国立国会図書館憲政資料室 日記の世界

古代をのぞく海外旅日記
――杉浦譲の「文久奉使日記」から

コラム

旅に出ると、その記録をノートや日記につけて残したくなるのではないでしょうか。鎖国をやめた江戸幕府は、欧米にいくつもの遣外使節団を送っています。それらに参加した人たちは、いろいろと記録や日記を残しています。第二次遣欧使節団(文久3(1863)年横浜鎖港談判使節団・池田使節団)に加わった幕臣の杉浦譲は江戸とパリの往復を記しています。日記の冒頭の肩書に「大日本欽差使節附属書記」と記しており、個人的な記録のみならず、仕事の記録という面もあったようです。

旅行で同じルートをたどる場合、「西遊記」ほどではありませんが、どうしても帰りの記述は少なくなります。この日記でも目的地であるパリでの見聞やそこにたどり着くまでの往路は詳しく記されています。その中でも、エジプトでの記載が目につきます。当時はまだスエズ運河が開削中であったため、紅海に面したスエズからエジプトに上陸して、陸路を経てアレクサンドリア港から地中海に出ていました。この使節団の写真は、スフィンクスの前で撮っており有名なものです。

「スフィンクス前で集合写真を撮る池田使節団」の画像
「スフィンクス前で集合写真を撮る池田使節団」
『日本人(第3次)』34号, 1897【雑54-36ロ】

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元治元年2月28日条 「外国方時代日記. 文久奉使日記」【杉浦譲関係文書85】の画像
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巨塚三个(カ)あり其形三角にて(大中小あり)何れも石築(石質御影石に似たり)大きさ一隅六十丈、高も又同しといふ…三个塚前に岩を彫りて作りし巨人の首あり、大さ四丈計もあるへく、肩より以下は砂中に埋没して見へす

元治元年2月28日条 「外国方時代日記. 文久奉使日記」【杉浦譲関係文書85】


 22431863  

西使  

参考文献

  • 『杉浦譲全集 第1巻』杉浦譲全集刊行会, 1978【GK131-41】
  • 高橋善七『初代駅逓正杉浦譲:ある幕臣からみた明治維新』(NHKブックス)日本放送出版協会, 1977【GK131-34】