設け（読み）モウケ

デジタル大辞泉 「設け」の意味・読み・例文・類語

もうけ〔まうけ〕【設け】

 
1前もって用意されていること。﹁設けの席につく﹂
2 あらたに設置・設立すること。
﹁未だ学校の―あらざりし前に﹂︿中村訳・西国立志編﹀
3 あらかじめ決められていること。また、計画。
﹁斯る―のあらんとは、長兵更に知るよしもなく﹂︿染崎延房・近世紀聞﹀
4 供応のための、食事などの準備。
﹁―などしたりけれど﹂︿古今・仮名序﹀
5 食べ物。
﹁一鉢の―、藜(あかざ)の羹(あつもの)﹂︿徒然・五八﹀
[類語]用意・支(した)度(く)・準備・備え・手配・手配り・手回し・手(ては)筈(ず)・手当て・段取り・膳(ぜん)立て・道具立て・下(した)拵(ごしら)え・下準備・態勢・整備・備える  

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精選版 日本国語大辞典 「設け」の意味・読み・例文・類語

もうけまうけ【設・儲】

 

(一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁もうける︵設︶﹂の連用形の名詞化 )
 (二)① 前もって用意・準備をしておくこと。準備。用意。したく。また、将来の事態のために必要な品物や設備。
(一)[初出の実例]﹁親王よろこび給うて、夜の御座(おまし)のまうけせさせ給ふ﹂(出典‥伊勢物語︵10Ｃ前︶七八)
 (三)② 特に、もてなし・供応のための、食事などの用意・したく。あるじもうけ。
(一)[初出の実例]﹁葛城のおほきみを、みちのおくへ、遣はしたりけるに、国のつかさ︿略﹀まうけなどしたりけれど﹂(出典‥古今和歌集︵905‐914︶仮名序)
 (四)③ 将来のためのたくわえ。貯蓄。
(一)[初出の実例]﹁九年の儲(マウケ)﹂(出典‥世俗諺文鎌倉期点︵1250頃︶)
 (五)④ あらかじめ練習をしておくこと。予行。
(一)[初出の実例]﹁殿上のきみたちも、かたちよく同じき舞の姿も心ことなるべきを定めて、あまたの舞のまうけをせさせ給﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶若菜下)
 (六)⑤ 予備のもの。
 (七)⑥ 事を成そうとして計画すること。計略をめぐらすこと。また、その計画・計略。
(一)[初出の実例]﹁斯る設(マウ)けのあらんとは長兵更に知るよしもなく﹂(出典‥近世紀聞︵1875‐81︶︿染崎延房﹀六)
 (八)⑦ ( ②から転じて ) 食事。食物。
(一)[初出の実例]﹁紙の衾、麻の衣、一鉢のまうけ、藜(あかざ)のあつ物、いくばくか人の費をなさん﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶五八)
 (九)⑧ 饗宴。酒盛り。
(一)[初出の実例]﹁人々にも盃度々すすむ。永清、まうけの事さまざまありて、夜とともにひしめきあへり﹂(出典‥竹むきが記︵1349︶下)
 (十)⑨ 地位などが、あらかじめ決められていること。予定されていること。
(一)[初出の実例]﹁まうけの関白、一の人の太郎君にて、あへなくなり給ひにしかば﹂(出典‥今鏡︵1170︶四)
 (11)⑩ 子を得ること。誕生すること。
(一)[初出の実例]﹁本所、彦兵衛小法師まうけとて太刀︿金﹀・百疋被レ遣也﹂(出典‥山科家礼記‐文明一二年︵1480︶五月二二日)
 (12)⑪ あらたに作りもうけること。設備・組織などを設立すること。
(一)[初出の実例]﹁未だ学校の設(モウケ)あらざりし前に﹂(出典‥西国立志編︵1870‐71︶︿中村正直訳﹀一一)
 (13)⑫ 思いがけない利得を得ること。転じて、利得を得ること。利潤。収益。利益。比喩的にも用いる。
(一)[初出の実例]﹁羊を庖丁してそのまうけで世をすぐる者を説(えつ)と云たぞ﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶五五)
  
 

まけ︻設・儲︼

 

(一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁まく︵設︶﹂の連用形の名詞化 ) 用意すること。また、用意した物事。もうけ。
(一)[初出の実例]﹁わが居る家の厨内(くりやうち)、働く妻をよびとめて、夕(ゆふべ)の設(マケ)をたづぬるに﹂(出典‥孔雀船︵1906︶︿伊良子清白﹀戯れに)
  

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