の単一性」や「理由づけの理論的な本性」を「神話」として全面否定するような議論などは、その批判が当を得ていることを裏づけているように思われる。ジュール、マイヤー、およびヘルムホルツらによるエネルギー保存則の発見の例のように、科学史上、同時発見的状況は一般的に存在するが、それは、当時の科学(理論)の発展段階と技術水準(とくに実験)との関連で理解されるべきである。また発見には、とくにその出発点では、経験としての発見の段階で偶然的要素が含まれうるが、真の科学的発見とは、科学的認識のプロセスにおいて偶然を必然に転化させる過程と解する必要がある。さもなくば、たとえばX線発見の場合、あとになって実は自分はレントゲン以前にX線に起因する現象(写真乾板に生じた原因不明のかぶりなど)をみいだしていたとして、発見の「先取権」を主張した多数の「えせ発見」や、あるいは当時の世紀末的世情の下で流行していた「心霊科学」における「黒色光線」などオカルト的・空想的な未知の新放射線の予想と、真のX線発見を区別する客観的な基準はなにひとつ存在しなくなるからである。

 さらにまた、科学的認識の理論として「理論的発見」と「実験・観察的発見」を区別したうえで、後者に関し「探検」的発見の存在に注意し、それと「偶発」的発見の間の区別の相対性を指摘する議論もあるが、科学的発見における偶然と必然の間の関係は、本質上「発見の諸タイプ」の分類の問題ではなく、認識のプロセス、すなわち「経験としての発見」から法則性の確立へ、という科学的発見の歴史過程にかかわる問題であるのは、すでに述べたとおりである。なお「発見と逸機」の差に注目する最近の議論(アレクサンダー・コーンAlexander Kohn)もあるが、これも、多数の発見例の比較的リアルな取扱いにもかかわらず、俗説としての「偶然的発見説」の一形態にすぎず、科学的発見は本質上「科学の運」、不運の問題ではないことも前述のとおりである。

[宮下晋吉]

『T・S・クーン著、中山茂訳『科学革命の構造』(1971・みすず書房)』『岩崎允胤・宮原将平著『科学的認識の理論』(1976・大月書店)』『宮下晋吉著「X線の発見と実験・技術・社会(1)――T. Kuhnらの科学的発見論の検討」(『科学史研究』第Ⅱ期第21巻・1982)』『N・R・ハンソン著、村上陽一郎訳『科学的発見のパターン』(1986・講談社)』『アレクサンダー・コーン著、田中靖夫訳『科学の運――発見と逸機の科学史』(1990・工作舎)』『トーマス・S・クーン著、安孫子誠也・佐野正博訳『科学革命における本質的緊張――トーマス・クーン論文集』(1998・みすず書房)』『村上陽一郎著『近代科学を超えて』(講談社学術文庫)』


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改訂新版 世界大百科事典 「発見」の意味・わかりやすい解説

発見 (はっけん)
discovery


discoverdécouvreentdecken︿︿︿

 1︿︿︿N.R.Hanson1924-67Patterns of Discovery1958︿theory-ladeness︿︿︿︿調

 A.Brannigan1949- 1981︿

 ︿multiple discovery︿simultaneous discovery1C.readiness︿︿︿
 

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普及版 字通 「発見」の読み・字形・画数・意味

【発見】はつけん

見つける。

字通「発」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「発見」の意味・わかりやすい解説

発見
はっけん

発明と発見」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の発見の言及

【発見法】より

…ヒューリスティックスheuristicsの訳語で,〈発見〉に資する思考法ないし技法をいう。発見には,〈事実の発見〉と〈概念の発見〉と〈法則の発見〉と〈理論の発見〉の四つの層が区別される。…

【発明】より

…現在の用法では一般に,まだ知られていない物事,原理・法則などを初めて明らかにすること,また,特に機械・器具類あるいはそれらに関する技術を初めて案出することをいう。漢語の〈発明〉には,古代中国の五方神鳥のうち,東方に位置する鳥の名で,転じて鳳凰の朝鳴くことの意もあるが,《史記》《漢書》などでは開き明らかにする,すなわち〈発見〉の意で用いられた。そこから日本では考え,悟る心の働きがめざましいこと,すなわち賢いことをも指すようになった。…

※「発見」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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