転向文学(読み)テンコウブンガク

デジタル大辞泉 「転向文学」の意味・読み・例文・類語

てんこう‐ぶんがく〔テンカウ‐〕【転向文学】

 
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精選版 日本国語大辞典 「転向文学」の意味・読み・例文・類語

てんこう‐ぶんがくテンカウ‥【転向文学】

  1. 〘 名詞 〙 共産主義を中心とする左翼的思想を信奉する作家が、権力の強制によってその思想を放棄することを主題とした文学。特に昭和初頭以来の治安維持法による官権の弾圧強化によって転向を余儀なくされたプロレタリア作家たちの左翼運動離脱の問題を扱った文学。
    1. [初出の実例]「日本の転向文学は、ほとんど大部分が作家の転向をあつかっている」(出典:転向文学論(1954)〈本多秋五〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「転向文学」の意味・わかりやすい解説

転向文学
てんこうぶんがく


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百科事典マイペディア 「転向文学」の意味・わかりやすい解説

転向文学【てんこうぶんがく】

 
︿1933
 

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改訂新版 世界大百科事典 「転向文学」の意味・わかりやすい解説

転向文学 (てんこうぶんがく)


19338619退

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転向文学」の意味・わかりやすい解説

転向文学
てんこうぶんがく

1934年前後に出現したプロレタリア文学の新しい傾向で,33年の鍋山貞親,佐野学による『共同被告同志に告ぐる書』を機として続出した共産主義思想の放棄,いわゆる「転向」を主題として書かれた文学。村山知義の『白夜』 (1934) ,立野信之の『友情』 (34) ,徳永直の『冬枯れ』 (34) ,島木健作の『癩』 (34) ,中野重治の『村の家』 (35) などがそれで,転向による良心の痛みを文学者としての一線で耐えようとし,あるいは一歩後退した場所でなお良心的であり続けようとするなど,その主題はさまざまだった。しかし,いずれもプロレタリア文学運動の最盛期における政治主義への反省および私小説の手法をかりたという点では共通した姿勢を示している。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「転向文学」の解説

転向文学
てんこうぶんがく

昭和初期に社会主義思想を捨て,天皇制を軸とする国粋思想に屈服するに至ったプロレタリア文学者が,みずからの思想的変節の過程を描いた文学。佐野学・鍋山貞親(さだちか)の転向(1933)以降,崩壊の道筋をたどった共産主義運動に並行しておこった。転向の内実には状況と主体性との関係にさまざまな位相があるが,村山知義「白夜」,中野重治「村の家」,島木健作「生活の探求」などが第2次大戦前の代表作。「近代文学」派など戦後文学にもその残像がみられる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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