デジタル大辞泉
「FAO」の意味・読み・例文・類語
ファオ【FAO】[Food and Agriculture Organization of the United Nations]
︽Food and Agriculture Organization of the United Nations︾国連食糧農業機関。国際連合の専門機関の一。世界各国民の栄養と生活水準の向上、食糧と農産物の生産と分配の改善を目的として、各種統計の作成・調査研究・勧告などを行う。1945年設立。本部はローマ。日本は1951年︵昭和26︶加盟。
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FAO (エフエーオー)
Food and Agriculture Organization of the United Nationsの略称。ファオとも発音する。国連食糧農業機関と訳される。1905年国際連盟のもとに,政府間協力を通じて農民の生活状態を改善する目的で,ローマに設立された万国農事協会International Institute of Agriculture︵略称IIA︶が前身。第2次大戦中,すでに戦後の世界の食糧・農業事情の改善をはかるべく新たな国際機関を設立する必要が論じられていた。43年アメリカのホット・スプリングズで連合国食糧農業会議が開かれFAO憲章が起草され,45年10月16日カナダのケベックでの連合国代表会議で34ヵ国が憲章に署名し,ここにFAOは発足した。同時にIIAは解散した。設立の目的は,加盟各国が協力して世界の食糧の生産・流通の改善に努め,栄養と生活の水準を向上させ,農村住民の生活条件を改善し,人類を飢餓から解放しようとするものである。本部はローマにあり,最高議決機関である総会︵隔年︶および理事会により運営される。約7000人の専門職員,一般職員がおり,世界各地で活動している。2005年現在の加盟国は188およびヨーロッパ連合︵EU︶,日本は1951年11月に加盟。
FAOの事業としては,経常事業予算の資金による︿技術協力計画﹀をはじめ,各種の資金による世界百数十ヵ国における各国の現地開発プロジェクトの推進や,開発途上国の農業および農村開発のための投資プロジェクト作成の援助があげられる。こうした事業と同時に,食糧,農林水産業,貿易などに関する問題について会議の場を提供し,また世界各地の農業の技術問題に関するものを主とする情報を収集して加盟国に提供するとともに,各種の統計を発表している。74年には,FAOの主導のもとに,世界食糧会議が開催され,国際レベルでの基本的な食糧の強化と栄養の改善がうたわれた。さらに96年11月には,ローマにおいて,185ヵ国とEU首脳らが出席して︿世界食料サミット﹀が開催された。そこでは,2015年までに栄養不足人口を半分に減らすことを目標に努力することをうたった︿食糧安全保障のためのローマ宣言﹀と︿行動計画﹀とが採択された。主要な定期刊行物としては,機関誌︽Monthly Bulletin of Statistics︾のほか,︽The State of Food and Agriculture︾︵日本では︽世界農業白書︾として刊行︶,︽Agricultural Production Yearbook︾︵同︽FAO農業生産年報︾︶,︽Commodity Review and Outlook︾︵同︽世界の食糧,農林水産物情勢と見通し︾︶などがあり,広く利用されている。また世界的規模で10年ごとに行われる世界農業センサスもFAOの提案によるものである。なお,日本はFAOの年経費をアメリカに次いで多く負担している。
執筆者‥臼井 晋
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FAO【エフエーオー】
国連食糧農業機関Food and Agriculture Organizationの略称。国際連合専門機関の一つ。1905年設立の万国農事協会の任務と資産を引き継ぎ,第2次大戦中の連合国食糧農業会議を基に1945年設置。世界の食糧生産と分配の改善と生活向上を目的とする。最高機関は全加盟国で構成される総会で,理事会は総会選出の49ヵ国で構成される。本部はローマ。加盟国は175の国家とEC︵1998︶。日本は1951年加盟。
→関連項目キシリトール|食糧安全保障|世界食糧計画|世界食糧サミット|鳥インフルエンザ|熱帯雨林|ハンガーマップ|木材貿易
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知恵蔵
「FAO」の解説
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
FAO
国際連合食糧農業機関.国際連合の一機関で1945年10月に発足.ローマに本部があり飢餓の克服をめざして栄養水準や生活水準の向上,食料・農産物の生産・流通の改善,農村開発の促進,農村の生活水準の向上などの諸活動をしている.
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世界大百科事典(旧版)内のFAOの言及
【FAO】より
…第2次大戦中,すでに戦後の世界の食糧・農業事情の改善をはかるべく新たな国際機関を設立する必要が論じられていた。43年アメリカのホット・スプリングズで連合国食糧農業会議が開かれFAO憲章が起草され,45年10月16日カナダのケベックでの連合国代表会議で34ヵ国が憲章に署名し,ここにFAOは発足した。同時にIIAは解散した。…
【科学技術政策】より
…
[国際機関]
全地球的視野で解決を要する天然資源,食糧,環境,衛生,エネルギーなどの諸問題についての活動が展開され,また発展途上国の国民経済の発展を図るための科学技術力の強化を図る援助活動が続けられている。国連における〈開発のための科学技術政府間委員会〉〈新・再生可能エネルギー政府間委員会〉などは総合的なものであるが,発展途上国援助につき国連開発計画(UNDP),国連貿易開発会議(UNCTAD),国連工業開発機構(UNIDO)などの機構において技術協力が活発化しており,また宇宙空間平和利用委員会,国連環境計画(UNEP)などの活動のほか,国際原子力機関(IAEA),国連食糧農業機関(FAO),世界保健機関(WHO),国連教育科学文化機関(UNESCO)等の専門機関が,それぞれ技術援助や情報活動を行っている。また経済協力開発機構(OECD)においては,科学技術政策委員会(CSTP)などいくつかの委員会で交流が行われている。…
【児童福祉】より
…
︻国際的な児童福祉機関︼
国際的な視野で世界各国の最もめぐまれない児童の問題解決を図りつつある代表的な公的機関としては,国際連合の専門機関である国際連合児童基金([ユニセフ]),国際連合教育科学文化機関([ユネスコ])がある。また世界の児童の保健問題については[世界保健機関](WHO)が飢饉や戦乱で食糧危機にみまわれた児童の援護に当たり,飢餓状態の人々に対しては世界食糧理事会(WFC)や国連食糧農業機関([FAO])が介入する。今日戦争や政変が人間の生存条件を奪い,難民を生む中で,難民児童に援助の手をさしのべているのは[国連難民高等弁務官事務所](UNHCR)である。…
【世界農業センサス】より
…センサスとは通常,調査対象のすべてについて調査票を用い,全般的な多項目にわたる調査を行うことを意味するが,世界農業センサスは経済統計に関する国際条約(1927)にもとづき,10年ごとに実施されるものである。日本でセンサス方式で最初に実施された農業に関する調査は1938年の農家一斉調査であるが,本格的に実施されるようになったのは,50年[FAO](国連食糧農業機関)が世界的規模でその実施を提唱した50年世界農業センサスに参加したときからである。その後10年ごとに世界農業センサスに参加して〈世界農林業センサス〉(1960年から日本独自に林業センサスも併せて実施)を実施するとともに,その中間の5年目ごとに日本独自の〈農業センサス〉を実施している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」