領邦国家(読み)リョウホウコッカ(英語表記)Territorialstaat ドイツ語

デジタル大辞泉 「領邦国家」の意味・読み・例文・類語

りょうほう‐こっか〔リヤウハウコクカ〕【領邦国家】

中世末期から近世にかけて、神聖ローマ帝国を構成した小国家群。皇帝権弱体化に伴って諸侯が事実上独立して形成し、その数は300余に及んだ。領邦。

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精選版 日本国語大辞典 「領邦国家」の意味・読み・例文・類語

りょうほう‐こっかリャウハウコクカ【領邦国家】

 

(一)   使
 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「領邦国家」の意味・わかりやすい解説

領邦国家
りょうほうこっか
Territorialstaat ドイツ語


1806Territorium1648300


領邦主権の発展


()terradominus terrae2122012313227dominus terraeLandeshoheit125673117413481555()


領邦国家の実体


()


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改訂新版 世界大百科事典 「領邦国家」の意味・わかりやすい解説

領邦国家 (りょうほうこっか)
Territorialstaat[ドイツ]

ふつう13世紀ごろ以後,神聖ローマ帝国,もしくはドイツ王国を構成する部分国家的な諸侯領(ラント),およびそれに準ずる帝国都市をさす。テリトリウムTerritoriumとも呼ばれる。したがって神聖ローマ帝国が解体する1806年までのそれらについて用いられるが,71年のドイツ統一期までのドイツ諸邦について用いられることもある。しかし神聖ローマ帝国ないしはドイツ王国を構成しているか否かは,領邦国家という概念の絶対的条件ではなく,皇帝権または王権からの自立度が強く一円的な支配領域を形成する諸侯領は領邦国家といってよく,たとえばドイツ騎士修道会領も領邦国家と呼ばれる。

 ドイツで領邦国家ないし領邦君主に相当する語が初めて用いられたのは,皇帝フリードリヒ2世が聖俗諸侯に与えた2法(聖職諸侯1220年,世俗諸侯1231か32年)においてのことで,この2諸侯法はドミヌス・テラエdominus terraeすなわち領邦君主(ランデスヘル)に関税徴収権,鋳貨権,築城権,裁判権などの帝国の重要なレガーリエン(国王大権)を承認している。しかしこれらの諸権利はこの2法によって初めて諸侯に与えられたのではなく,2法は既成事実を承認したものにすぎなかった。このことからも,諸侯による諸権利の獲得,したがって領邦支配権(ランデスヘルシャフト)の形成が長期にわたる歴史的発展の結果であることが知られるが,諸侯領が領邦国家といいうる形の支配体制をととのえる画期が,大空位時代(1256-73)を含む13世紀であったことも,確かなことである。領邦国家の皇帝に対する自立度の強化と領内支配は中世末期にいっそう進んだが,領邦国家が独立国家に近い権利を正式に承認されたのは,1648年のウェストファリア条約においてのことであった。この時期の領邦国家の数はおよそ300にも達したが,しかしそれらの中で国家と呼びうるほどの領域と制度をもっていたのは,少数の大諸侯領だけで,他は家産的侏儒国家にすぎなかった。
ラント
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「領邦国家」の意味・わかりやすい解説

領邦国家
りょうほうこっか
Territorialstaat; Landesstaat

 
 (1871) 12 () 1112 1220312136515161648西  

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百科事典マイペディア 「領邦国家」の意味・わかりやすい解説

領邦国家【りょうほうこっか】

13世紀以降神聖ローマ帝国またはドイツ王国を構成した地方国家を意味する。1871年のドイツ統一とドイツ帝国出現までのものを含むこともあるが,ふつうは神聖ローマ帝国の崩壊(1807年)までのものをさす。王権ないし皇帝権による国家統一が挫折し,地方領主の自立度が強まったもの。高級貴族は皇帝権の没落する13世紀半ばまでに流血裁判権や森林開拓などにより一円的な支配領域を領邦にまとめ上げ,領邦君主として君臨。帝国直属の地位を得たものは約300に達したが,小領邦は家産的疑似国家にすぎなかった。16世紀には事実上領邦主権が完成したとみられる。正式の承認は1648年ウェストファリア条約によって与えられ,諸邦分立体制が確立した。
→関連項目家産国家金印勅書ドイツ農民戦争

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「領邦国家」の解説

領邦国家(りょうほうこっか)
Territorialstaat


131871

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旺文社世界史事典 三訂版 「領邦国家」の解説

領邦国家
りょうほうこっか
Territorialstaat

ドイツで13世紀以降1871年の統一まで存在した地方(小)国家
帝権の弱体化につれ,13世紀後半以降,ドイツの大諸侯は事実上独立し,同様な地位を得た中小諸侯の小国家(領邦)をあわせた数は約300といわれている。各領邦は関税徴収権・貨幣鋳造権などをしだいに獲得し,1648年のウェストファリア条約では,外交権をも含む完全な国家主権をもつにいたった。

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世界大百科事典(旧版)内の領邦国家の言及

【ドイツ】より

…宗教改革を遂行した北東ドイツとローマ・カトリックにとどまった西南ドイツとの間には以後大きな溝がのこり,今日に至っている点が無視しえないところである。【阿部 謹也】
[宗教改革をとりこんだ領邦国家]
 ルターの宗教改革は,本来純粋に宗教上の問題であるはずであった。しかしこの世における教会制度の改革は世俗の権力と深くかかわり,しかもドイツにおいては,世俗権力が皇帝の下に一元化されてはいないという特殊な事情があった。…

※「領邦国家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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