デジタル大辞泉 「財物」の意味・読み・例文・類語 ざい‐ぶつ【財物】 1金銭と品物。財貨。たから。ざいもつ。﹁財物を蓄える﹂ 2 刑法上、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領などの財産犯の客体となるもの。 [類語]宝・宝物・財宝・財貨・家宝・至宝・秘宝・国宝 ざい‐もつ【財物】 ⇒ざいぶつ(財物) 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「財物」の意味・読み・例文・類語 ざい‐ぶつ【財物】 (一)〘 名詞 〙 (二)① =ざいもつ︵財物︶︹新撰字解︵1872︶︺ (三)② 刑法上、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・贓物(ぞうぶつ)の犯罪の客体となるもの。動産に限らず、不動産も含む。 (一)[初出の実例]﹁他人の財物を窃取したる者は窃盗の罪と為し﹂(出典‥刑法︵明治四〇年︶︵1907︶二三五条) 財物の補助注記 ﹁文明本節用集﹂﹁易林本節用集﹂や﹁日葡辞書﹂では、﹁ざいもつ﹂のよみしかあげられていない。 ざい‐もつ︻財物︼ (一)〘 名詞 〙 金銭と品物。財貨。また、家財。財産。ざいぶつ。 (一)[初出の実例]﹁条二録部内寺家可レ合并財物一﹂(出典‥続日本紀‐霊亀二年︵716︶五月己丑) (二)﹁財物盗賊の為に被奪れぬ﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶二) (三)[その他の文献]︹礼記‐礼器︺ 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「財物」の意味・わかりやすい解説 財物ざいぶつ 財産的に価値を有する物。財産上の利益に対する概念。刑法上、財物は財産犯に共通する行為客体である︵ただ、背任罪の客体に財物が含まれるかについては争いがある︶。刑法上、﹁財物﹂の意義につき、有体性説と管理可能性説の大きな対立がある。前説によれば、財物は有体物に限られ、電気その他エネルギーのような無体物は含まれないと解されるが、後説によれば、たとえばメーターによる測定のように物理的に管理可能であれば、無体物でもよいと解されている︵後説が通説・判例︶。この点に関し、かつて、電気の盗用につき、電気が刑法第235条の窃盗罪にいう﹁財物﹂にあたるかが争われたが、同法第245条は﹁電気は財物とみなす﹂と定め、立法により解決した。ただ、電気以外のエネルギーが刑法上の財物に含まれるかについては、同条によって解決されないため、有体性説と管理可能性説の争いは、いまなお意義を有している。 なお、財産犯における﹁財物﹂は、使用価値・交換価値を問わず財産的価値を有するものでなければならないが、価値のきわめて軽微な物については、もはや刑法的な保護に値しないから財物から除外すべきであろう。 ﹇名和鐵郎﹈ [参照項目] | 財産犯 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例