著作権(読み)チョサクケン(英語表記)copyright

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デジタル大辞泉 「著作権」の意味・読み・例文・類語

ちょさく‐けん【著作権】

 
70   
[]302018CPTPP5070  

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精選版 日本国語大辞典 「著作権」の意味・読み・例文・類語

ちょさく‐けん【著作権】

 

(一)   ( [] copyright  ) 
(一)[](1898)


 copyright 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「著作権」の意味・わかりやすい解説

著作権
ちょさくけん
copyright




 

 20191213

沿革

日本の著作権制度は、1899年(明治32)に制定された著作権法(旧法)にその起源を求めることができる。これは水野錬太郎(れんたろう)の起草にかかるもので、直接にはベルヌ条約(1886)加盟の準備工作として制定されたものであるため、内容的にはベルヌ条約と多くの点で符合しており、当時としてはきわめて斬新(ざんしん)なものであった。この旧法は、その後ベルヌ条約の相次ぐ改正に応じて数次にわたる部分的修正を施して、第二次世界大戦後に至るまでその命脈を保ってきた。しかし、戦後の機械技術の急速な進歩は著作物の利用方法に著しい変化をもたらし、他方、日本の著作権制度の基調となっているベルヌ条約もその後何度も改正されている。そのため、これらの情勢に対処するためにはもはや部分的修正では足りず、根本的な再検討が必要となった。こうして生まれたのが現行の著作権法(昭和45年法律第48号)であり、1971年(昭和46)1月1日に施行されている。この法律は、制定後、貸しレコード問題、コンピュータ・プログラムやデータベースの保護などデジタル化時代に対応するため頻繁に部分改正を加え、今日に至っている。

[半田正夫 2019年12月13日]

著作権の成立

著作権がいつ成立するかについては、二つの考え方の対立がある。一つは、著作物が創作された時点でただちに著作権が成立するという考え方であり、これを無方式主義とよんでいる。もう一つは、著作物が成立するだけでは著作権は発生せず、免許、登録、納本、届出などのなんらかの方式または手続をとることによって初めて著作権が成立するという考え方であり、これを方式主義とよんでいる。著作権制度の歴史を振り返れば、最初はどこの国でも方式主義でスタートしたが、やがて無方式主義に転換するようになってきている。著作権保護に関しての国際的規制であるベルヌ条約が無方式主義を採用したこともあり、現在ではアメリカやヨーロッパの各国をはじめ、世界の大多数の国が無方式主義を採用している。日本では旧法以来、一貫して無方式主義がとられている。

 ベルヌ条約と並んで著作権を国際的に保護するための条約として万国著作権条約がある。この条約に基づく著作権所有を表す国際的記号として©(丸C)の記号がある。

[半田正夫 2019年12月13日]

著作権の性質と法体系上の位置づけ




 

 19481966A

 20191213

著作者の権利




 CD使使

 3

 20191213

創作者主義の原則と例外




 

 

 20191213

二次的著作物




 

 

 20191213

著作権の制限


宿

(1) 使使

(2) 3030194850502003155070201812TPPEU70

 20191213

著作隣接権


1961367050

 使使

 

 NHK1986

 20191213

新たな問題への対応

貸しレコード・レンタルCD対策

1980551982CD1980CDLPCD使301984CDCD

 20191213
デジタル化時代と著作権

1985使

 1986

 19968

 1990MP3101

 20191213
私的録音・録画に対する補償金制度の導入

日本の著作権法では、家庭内における著作物の複製は自由とされているため、自己所有の録音・録画機器を使用してCDやビデオなどを録音・録画することは著作権の侵害とはならない。しかし、音質や画質の劣化しない優れた録音・録画機器が登場するにつれ、CDレンタル店の利用や放送番組の録音・録画などの方法によって、利用者は容易に著作物を私的に利用できるようになった。その結果として、CDなどの売上げの大幅な減少により大きな経済上の不利益が権利者側に生ずるようになってきた。このような現象に対処し、権利者側の不利益を救済するため、1992年(平成4)の法改正で、新たにデジタル方式の特定機器による録音・録画を行う者は権利者に対して一定の補償金を支払う義務を負うこととなった。これを私的録音録画補償金制度という。具体的には、権利者側の団体が録音・録画機器および機材(録音テープなど)のメーカーに対して一定の補償金を請求し、メーカーは支払った分を機器や機材の販売価格に上乗せしてこれの購入者に転嫁する方式が採用されている。この方式は多くの国でもすでに採用されており、日本もこの例にならったものである。

[半田正夫 2019年12月13日]

著作権の仲介業務

()便使146742000121112131200110使

 20191213
技術的保護手段の回避の規制

近年の急速な技術の進展に伴い、大量かつ高品質な複製が可能となっているため、ビデオソフトなどの複製物には無断複製を防止するためコピープロテクションコピーガード)をつけている場合が多いが、これを回避する装置を製作して販売する者が現れ、無断複製を助長するに至っている。そこで1999年(平成11)の著作権法改正でこのような行為を行った者に対して罰則の適用を認めることになった。

[半田正夫 2019年12月13日]

権利管理情報の除去等の規制

ネットワーク技術の進展により、著作物に権利管理情報を付して、これによって利用状況の把握や権利処理を行うことができるようになっているが、このような権利管理情報が故意に除去されたり、改竄(かいざん)されたりしないよう、1999年の法改正では罰則を科するなどの規制を加えることとした。

[半田正夫 2019年12月13日]

違法複製物のダウンロード

著作者(著作権者)は公衆送信権を有しているので、他人の著作物をインターネット上に配信する場合は、原則として著作権者の許諾が必要である。ネット上には、適法なものだけではなく、違法な音楽や映像などさまざまな著作物が流れている。かつては、個人的に利用する場合であれば、これらの著作物をダウンロード(複製)して私的に利用することは許されていたが、2009年の著作権法改正により、違法にアップロードされている著作物であることを知りながらダウンロードする場合は、私的に利用する場合であっても認められなくなった。さらに、2012年の著作権法改正では刑事罰が科されることになった(2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方)。しかし、その後もインターネット上の著作権侵害が深刻化している状況を受けて、現在は音楽、映像等の録音・録画に限定されているダウンロード違法化について、その対象範囲の見直しが検討されている。いわゆる海賊版サイトに対するブロッキングも議論されている。

[三浦正広 2019年12月13日]

映画盗撮防止法

ビデオカメラの小型化、高性能化により、映画館のスクリーンに上映されている映画を撮影し、場合によっては一般公開より前に、その映像をインターネット上に流出させる行為が横行したことを受けて、このような行為を防止し、映画文化の振興および映画産業の健全な発展を目的とする見地から、映画盗撮防止法(平成19年法律第65号)が制定された(2007年8月施行)。それまでは、個人的に利用する場合であれば映画館において上映中の映画を撮影することは禁止されてはいなかったが、映画盗撮防止法では、映画の盗撮は、私的使用のための複製には該当せず、複製権の侵害となる。さらに、最初の上映の日から8か月以内に盗撮を行った者には刑事罰(10年以下の懲役か1000万円以下の罰金、またはその両方)が科されることになっている。

[三浦正広 2019年12月13日]

電子出版権

デジタル・ネットワーク環境の進展に伴い、著作物の電子書籍化がすすむ一方で、それらの違法複製物がインターネット上で流通し、著作権の侵害が増大している。そこで、従来の紙媒体による出版のみを対象とした出版権制度を見直し、電子書籍に対応した出版権の整備を行うという趣旨のもとで2014年に著作権法が改正され、出版権の概念が拡大された。改正前の出版権は、文書または図画として出版する場合を対象としていたが、著作権法改正により、出版権の内容は、記録媒体に記録された電子データとして複製する権利、その複製物をインターネットで送信する権利にも拡大された。出版権は、著作権者(著作者)と出版者の間の出版契約において設定される排他的な権利であり、当事者間の合意があってはじめてその効果が生じる。

[三浦正広 2019年12月13日]

『阿部浩二著『著作権とその周辺』(1983・日本評論社)』『美作太郎著『著作権――出版の現場から』(1984・出版ニュース社)』『半田正夫・紋谷暢男編『著作権のノウハウ』第5版(1995・有斐閣)』『著作権情報センター編『新版著作権事典』改訂版(1999・出版ニュース社)』『吉田大輔著『著作権が明解になる10章』(1999/全訂版・2009・出版ニュース社)』『田村善之著『著作権法概説』第2版(2001・有斐閣)』『作花文雄著『著作権法――基礎と応用』第2版(2005・発明協会)』『菊池武・松田政行・早稲田祐美子・齋藤浩貴編著『著作権法の基礎』(2005・経済産業調査会)』『半田正夫・松田政行編『著作権法コンメンタール 1~3巻』(2009・勁草書房)』『半田正夫著『著作権法概説』第14版(2009・法学書院)』『尾崎哲夫著『入門 著作権の教室』(平凡社新書)』『福井健策著『著作権とは何か――文化と創造のゆくえ』(集英社新書)』

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改訂新版 世界大百科事典 「著作権」の意味・わかりやすい解説

著作権 (ちょさくけん)
copyright






 15privilege

 ︿

1709

 ︿2

調調

 ︿︿©︿︿︿TRIPS貿︿WIPO︿WIPO︿WIPO

189919701970使WTO貿

1970︿2111012111

 121122

 22112

 

123511172291

 21222312322425262622728

 ︿1965︿︿︿

30︿使30313233353637383940414243444547472︿使使︿

 

5051123505254

105111112114115119124

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百科事典マイペディア 「著作権」の意味・わかりやすい解説

著作権【ちょさくけん】

 
copyright1899197019715050101970使使19521953WTO 使1978︿IP200612︿︿︿20092012620134︿20144︿20151稿6350EU70701990
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「著作権」の意味・わかりやすい解説

著作権
ちょさくけん
copyright

 

16 170919
18861450 18991989調 1952
 18691893 189921970  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

図書館情報学用語辞典 第5版 「著作権」の解説

著作権

 
使使

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知恵蔵 「著作権」の解説

著作権

 
(197056)1)2)()
1)()505070
2)2
()
()50  
(   2008)
 

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産学連携キーワード辞典 「著作権」の解説

著作権

「著作権(Copyright)」とは、「知的所有権」と呼ばれる権利の1つで、財産的な利益を保護し、著作権者以外の人物が著作物を利用しようとする時に、許諾したり、禁止したりできる権利である。著作権法では著作物を「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、または音楽の範囲に属する」(著作権法第2条第1項)と定めている。「著作権」には、複製権、上演権、放送権、口術権、展示権、上映権、貸与権、翻訳権、二次的著作物の利用権などがある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「著作権」の解説

著作権

知的財産権のひとつ。コピーライトとも呼ばれる。著作物を他人に使用させる許可を与えたり、著作物を財産として所有したりすることのできる権利。ここでいう著作物には、音楽や文章などの他に、ソフトウェアも含まれる。著作権は、特に登録をしなくても、著作物を作成すると発生するが、正式な著作者であると証明したい場合は、文化庁で登録できる。個人の著作物の場合、著作権は死後50年を過ぎると適用されなくなる。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

ブランド用語集 「著作権」の解説

著作権

 
 

出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内の著作権の言及

【電子情報の知的所有権】より

…コンピュータープログラム,データベース,マルチメディア作品のように電子化された情報に関し,法律によって保証された著作権,工業所有権等の権利の総称。知的所有権は知的財産権と同義語であり,無体財産権ともいう。…

【電子図書館】より

… インターネットを背景に成長してきた電子図書館の特徴は,所蔵する貴重なコレクションを電子化することによって〈いつでも・だれでも・どこからでも〉閲覧することができるだけではなく,完備された書誌目録によって探索する文献やデータの所在情報を容易に入手することができ,さらには,電子出版の形態で公表されている情報に的確にアクセスできることにある。 しかし,生涯学習教育・遠隔教育や情報格差の解消などの目標を掲げて推進されている電子図書館であるが,複製や改変が容易な電子情報を扱っているために,著作権をいかにして保護するか,あるいは,図書館利用者に対して課金することができるのか,また,有料のネットワーク出版を行っている商業出版社の利益を損なうことはないかなど,運営上の問題をさまざま抱えている。そのため現状では,多くの図書館では著作権の保護期間の過ぎた情報の電子化と利用者へのオープンな提供を行うにとどまっている。…

【版権】より

…著作権の旧称で,1899年日本ではじめて法律に定められるまで,明治初期には版権という用語が用いられた。1875年に改正された出版条例において〈図書ヲ著作シ,又ハ外国ノ図書ヲ翻訳シテ出版スルトキハ三十年間専売ノ権ヲ与フヘシ,此専売ノ権ヲ版権ト云フ〉(2条)と版権が規定された。…

【万国著作権条約】より

…アメリカが中心となり,1952年に成立した著作権保護に関する国際条約。所管はユネスコ。…

【本】より


1785

 1793718387886︿()

【翻訳権】より



※「著作権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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