近い（読み）チカイ

デジタル大辞泉 「近い」の意味・読み・例文・類語

ちか・い【近い】

 
﹇形﹈﹇文﹈ちか・し﹇ク﹈二つのものが空間的、時間的に、また心理的に離れていないさま。
1 距離の隔たりが少ない。遠くない。﹁駅に―・い﹂⇔遠い。
2 時間の隔たりが少ない。﹁正月が―・い﹂﹁―・いうちに完成する﹂﹁年のせいかトイレが―・い﹂⇔遠い。
3 関係が密である。親密である。﹁半年の交際で―・い間柄になる﹂﹁首相に―・い人々﹂⇔遠い。
4 血のつながりが密接である。﹁―・い親戚﹂⇔遠い。
5 性質・内容・程度などの隔たりが少ない。﹁オレンジ色に―・い赤﹂﹁理想に―・い相手﹂⇔遠い。
6 ︵﹁目が近い﹂の形で︶近眼である。﹁細かい字を見すぎて目が―・くなった﹂⇔遠い。
[派生]ちかさ﹇名﹈
[類語]︵1︶手近い・程近い・間近い・間近・じき・すぐ・至近・近く・目前・鼻先・手が届く・指(し)呼(こ)・咫(しせ)尺(き)・目(もく)睫(しょう)の間(かん)・目と鼻の先・身近・手近・卑近・身辺・そば・傍(かたわ)ら・脇(わき)・横・片(かた)方(え)・手もと・付近・近辺・近傍・近所・最寄り・許(もと)・足元・座右・左右・手回り・身の回り・ついそこ・まのあたり・目(もく)睫(しょう)・面前・目の前・眼前・現前・目先・鼻(はな)面(づら)・鼻っ面(つら)・前面・正面・真ん前・手前・先方・直前／︵2︶遠からず・何時か・軈(やが)て・追っ付け・間もなく・程なく・今に・近く・近日・いずれ・そのうち・近(ちか)近(ぢか)・近(きん)近(きん)・遅かれ早かれ・早晩・追って・直(じき)に・すぐ・直ちに・早速・じき・すぐに・すぐさま・即・もう・追い追い・来(きた)る・日ならずして・後日・他日・不日・又の日／︵3︶緊密・接近・密接・親近・近接・不可分・濃い・切っても切れない・水いらず・親しい・近しい・心安い・気安い・睦(むつ)まじい・親密・懇意・昵(じっ)懇(こん)・懇親・別懇・懇(ねんご)ろ・親愛・和気藹藹・仲良し・仲が良い・気が置けない・取っ付きやすい・人なつこい  

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精選版 日本国語大辞典 「近い」の意味・読み・例文・類語

ちか・い【近】

 

(一)〘 形容詞口語形活用 〙 
[ 文語形 ]ちか・し 〘 形容詞ク活用 〙
 (二)[ 一 ] 空間・時間のへだたりが少ないさま。
(一)① 空間・距離のへだたりが少ない。
(一)[初出の実例]﹁あしひきの山も知可吉(チカキ)をほととぎす月立つまでになにか来鳴かぬ﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一七・三九八三)
 (二)﹁このとまり、とほくみれども、ちかくみれども、いとおもしろし﹂(出典‥土左日記︵935頃︶承平五年一月一八日)
 (二)② 特に身近なところにいる。また、手近である。
(一)[初出の実例]﹁墨の江の中つ王に近(ちか)く習(つか)ふる隼人﹂(出典‥古事記︵712︶下)
 (二)﹁放下しがしたる事なれ共、皆人賢過て結句近き事にはまりぬ﹂(出典‥浮世草子・世間胸算用︵1692︶一)
 (三)③ 時間のへだたりが少ない。
(一)(イ) 現時点より過去に向かって大きくさかのぼらないさまをいう。
(一)[初出の実例]﹁ちかき年頃となりては、御中もへだたりがちにて﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶真木柱)
 (二)﹁お紫津が︿略﹀公然手を切ったのは近い事であった﹂(出典‥杏の落ちる音︵1913︶︿高浜虚子﹀一一)
 (二)(ロ) 現時点より未来に向かって遠くへだたることがないさまをいう。
(一)[初出の実例]﹁天雲の遠隔(そきへ)の極み吾が思へる君に別れむ日近くなりぬ﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一九・四二四七)
 (二)﹁近いうちにヨーロッパに出かけることになっていた﹂(出典‥彼の歩んだ道︵1965︶︿末川博﹀四)
 (三)(ハ) 時間の間隔が短いさまをいう。間遠でない。
(一)[初出の実例]﹁小便近く﹂(出典‥志都の岩屋講本︵1811︶下)
 (四)④ 物事が進行して、ある数値に届こうとしている。ほぼ及ぼうとしている。
(一)[初出の実例]﹁七十ちかき親二人を持たるに﹂(出典‥枕草子︵10Ｃ終︶二四四)
 (二)﹁此同勢は前後を通じると約十人近(ヂカ)くあったが﹂(出典‥満韓ところどころ︵1909︶︿夏目漱石﹀一四)
 (五)⑤ ( 多く、﹁目が近い﹂の形で ) 近視である。ちかめである。
(一)[初出の実例]﹁少し近眼(チカ)い癖に眼鏡を用ひない僕には﹂(出典‥搦手から︵1915︶︿長谷川如是閑﹀くつしたの穴)
 (六)⑥ ( ﹁耳が近い﹂の形で ) よく聞こえる。耳ざとい。︹和英語林集成︵再版︶︵1872︶︺
 (三)[ 二 ] 関係が密接であるさま。
(一)① 精神的なつながりが密接である。親密である。したしい。
(一)[初出の実例]﹁山川を中に隔(へな)りて遠くとも心を知可久(チカク)思ほせ我妹﹂(出典‥万葉集︵8Ｃ後︶一五・三七六四)
 (二)﹁ちかき御中らひにて、聞き及ばせ給ふやう﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶柏木)
 (二)② 血縁関係が深い。血のつながりが濃い。
(一)[初出の実例]﹁かずまへ給はざりけれどちかき人にこそはあなれ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶宿木)
 (三)③ 物事の性状・内容が似ている。ほとんど同じである。近似している。
(一)[初出の実例]﹁功(いさを)造物(おのつからなる)に隣(チカ)うして清き猷(みち)、世に﹂(出典‥日本書紀︵720︶顕宗即位前︵図書寮本訓︶)
 (二)﹁人倫に遠く、禽獣に近き振舞﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶八〇)

近いの派生語

ちか‐げ
(一)〘 形容動詞ナリ活用 〙

近いの派生語

ちか‐さ
(一)〘 名詞 〙
  

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