デジタル大辞泉 「貴様」の意味・読み・例文・類語 き‐さま【貴様】 ﹇代﹈二人称の人代名詞。 1 男性が、親しい対等の者または目下の者に対して用いる。また、相手をののしる場合にも用いる。おまえ。﹁貴様とおれ﹂﹁貴様の顔なんか二度と見たくない﹂ 2 目上の相手に対して、尊敬の気持ちを含めて用いた語。貴殿。あなたさま。 ﹁―もよろづに気のつきさうなる御方様と見えて﹂︿浮・一代男・一﹀ [補説]中世末から近世中期までは文字通り尊敬の意を含んで用いられたが、それ以降はしだいに尊敬の意は薄れ、近世後期には現代とほぼ同様に用いられるようになった。 [類語]お前・君・貴(あな)方(た)・お宅・汝・貴方様・あんた・てめえ・おのれ・我・うぬ・そなた・お主・其方・そっち 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「貴様」の意味・読み・例文・類語 き‐さま【貴様】 (一)〘 代名詞詞 〙 対称。もと尊称の代名詞。のち、口頭語として一般化し、江戸時代後期以降は、同等またはそれ以下の者に対して用いる。︹ロドリゲス日本大文典︵1604‐08︶︺ (一)[初出の実例]﹁先以先夜民部殿へ被二召寄一候而御厚志之御馳走、貴様御内通よろしき故と﹂(出典‥平庵宛芭蕉書簡‐元祿元年︵1688︶二月一一日) (二)﹁貴(キ)さまはあまり無(ぶしつけ)な人だと﹂(出典‥滑稽本・浮世風呂︵1809‐13︶三) (三)﹁貴様等はぬすっとうか﹂(出典‥吾輩は猫である︵1905‐06︶︿夏目漱石﹀八) 貴様の語誌 (1)中世末から近世初期頃にかけて武家の書簡などで敬意をもって用いられた。 (2)天保期︵一八三〇‐四四︶には、もっぱら目下の者に対して用いられるようになり、ののしりことばへと下落した。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例